アフガニスタン 声明(10月4日発行)

2021年8月30日

国内で闘う社会組織への支援と国外避難者の諸権利への支援を

タリバンの勝利は平和生まず

第4インターナショナル執行ビューロー

 アメリカ軍のイラク撤退から10年後、アメリカの介入は、今度はアフガニスタンで、再び本当の大敗北を被っている。このことが、20年前に犯罪的な軍事力でこの2つの国を占領したように、世界の主導的大国として世界的な地政学的関係を支配・操縦するというアメリカ帝国主義の主張にどの程度影響を与えるのか、来るべき時代において見ていかなければならないだろう。
 アフガニスタンは、新たな千年において、このような軍事的攻撃を受けた最初の国だった。アメリカの外交政策当局は、すでに中国・イラン・ロシアを警戒すべき相手として認識していた。彼らは、アフガニスタンが、パキスタンを別にしても、イラン、中国、親ロシアの中央アジア諸共和国と隣接しており、中央アジア諸共和国には比較的未開発の大きな石油・天然ガス資源があることをよく知っていた。
 8月15日のタリバンによるカブール占領は、流血・拉致・強制的移住を特徴とした。つまり、それは3800万人のアフガニスタン人の大多数に不確実な未来をもたらしているのだ。タリバンが―アメリカが予想していたよりもはるかに早く―再び権力を握ったことは、アメリカ帝国主義の政治的信頼性に重大な打撃となっている。そのアフガンでの走狗は崩壊した。

帝国主義者は混沌のなか混乱状況に


 タリバンの勝利は、多くの点でアメリカ帝国主義によって促進された。タリバンとのドーハ合意は、この占領のための道を開いた。カタール、ロシア、イラン、中国、パキスタンが直接または間接的に関与することで、アメリカとタリバンは合意に達した。20年に及ぶアフガニスタンでのアメリカ主導の戦争は何も達成できなかった。アメリカ軍がアフガニスタンから撤退したことで、この国は今、強化されたタリバンのなすがままになっている。アフガニスタン人民が自分たちの運命を決めるのに関わったことは一度もなかった。ドナルド・トランプは今、バイデン大統領を非難するのに忙しい。しかし、実際には2人とも共犯である。バイデンは、アフガニスタンに関わるものであろうが、イスラエル、キューバ、ベネズエラなどに対するものであろうが、トランプの帝国主義政策を継続している。
 トランプがこの合意を推し進め、バイデンがそれを実行した。アメリカの撤退は、「永続的戦争」に対するアメリカ国内の支持が低下していることを物語っており、アメリカ帝国主義がアフガニスタンの泥沼から軍事的に逃げ出して、資源を他の場所に集中させることを可能にした。アメリカは、何が起ころうともアフガニスタンから離れることを望んでいた。彼らは、まず最初に民間人の避難を組織しないで、考えられる最悪の方法で撤退した。
 アメリカの無造作な撤退は、同盟国からさえ怒りを買っている。ヨーロッパの政治家の間では、アメリカの撤退計画に関与していないことに腹を立てて、アメリカやNATOから自律的に活動できる兵力の編成について再び話し合われている。20年前に帝国主義勢力がカブールを占領した時には歓喜して祝福したが、敗北と特にその傀儡政権の急速な崩壊によって、アメリカの同盟国の間に深刻な不一致が生じている。2001年には歓喜にわくブッシュのパートナーの1人だったトニー・ブレアは、この国の「放棄」を「危険」で「不必要」だと非難した。

