COP26に向けた気候変動に関する決議

かけはし 第2659号 2021年3月29日

2021年2月 第4インターナショナル国際委員会

 第4インターナショナルは今年2月に、オンラインでの国際委員会を開催。各国支部、オブザーバー組織の代表にゲストを加え、60人以上の参加で、世界情勢の決議、女性運動の決議、気候変動の決議を採択した。以下に、その中での気候変動に関する決議を掲載する。なお、他の決議についても順次掲載予定。(編集部)



  (1)

 気候変動と連動した異常気象が主な原因である災害は、2000年以降20年間で倍増し、全世界で120万人以上の死者を出している。北半球と南半球(北極や南極を含む)の記録的な夏の気温、致命的な火災、多くの地域で例外的に穏やかで雪のない冬、モンスーンの乱れ、より頻繁でより極端な気象現象など、気候破局が進行中である。それは、主に地球温暖化によるポジティブ・フィードバック[いったん現象が始まると、それが加速していくこと]を過小評価していたため、予測よりも早く進行している。オーストラリアの大火災は、こうしたフィードバックの連鎖が、気候レジームの急速で不可逆的な変化につながる大きな危険性を示している。これによって海面が数メートルも顕著に上昇し、主にアジアとアフリカで何億人もの人類に恐ろしい結果をもたらすだろう。多くの島嶼諸国が消滅することは言うまでもない。

  (2)

 脅威のスピードがますます速くなっているときに、「産業革命以前と比べて、地球温暖化を2℃以下に抑えるとともに、1・5℃を超えないように努力を続ける」というCOP21(パリ)での公式決定は今日に至るまで適用できないままである。COP24(カトヴィッツェ)とCOP25(マドリッド)は資本主義的投資家がますます公然と後援するものとなり、失敗に終わった。失敗の主な責任は、米国、中国、ブラジル、オーストラリア、サウジアラビアとその湾岸同盟国の政府にある。しかし、これらの失敗を通して明らかになったのは、気候変動否定論者の妨害工作以上に、グリーン資本主義が根本的に不可能なことである。問題の根源にまでさかのぼることなしには、温暖化を1・5℃以下(さらには2℃以下でさえ)に抑えることはできない。その問題の根源とは、利益のための競争にもとづく資本主義的蓄積、言い換えれば私有財産、労働力の搾取(これはまた、他の天然資源の搾取を含む)にもとづく資本主義的生産・流通・消費様式である。

  (3)

 COP21の目標を達成するために、交渉はまず、一方でのパリで採択された1・5℃の目標と他方での各国が決定した貢献―国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、各国の削減目標にもとづくと世紀末までには気温上昇は3・3℃に達すると予測している―とのギャップを埋めようとすべきである。彼らはそうする代わりに、「排出権」を作り出すいわゆる「クリーン投資」によって、排出量削減に代替する追加的手段を与えようとする、パリで原則的に決定された「新たな市場メカニズム」を5年間も進展させられなかった。京都議定書以降に蓄積された経験によれば、こうしたメカニズムは一般的には、効果的な排出削減を回避するための手段に過ぎず、グリーン新植民地主義でしかない。と同時に、民衆を搾取して森林やその他の天然資源を独占することでもある。しかし、彼らが生物多様性を奪い、破壊することによって[資本]蓄積を続ける一方で、世論には破局と闘っていると信じさせることは、まさに資本家にとって重要な問題である。このギャップを埋める方法を議論する前に、資本家とその政治的代弁者は、こうした詐欺的行為がどの程度可能なのかを知りたいと考えている。これは、COP26(グラスゴー)での主要課題である「野心の引き上げ」[各国が削減目標を野心的に引き上げること]のための前提条件となるだろう。

  (4)

 地球サミット(リオ、1992年)と国連気候変動枠組条約の採択から四半世紀以上が経過して、CO2の年排出量は60%増加し、大気中のCO2濃度は増加し続け、140万年前の鮮新世(海面が現在より30~40M高かった時代)以来の前代未聞の高濃度となっている。COPという文脈であろうと他のフォーラムであろうと、気候交渉は資本主義の成長と地政学的な対抗関係という命令に従属している。こうした交渉から期待するものは何もない。グレタ・トゥンベリがマドリッドのCOP25で言ったように、「解決策はCOPにあるのではなく、人々の闘争によってのみ可能となる」のだ。

