第4インター国際委員会決議

北アフリカ・中東における革命プロセス:結果と展望 ②

2.反乱の進化:長期的な革命プロセスにおける革命と反革命

 2010年末から2011年初頭にかけて、最初は北アフリカで、すぐに中東全体で始まった民衆反乱は並外れた力を持っていた。それはチュニジア、エジプト、イエメン、リビアの政権指導者を打倒し、この地域の人民の闘争に新たな局面を開いた。通りや広場に詰めかけたすべての社会階層の急進的エネルギーを解放した。とりわけ若者や女性のエネルギーを解放した。それは、何十年にもわたる専制政治によって神聖なものとされてきた恐怖の心理を打ち砕いた。「尊厳・自由・社会正義」や「人民は政権の崩壊を望んでいる」といったスローガンは、それ以来、アラビア語とアラブ文明を特徴とするほとんどすべての国で広まった。新しい自己組織化された闘争方法が、もっとも現代的な文化的側面とコミュニケーションツールを広く用いて発展し、交換されてきた。
 しかし、この地域の体制は、帝国主義大国から借用した「テロとの闘い」の名のもとに、揺らぐ権力を安定させるためにすぐに反撃に出た。モロッコやヨルダンのように、最初のデモが反乱的な性格を帯びる前になんとか抑え込んだ体制もあった。他方では、バーレーンのように迅速に、あるいはエジプトのようにいくつかの段階を経て、反乱を抑圧して絞殺した体制もあった。リビア、シリア、イエメンでは、体制は今日悲惨な状況に直面している民衆に対して本当の戦争をおこなった。リビアでは、カダフィが射殺された。帝国主義勢力は、[リビア]政権が外部からの支援を受けられないときに反乱を支援することを選択した。これは、旧体制が本当に消えてしまった唯一の例であるが、わき起こった希望を毎日埋葬する混沌への道を開くものでもあった。チュニジアの場合では、旧政権のもっとも非妥協的な勢力がニダ・トゥネスの中に結集し、ムスリム同胞団に触発されたアンナハダ運動と同盟を結び、2014年から2018年まで政権を担当した。
 イエメンでは、サウジアラビアは、反乱を鎮圧するために独裁者アリ・サレハを追放しなければならなかった。サウジアラビアは、帝国主義列強および主要な敵であるイランの協力者に反対する「アラブ同盟」の地域列強の支援を得て、サレハに代わって内戦を今も続行している。アラブ首長国連邦は、湾岸南部の海上輸送の物流拠点を掌握し、世界的な港湾大国としての地位を確立することを目指している。シリアでは、アサドは自国と社会を非道にも破壊してでも反乱を鎮圧するために、プーチンのロシアとイスラム法学者支配下のイランの断固たる協力を得て、10年近くもの間、自らの人民に対する全面戦争を遂行しなければならなかった。そして最後に、見習い中の独裁者エルドアンのトルコは、クルド人の願望を鎮圧するために、トルコ国内、ときにはイラク、そして特にシリアのPYD(PKKのシリア支部)が支配する地域に、これまで以上に強力に介入している。地域的な野心を展開するために、トルコはリビアにも介入し、同盟国カタールが政治的に支援しているムスリム同胞団に近い政府を支援した。
 抑圧的体制は、反転攻勢を成功させるために、どちらか一方の権力を支援することで利益を得ることができた。しかし、立ち上がった諸国人民は同時に、(多くの場合武装している)さまざまな政治勢力や政治的イスラム原理主義による偽りのオルタナティブに立ち向かわなければならなかった。
 したがって、われわれは、革命とその成果を押しつぶそうとする反革命のさまざまな側面が地域的に台頭しているのを目撃している。しかし、これらの反乱の根本原因はいずれも解決されておらず、抑圧だけで社会構造を安定させることに成功したことは一度もない。シリアでは、政権のくびきの下に落ちた地域では新たな抗議が開花している。エジプトでは、最近、新独裁者シーシに対する怒りが激しさを増している。しかし、何よりも2019年には、近年の内戦という側面がまだ刻印されているために、最初のうちは反乱を回避した国々、つまりイラク、レバノン、スーダン、アルジェリアなどで新たな反乱の高揚が起きたのである。