中・ロがタリバン政権保証人

 タリバンの復活は、アメリカのライバルであるロシアや中国の影響力がその地域においてさらに強まる可能性に道を開いている。2001年に米国がカブールを占領したときとは異なり、中国とロシアはもはやアメリカ帝国主義の側にはついていない。両国はタリバンと「アフガニスタン開発」の方法について真剣に話し合い、アメリカ帝国主義が残したプロジェクトを完成させようとしている。ロシアと中国は恥ずかしげもなくタリバンの独裁政権を承認する用意ができている。この両国は、アフガニスタン人民に何が起ころうとしているかを自国民に答える必要すらないのである。独裁政権にはそれなりの「利点」があるというわけだ。
 アメリカの同盟国間の分裂とライバルの影響力の強化は、ドーハ合意がアメリカ帝国主義にとっての妥協だったことを示している。ゆっくりとした曲がりくねった衰退の中で、アメリカ帝国主義は、20年前にいわゆる「テロとの戦い」を開始したときにアメリカ政府が意図したような方法で事態を支配できないことを悟ったのだ。
 タリバンがカブールを占領したあと、大規模で混沌とした空輸作戦がおこなわれた。NATO軍はカブールの空港から何万人もの人々を避難させた。騒乱と攻撃の結果、数十人が死亡し、数千人以上がタリバンの暗殺隊から逃れるために奇跡的な国外脱出を待っているのだ。空港で何千人もの人々がアメリカとNATOの支援を待っているにもかかわらず、ジョー・バイデン大統領は、8月31日までに劇的な退避作戦を終了させることに固執したままである。このように、アメリカはアフガニスタン人に対して冷淡なのだ。
 また、アメリカは自国の中央銀行が保有する95億ドルの外貨準備金を凍結し、IMFはコロナウイルス救済プログラムの一環としてアフガニスタンに提供される予定だった4億5千万ドルを停止した。
 これは、世界第7位の最貧国であり、タリバンのなすがままになっているアフガニスタンが、さらなる貧困に陥ることを意味する。
この20年間、開発・「民主主義」・軍隊の訓練などの名目でアフガニスタンに費やされてきたものは、投資額としては前例のないものだった。「コスト・フォー・ウォー・プロジェクト」によると、アメリカは2兆2260億ドルをアフガニスタンに注ぎ込んだ。この資金があれば、世界中で基本的な教育や医療を提供することができたはずである。アメリカ国防総省の2020年報告書によると、米国は戦争費用として8157億ドルを費やした。
 この戦争での犠牲者は、2021年4月までに、4万7235人の民間人、72人のジャーナリスト、444人の援助労働者が犠牲になったという事実から推定できる。また、6万6千人のアフガニスタン兵士がこの戦争の犠牲になった。
 アメリカは、2442人の兵士を失い、2万666人が負傷した。さらに、3800人の民間警備員が犠牲になった。NATOアフガン駐留軍には40カ国の兵士が参加した。そのうち、1144人の兵士が死亡した。国外に避難した人々の数は270万人で、国内避難民は400万人である。アメリカ帝国主義は、この戦争に資金を投入するために惜しげもなく借金をした。利子だけで推定5360億ドルを支払った。さらに、帰還した戦闘部隊の医療費やその他の費用に2960億ドルを費やした。戦わずに降伏した30万人のアフガン兵の訓練に880億ドル、ダムや高速道路などの復興事業に360億ドル、さらにアフガン人がケシを栽培してヘロインを売らないようにするための補償金として90億ドルが使われた。
 アメリカ帝国主義は、タリバンやアルカイダの危険性を利用して、人々を拷問するための秘密の収容所や刑務所を作り、人道に対する罪を犯し、グアンタナモを使って正当な手続きなしに人々を投獄し、CIAやNSAを強化し、愛国者法を採用するなどした。