  (5)

 2019年には、世界的なクライメート・ジャスティス運動の目覚ましい発展が見られた。その中には、高校ストライキ、ときにはきわめて大規模な大衆デモ(モントリオールでは55万人!)、市民的不服従行動、化石燃料への投資を阻止することを目的とした占拠などがあった。青年、女性、先住民族、農民などが運動の原動力としての役割を果たした。エコロジーに対する憂慮は、主にいわゆる「先進国」で新たな行動中心の活動家ネットワーク(FFF[未来のための金曜日]、RISE 2020、XR[絶滅への反逆]など)を生み出した。これに直面して、「統治」システムにおける家父長的な回復と協調の試みがもはや機能しなくなると、各国政府は誹謗中傷、犯罪化、弾圧で対応している。先住民族や農村コミュニティに直面して、これは特に暴力的な形をとっている。先住民や農村の活動家の多くが殺害される一方で、森林破壊者やその他の汚染者は処罰されていない。これは、ボルソナロ大統領の資源略奪主義的でアグロビジネス重視の政策の直接的な結果である。この政策はパンデミックを利用して、目に見えないところで進められた。第4インターナショナルは、この弾圧の犠牲者および先住民族に対する大量殺戮計画の犠牲者とのもっとも広範な連帯を呼びかける。

  (6)

 災厄を止める唯一の現実的な方法は、長期的で大規模な世界的動員に向けてたゆまぬ努力をすることである。われわれは、搾取されている人々、抑圧されている人々のすべての社会運動を結集して、何千万人、何億人もの女性と男性をたゆまなく街頭へと進出させるためにとりくまなければならない。ドイツでの反核運動への動員、ヨーロッパでのNATOの核ミサイル設置に反対する大規模な動員、そしてイラク戦争に反対する世界的な運動といった前例を発想の源として使わなければならない。大きな環境保護団体が一般的におこなっているように政策立案者に助言するのではなく、政府や企業を倫理的・社会的・政治的に信用失墜させ、不安定化させなければならない。支配階級内の潮流の一部が、新自由主義的な市場万能主義の放棄を検討し、過剰な生産力至上主義を部分的に抑制するのに不可欠な規制措置を取り始めるのは、支配階級がその支配が脅かされていると認識した場合だけである。そして、社会運動が「システムを変えよう、気候変動ではなく」という道をさらに進むことができるという自信を得ることになるのは、正しい方向に向かう部分的な措置が[資本]所有者によって容認された場合だけである。第4インターナショナルが、COP26とCOP27を機に、あらゆるところで動員を組織することを呼びかけているのは、まさにこの精神においてである。

  (7)

 トランプの敗北、医療危機とその生産への影響、再生可能エネルギー、とりわけ太陽エネルギーによる電力生産の競争力向上(太陽光発電や陸上風力発電は、今日では石炭や石油よりも安価で、すぐに天然ガスよりも安価になるだろう)など、ここ数カ月のできごとすべてが状況を変えつつある。今後、バイデンの政策綱領、欧州のグリーンディール、中国政府の宣言は「2050年にCO2の実質排出量ゼロ」で共通の立場をとっている。アメリカ、中国、EUは、COP26で、COP21で決定した「グリーン資本主義」プロセスの再始動へと収斂していく可能性が高いと思われる。
しかし、このように収斂されても、1・5℃を超えないようにするために必要な取り組みには程遠い。IPCCによれば、この目標を達成するためには、2030年までに世界全体で実質排出量を58%、欧州連合(EU)では少なくとも65%、米国ではもっと多く削減しなければならない。
実質排出量ゼロとは、ゼロ排出量ではなく、資本主義的生産力至上主義に適合した「炭素中立性」のことであり、これには、原子力発電、CO2の回収と隔離のためのさまざまなネガティブエミッション技術、「南」の国々と民衆を搾取するさまざまな補償メカニズム、さらには地球工学の展開など、さまざまな危険な偽りの解決策が含まれている。市場と競争にしっかりと根ざしたこの一見野心的な気候政策は、「共通だが差異のある責任」という原則に背を向け、グリーン帝国主義の新たな局面を切り開くものである。何よりも、「2050年までに1・5℃」という限界値を「一時的超過」した後にネガティブエミッション技術によって仮想的に温度を下げるという無意味なシナリオの一部である。しかし、この技術的な気温低下が可能であると仮定しても、状況はきわめて危機的であり、いわゆる「一時的超過」している間に不可逆的な移行が起こる可能性が高い。 資本主義的蓄積と地球の限界との間の絶対的な対立がこれほどまでに目に見えて明らかになったことはかつてなかった。それは、何億人もの人類の物理的な生存を直接脅かし、他の人々(とその子どもたち)が生物多様性の崩壊した荒廃した世界で暮らすことを余儀なくさせるものである。