3.体制・帝国主義者・反動的宗教潮流の反転攻勢の性格

 この地域の革命プロセスは、人民の深層から発せられる大きな希望と革命的英雄主義の実験室であるが、同時に、帝国主義勢力と国内・地域レベルでの反動的政権の介入の舞台となっており、野蛮と内戦をあおり、無数の犠牲者・難民・避難民を出している。
 現在の状況は、人民革命の後退と反革命のさまざまな主体の台頭によって特徴づけられる。しかし、これは地域における長期的な革命プロセスの一段階にすぎない。
 旧体制は、違いはあっても、国家と制度の支配を通じて、主要かつもっとも危険な当事者であり続けている。旧体制は、「反テロリスト」という言説によって正当化された安全保障装置の強化に支えられ、反革命の伝統的な担い手となっている。体制の存続は、民衆運動に反対するさまざまな国際的・地域的帝国主義勢力の支援によっても説明される。反革命は、国内ブルジョアジー・多国籍企業・世界帝国主義の利益に奉仕する新自由主義的な政策を適用する。同様に、債務問題も特に重要視されている。こうした国々では、債務は政治的服従の道具として、労働者から国内資本への、そして何よりもグローバル資本への所得の移転メカニズムとして機能してきたし、機能し続けている。この状況では、「より小さな悪」を追求するという名目で、専制主義や帝国主義とのコンセンサスを得るために準備されたはずの民主主義的政治勢力の悪質な役割に注意しなければならない。
 この地域の政治シーンで反革命的な存在として際立っているもう一つの主要な勢力は、さまざまな構成要素の中のイスラム原理主義運動である。
 これら二つの勢力[イスラム原理主義運動と旧体制]は、この地域の人民の民主的・社会的解放という目標に対する激しい敵意によって結ばれており、その反動的な政治的オルタナティブと新自由主義政策の深化によって区別されている。