暴力と無能と腐敗の政権が崩壊

 アメリカとその同盟国は、自分たちの占領が開発をもたらし、女性をタリバンの抑圧的な支配から解放すると約束した。しかし、それは実現しなかった。占領はその当初から、地元からの真の支援ではなく、腐敗や暴力、抑圧的な権力者や元軍閥との取引に依存していた。アフガニスタン女性革命協会がコメントしているように、「占領は、流血、破壊、混乱をもたらしただけだった。彼らは、私たちの国をもっとも腐敗した、不安定な、麻薬にまみれた、特に女性にとって危険な場所に変えてしまった」のである。占領は、貧困を撲滅するという目標を掲げていたが、惨めな失敗に終わった。世界銀行の推計によると、現在、アフガニスタンの失業率は25%、貧困率は47%に達している。アシュラフ・ガニとその仲間たちは、巨大な汚職に関与していた。階級間の格差も激しかった。
 アフガニスタン人はアメリカ人のためには戦わなかった。では、どうしてアメリカ人の手先のために戦うというのか? アフガニスタン人民や兵士は、政権のためにタリバンと戦うイデオロギー的基盤を持っていなかった。政権が崩壊したのは、タリバンへの支持が圧倒的だったからではなく、政権の暴力、無能さ、腐敗ゆえに、政権のために戦おうとする者がほとんどいなかったからである。アフガニスタンの歴史的教訓は、外国の軍事介入によって作られた勢力では、国を守ることも、大多数の人々の状況を大幅に改善することもできないということである。20年間、アメリカ軍とNATO軍がアフガニスタンに駐留していたが、彼らが訓練したアフガニスタン軍は戦わずして雲散霧消した。われわれが同様に非難した旧ソ連による占領も、長期政権の樹立には成功しなかった。
 アシュラフ・ガニとその仲間たちは資本主義の最悪の形態を象徴している。その一方で、タリバンは宗教を巧妙に利用している。彼らには、宗教国家という考えがある。アシュラフ・ガニはどのような国家を望んでいるのか明確にしなかった。近い将来、アフガニスタンで、タリバンに対して真剣に反対する勢力が登場するという希望はほとんどない。過去20年間ワシントンに味方し、アフガニスタンにまだ残っている軍閥(その多くは元ムジャヒディーン)のほとんどは、いわゆる「権力分配型統一政府」の交渉でタリバンと関わっている。彼らは自分たちの敗北を受け入れ、今ではタリバンが投げてくれるかもしれないどんなパン屑でも受け入れたいと思っている。そのような軍閥はタリバンに利用され、大衆への救済に失敗した言い訳として、後で起訴されることになるだろう。現在、欧米メディアの一部で称賛されているいわゆる「反タリバン・レジスタンス」も、同様に信用を失った暴力的軍閥で構成されており、オルタナティブとはならない。

暴力で権力を固めるタリバン

 タリバンは、さまざまな戦略を駆使して勢力を強化している。一方では、準備を進め、アフガニスタンのさまざまな地域で敵対者を標的とする殺害を準備し、それに関わっている。他方では、部族指導者や政府の元役人の支持を得ようとしている。これは、包括的政府というイメージを与えるためである。このような包括的であるというジェスチャーは茶番劇にすぎない。カブールが彼らの支配下にあれば、タリバンは自分たちの政権を承認してもらう見返りに、形だけの権力分配を与えるというぜいたくをすることができる。
今のところ、タリバンは、カブールではまだ慎重に活動しているが、この数カ月間、彼らが占領したところではどこでも、いつもの暴力を見せつけている。国連自身やヒューマン・ライツ・ウォッチは、過去数週間にタリバンが犯した戦争犯罪について声明を出している。
 タリバンは、「バーバリズムこそがわれわれの政治」を意味している。彼らの本当の戦略は、人々を恐怖に陥れ、恐怖によって人々を従わせることである。そのため、残忍な刑罰(鼻や手を切り落とす、石打ち、公開処刑、ヘリコプターからの投下)を与えて、できるだけ多くの恐怖を拡散するのである。恐怖と侮辱によって、抵抗勢力を壊すのだ。
 前回、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、パキスタンだけがタリバン政権を承認した。しかし今は、トルコ、ロシア、中国、パキスタンなどの政府が、タリバンに協力する意思を示している。欧米帝国主義国の政治家はタリバンの暴力を偽善的に非難しているが、彼らもまた、将来的にタリバンとの「関与」の可能性を残したままにしている。歴史には、アフガニスタン国内やその地域の両方で、アメリカが反動的運動を支援した例がたくさんある。アメリカは、パキスタンの右派独裁者ジア・ウル・ハク将軍やサウジアラビアの反動的政権と同盟を結び、ソ連が支援するアフガニスタン政府に対して、ジハード主義者の世界的なネットワークを支援した。タリバンは、ナジブラ政権を倒したあと、血みどろの長期にわたる内戦の結果、アフガニスタンにおける権力を握った。帝国の地政学と競争は、その醜い特徴をすべて露呈させている。その代償は、アフガニスタン人をはじめとする世界の人民によって支払われることになるだろう。