  (8)

 意識レベルと客観的必要性との間の矛盾の解決は、一方での現在の状況で政治的に実現可能と思われるものと、他方での災厄を止めるために客観的に必要とされる急進的な反資本主義プログラムとを橋渡しする緊急の要求を確認することにあるのではない。また、革命的・エコ社会主義的原則を人為的に大衆運動に押し付けようとすることの中にも存在しない。重要なのはむしろ、(破局的エスカレーションを起こさない)承認された科学的診断、社会的正義・平等な権利・解放・民主主義の原則、未来の世代が生命に適した地球を継承する権利にもとづいた非妥協的な一連の要求を運動が採用することにある。第4インターナショナルは、以下の要素にもとづいて、運動が政策決定者に対して挑戦と不信の態度を採用して、この代数公式を具体化することを提案する。
?1・5℃以下に抑えるためのさまざまな分野(輸送、建築物、エネルギー、農業)での排出削減計画。
?「一時的超過」の拒否。たとえば、IPCCはグリーンランド氷床の限界値を1・5℃から2℃の間としているが、これを超えてしまえば、そのあとで温度を下げても後戻りはできない。
?危険な技術(原子力、遺伝子組み換え作物、地球工学、BECCS[バイオエネルギー+炭素回収貯留])に反対する闘い。[CO2の]回収・隔離を、化石燃料の開発を継続するためのアリバイとして使用することはできない。
?グローバル・サウスの民衆、とりわけ先住民族への敬意。これは補償メカニズムの終焉を意味する。こうしたメカニズムは、グローバル・サウスに、もっとも富裕な人々が排出した温室効果ガスを補償する負担を負わせ、彼らの土地や森林から民衆を収奪するものである。
?気候正義(グローバル・ノースとグローバル・サウスとでの責任と能力の差異化)と社会的正義(ことばの真の意味での「公正な移行)。利益よりも地球を優先し、99%の人々の気候を救い、1%の人々にその費用を支払わせよう。
?原料生産と輸送を削減する絶対的な必要性を避けることはできない。

  (9)

 明らかに、われわれは、生産者抜きで、そしてなおさらのことだが、生産者と敵対して生産様式を変えるつもりはない。このことが意味するのは、主要な戦略的問題はこれまで以上に、気候のための、一般的にはエコロジー的破局に反対する闘いにおける労働運動の関与である。限定的だが重要な事実が最近の期間に起こったが、こうした事実はこの関与が可能であることを示しているため、一般化されるのに値するものである。たとえば、以下のような事実があげられる。すべての予測に反して、フランスの「黄色いベスト」運動と気候運動は、マクロン政権との闘いに集約されてきた。ジェフ・ベゾス[アマゾンのCEO]に反抗して、シアトルのアマゾン本社で熟練労働者がストライキをおこない、グレタ・トゥンベリの呼びかけに応えて抗議し、同社に気候を救うためにとりくむよう要求した。スイスのジュネーブでは、組合幹部が2020年5月15日の「未来のためのストライキ」に向けた準備活動の中で、若者の気候運動やフェミニスト運動と緊密に連携して活動しているなど。パンデミックとロックダウンは、止めることができるし、止めなければならない不必要な生産という問題と、女性が圧倒的に担わされているが、切り捨てられている必要不可欠な生活維持活動の問題を提起している。第4インターナショナルは、左翼の労働組合活動家に対し、こうしたイニシアチブに依拠して、エコ社会主義的闘争に参加するように仲間の労働者の意識を高めることを提起している。追求すべき目的は、労働者が労働条件と生活条件全般の両方で気候変動の影響を受けていることにもとづいて、労働者運動に独自の要求書を作成させることである。第4インターナショナルは、2021年11月にグラスゴーで開催されるCOP26会議と結びついた世界的な気候ストライキの提案を支持する。

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