ブルジョア反動的な宗教組織とすべての労働者の解放・人民の解放への敵意

 大規模な反乱の出現にともない、広範な民衆基盤を有し、かなりの潜在的な可能性と経験を持っている宗教原理主義運動は、旧体制の権力に対するオルタナティブであると主張してきた。それらのどれ一つとして、既存の体制に代わる階級的・社会的・民主的なオルタナティブを代表するものではなかった。彼らは、個人の自由と女性の解放に敵意を持っている。彼らは、宗派的・性差別的・同性愛嫌悪的で、賃金労働者や貧しい小農民を敵視する新自由主義的な保守的政治プログラムを支持している。
 これらの宗教原理主義者の名称・教義・固有のルートはさまざまであるが、私有財産制度の擁護と、フェミニズムや社会主義のような西洋的欠陥とされる普遍的な進歩的価値観への憎悪によって統一されている。
 帝国主義国や地域大国は、その地域における自らの権力を増大させ、敵国を弱体化させ、民主的社会運動を鎮め、弾圧するための政治的手段として、イスラム原理主義者を利用してきた。サウジアラビアは、1991年に決別するまではムスリム同胞団を支援したし、その後はさまざまなサラフ派の運動を支援してきた。カタールとエルドアンのトルコは、サウジアラビアに代わって、こうした(チュニジアのアンナハダを含む)運動の守護者となり、他のサラフィスト組織に資金を提供している。イランは、レバノンのヒズボラやイラクのダアワ党のようなシーア派イスラム原理主義組織を支援してきた。
 これらは反動的な宗教的ブルジョア政党である。しかし、大衆的反乱に対する戦術(部分的に提携するか、敵意を表明するか)や政府への接近(エジプトのムスリム同胞団、チュニジアのアンナハダ、モロッコの正義発展党)において、そしてアルカイダやイスラム国(ダーイシュ)のようなもっとも極端で冒険的なジハード主義運動に対する立場によって、異なった立場を取っている。
 アルカイダやダーイシュという二つの組織の強さは、社会的・政治的システムに対する武装した反抗として登場し、独裁政権、公式イスラム、大国の権威に挑戦し、初期の基盤をはるかに超えてネットワークを拡大していくことにある。これらの組織は、進歩的な左翼のオルタナティブがない場合には、民衆の不満を一時的に偏らせることができる。 しかし、暴力の異常なまでの推進、および民間人、とりわけ女性、少数民族、文化に対するテロ政策は、現代の最悪の反動勢力の中でも上位にランクされている。イラクとシリアにおけるダーイシュ/イスラム国の犯罪的な冒険と中東に存在するすべての軍事力との対決は、この地域で自由のために闘っているすべての人々にとって悲惨なものだった。
 今日の原理主義を反帝国主義の逸脱した表現や迂回した表現だとみなすのは、非常に重大な誤りである。原理主義者は宗教的な世界観を持っており、その中には現代世界を説明し、その問題を解決する方法として、イスラム教の神話的な「黄金時代」に戻るという目標が含まれている。この見解は、まったく反動的なものであり、過去の反帝国主義運動とは完全に対立するものである。彼らは帝国主義を「悪魔」と抑圧されたイスラム教徒との間の対立と見なしている。民族主義者や社会主義者が伝統的に考えてきたように、大国およびその資本主義体制と被抑圧国との間の闘争であるとは見なしていない。
 近年の出来事と階級闘争の実験場は、反動的ブルジョア反体制政党が反革命的な徒党だったことを示してきた。具体的状況の複雑さによって実践的には防衛的な統合が生まれる可能性はあるが、それがどのようなものであっても、非常に限定された期間における、完全に独立した立場で、きわめて慎重に行使すべき戦術でしかない。こうした勢力は、改革派や民主的政党として特徴づけることはできないし、彼らとのいかなる政治的同盟や統一戦線をも正当化することはできない。
 もちろん、イスラム原理主義運動は、ブルジョア的・小ブルジョア的指導部と自らの大衆的基盤との間の社会的内部矛盾によって矛盾した行動をとる。しかし、これは、資本主義の主要政党から右翼保守政党・極右政党に至るまで、世界中のエリート主導型政党すべてに当てはまることである。政党内に階級矛盾が存在するのは改革派政党に限ったことではない。
 現実には、既存政権が第一の反革命派である一方で、さまざまなイスラム原理主義勢力は第二の反革命派を構成している。彼らのイデオロギー・政治綱領・実践は反動的であり、革命的解放の目的である民主主義・社会正義・平等に完全に敵対するものである。彼らの政策は、労働者や若者の、そして宗教的少数派・女性・LGBTの人々など抑圧された集団のもっとも意識的なグループにとって致命的なものである。同時に、宗派的でなく、社会主義的な、すべての市民の利益を防衛する、信頼できる、包括的な大衆的政治オルタナティブを構築することなしに、イスラム原理主義運動とその大衆的基盤との間の完全な分離を想像することは困難である。