将来のオルタナティブのために

 アフガニスタンにおけるアメリカ帝国主義の後退は、反帝国主義勢力の勝利を意味するものではない。アメリカ帝国主義は、民主主義、人権、女性の権利、エコロジー、諸人民の社会的発展とは何の関係もない反動勢力によって打撃を受けた。タリバン政権が最初に権力を掌握した1996年から2001年までは、アフガニスタンの少数民族、女性、一般市民にとって悪夢だった。タリバンは変わっていない。彼らは過去よりも資源に恵まれ、より洗練された方法で活動しているだけだ。タリバンは「イスラムの勝利」という世界的なアジェンダを持っている。彼らは、以前にアフガニスタンを支配していた時におこなったことを、形を変えて繰り返すだろう。今回、タリバンは前回の政権期間とは違って、より長い期間、政権を維持することができるだろう。
 タリバンの勝利は平和の兆しではなく、内戦の新たな局面を開くものである。南アジアにファナティックな宗教国家がもう一つ樹立されるならば、その国境内部での抑圧が強まり、地域全体で宗教的宗派主義がますます促進されることになるだろう。平和の達成は困難なままだろう。タリバンの勝利は、世界中の進歩的人々にとって悪いニュースである。われわれがアメリカの代理人を批判することは、タリバンを支持することを意味しない。
 人々のいかなる抵抗も残忍な弾圧に直面し、大きな障害に直面するだろう。しかし、抵抗の兆しも現れている。銃口でアフガニスタン人民に命令することはできない。
 帝国主義とタリバンの反動的支配の両方に反対し続けなければならない。真に民主主義的で社会主義的な勢力の勝利だけが、アフガニスタンにおける将来の流血を止めることができる。国際主義的な進歩派・急進派勢力は、現在進行中の惨事を和らげ、将来のオルタナティブへの道を開くために、できることをしなければならない。アフガニスタン国内の社会組織への支援と、国際的な離散者の社会的・政治的権利への支援は、帝国主義とタリバンの両方に対するオルタナティブを形成するために不可欠である。
*われわれは、いかなる国もタリバン政権をアフガニスタンを代表する政府として承認しないことを要求する。
*避難や亡命を求める人々に制限を設けてはならない。彼らの滞在、あるいは可能な場所への再移住のために、十分な準備がなされなければならない。
*人道的援助を妨害したり、それをタリバンとの交渉材料にしたりするのではなく、アフガニスタン人の組織を通じて援助をおこなうべきである。
*国際主義的な進歩派・急進派勢力は、アフガニスタン人の進歩的な組織がどこで登場しようとも、その組織とのつながりを築こうとしなければならない。とりわけアフガニスタンの女性組織からの呼びかけには支援を提供しなければならない。
*こうした勢力は、新たな帝国主義的介入を組織しようとするいかなる試みにも抵抗しなければならない。タリバンを帝国主義と介入の産物ではなく、「イスラムの後進性」の産物として描く人種差別的なプロパガンダに反対しなければならない。
*帝国主義にノー、タリバンにノー。
 

THE YOUTH FRONT(青年戦線)

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