帝国主義大国と地域大国との間の衝突

 アメリカは、その軍事力と経済力を通じて、依然としてもっとも重要な帝国主義大国であり、その影響力は今後も続くだろう。われわれは、欧州連合(EU)およびフランスやイギリスのような欧州諸国の一部が、この地域で有害な役割を果たしていることも忘れてはならない。それは、とりわけ軍事介入およびいわゆる自由貿易や公的債務問題に関する経済協定の押し付けを通じておこなわれてきた。しかし、ロシアもまた、特に軍事介入やこの地域の多くの専制主義国家、とりわけエジプトのエル・シーシやシリアのアル・アサドとの関係改善を通じて、その積極的影響力をますます強めており、そのことによって関係諸国人民が被害を受けている反革命にとって、より強力な基盤が作られている。
 イラクでのアメリカの戦略的失敗(イラク人民はその侵略の結果にいまだに苦しんでいる)と世界レベルでアメリカの新自由主義モデルに大打撃を与えた2007年および2008年の世界的な経済・金融危機は、アメリカの世界的な力を相対的に弱体化させた。そのことによって、中国やロシアのような他の帝国主義大国にとってだけでなく、自らの利害を持ち、自身を防衛する能力を持つ地域大国にとっても、より大きな空間が生み出されることになった。これはとりわけ中東において顕著に見られている。イラン、トルコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールなどの国家がますます大きな役割を果たすようになり、民主主義・社会正義・平等を求める民衆の要求に反対するさまざまな当事者を支援することで、彼らの対立関係を通じて、革命プロセスにますます介入してきたのである。
 (サウジアラビア率いる)湾岸地域の石油諸王国は、モロッコ王国とヨルダン王国が民衆動員を封じ込めるための譲歩ができるように、数十億ドルという巨額の資金援助をおこない、エジプトとスーダンでは革命に対処するために軍を惜しみなく支援してきた。そうした国々は、イエメン、リビア、バーレーンに軍事的介入をおこなった。そうした国々は、イスラエルとともに地域レベルでの反革命の先鋒となっている。そうした国々は、地域経済の新自由主義的深化と再編、世界市場への統合をめざす帝国主義(主にアメリカ)の目標に奉仕して、現状を維持するために働いている。そうした国々は、反乱に影響力を行使し、民主主義の勢いを制限するために、自らの巨大なメディア装置を用いてきた。湾岸地域の反動的諸王国の頭目たちに照準を合わすことなしには、この地域における革命プロセスの勝利を語ることは難しいだろう。したがって、このプロセスは、国内的ビジョンを超えて、その展望の中に地域的側面を統合していくべきである。
 イスラエル国家の役割は欧米帝国主義と反革命に根本的に奉仕することにあるが、それもまたますます自律的になってきている。イスラエルは何十年にもわたって、この地域における欧米帝国主義の利益の番人だったが、イスラエルと他の地域大国との大きな違いはその植民地的性格である。その反革命的な役割において、地域大国との関係において非常に特殊な性格となっているのは、パレスチナ人排除という植民地的なプロジェクトなのである。
 いずれにせよ、こうした帝国主義大国と地域大国は、シリアでも他でも、地域における人民革命の敗北に共通の利益を持っている。共通の利益が危機に瀕している限り、そして彼らの相互依存関係が強固である限り、彼らの対立関係を克服することは不可能ではない。こうした政権はすべて、民衆革命の敵であるブルジョア権力であり、民衆階級に敵対して政治的・経済的資本を蓄積・発展させることができる安定した政治的状況にしか関心がない。
 さらに、資本主義国家と国際金融機関は多くの場合、体制危機を以前は非常に困難だったか、ほとんど不可能であった経済変化を再構築し、推進する機会としてとらえている。今までは国家部門によってほとんどが支配されていたさまざまな経済部門において、市場経済の領域と新自由主義的原動力を大きく発展させることによってである。このような観点から、この地域の国々の経済政策の方向性は、戦争による荒廃と破壊を克服することを目的としたテクノクラートによる中立的な施策と見なすべきではない。それどころか、この政策は、資本蓄積のための一般的条件を転換・強化する手段であり、また、政権に近い縁故主義的ビジネスネットワークを強化する手段でもある。それに加えて、その地域の政権は世界的な武器輸入者なのである!
 しかし、世界情勢は、深刻な不安定性と潜在的な経済危機を抱えているため、トルコからイラン、エジプトに至る国々で見られるように、この地域の国家およびその支配者の正当性にとって重くのしかかっている。      (つづく)

The KAKEHASHI

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