危機の時代に役だつ党とは

幅広い党をめぐる論争の継続に向けて
人々の切望に応える展望を
資本主義の管理ではない道

ローレン・カラッソ

 欧州を中心に、統一された左翼の新たな政党の創出が重大な実践課題となり、第四インターナショナル(FI)内部でも、各支部のいくつもの試行をまじえつつ探究が重ねられてきた。資本主義の深まる一方の危機が既成のあらゆる政治勢力を右へと押しやっている。それは、現システム内でのオルタナティブが絶望的に困難になっていることの表現と言うべきものであり、その限りで「リベラル」の客観的基盤は崩壊している。この状況の中でFIの新党論争は、民衆の必要を闘争として表現し、現システムが要求する悪政を突き崩す、そのような政治的手立ての創出と一体的に重ねられている。以下はその論争点を歴史的な経過をも加えつつ整理し、新しい世代の反乱を含む新たな経験的素材に照らしてさらに探究すべき課題を提起している。今年三月のFI国際委員会での討論に向け筆者により提起された。(「かけはし」編集部)

われわれの討論の軌跡と背景

 以下の報告の目的は、ブラジル、デンマーク、イタリア、ポルトガルの報告に関して前回国際委員会の際に設定された討論議事に続いて、その論争を再開することにある。
 第一の論争点は明らかに、アイルランドとSA(ソーシャリストアクション、米国)の同志たちから表明された見解と同一線上にある。同志たちは、われわれがとどまるべき路線をFIの綱領に基づく組織建設と考えつつ、幅広い政党建設についてのあらゆる政策を体系的に拒否している。
 第二の論争は一九九〇年代以来われわれが行ってきたものであり(一九九五年、二〇〇三年、二〇一〇年の各世界大会において)、幅広い政党建設という路線に基づく諸論争に参加してきた同志たちの間で展開されている。
 中心にある問題は、「われわれは何を建設したいと思っているのか?」ということだ。論争は、「幅広い政党」に与えるべき定義と境界に関わっている。
 この論争は、任務と役割の決議をめぐって、前回世界大会でも続いた。すなわち、われわれの路線は、スターリニスト起源の「守旧的な」古典的社会民主主義者、そして「反自由主義」諸潮流と革命派の諸運動の双方を含んで、自由主義化した社会民主主義(SD)の左に位置をとる全潮流を結集する幅広い政党を建設することにあるのか、というものだ。
 この論争における幅広い政党の定義は一般論として、ドイツ左翼党、シナスピスモス/SYRIZA、 ODP、レスペクト(英国)、共産主義再建党(イタリア)、ブラジル労働者党のような諸政党あるいはグループの(その創立に続く年月における)定義だ。
 前世界大会(二〇一〇年)が採択した路線は、幅広い反資本主義政党の建設、すなわち、自覚された革命的遠望を基礎に、たとえ完成された革命的戦略をつくり出していないとしても、またその内部にさまざまな歴史と伝統をもつ政治潮流からの合流を実現する可能性をもつという条件において、自身を最初から資本主義システムの打倒という展望の中に位置づける諸政党の建設、という路線だった。そのような党は同時に急進的な社会運動からも諸潮流と活動家たちを引き込むかもしれない。
 PSOL(ブラジル)、NPA(仏)、左翼ブロック(ポルトガル)、RGA(デンマーク)のような諸政党は自身をその創立時点から先のような展望の中に置いている。これはまた、批判的左翼(イタリア)とスペインの反資本主義左翼が実行に移した構想でもある。
 誰もが理解していることだが、見てきた二つの構想の間にある境界は、まったく通り抜け不可能なものではない。そしてFIの以前の大会(一九九五年と二〇〇三年)には上記双方の構想が含まれていた。これらの構想の出発点はいずれの場合でも、ベルリンの壁の崩壊、並びに一九八〇年代と一九九〇年代のSD諸政党による新自由主義経済政策のあからさまな採用だ。この新たな全体構図は、スターリニスト諸政党の結束力を解きほぐし、これらの諸政党から出現する諸潮流の中に遠心力学(左右への)を高めた。そして、SDの左に新たな空間を生み出し、それ以前からの革命派諸潮流間の分裂を、明らかにもはや不適切なものとしている。ここで触れた革命派の分裂はしばしば、ソ連邦に対する姿勢によって確定されていたのだ。一九八〇年代はまた、自己確認的革命派諸組織建設がはらむ限界をも示した。その路線はほとんどの場合、スターリニズムと古典的社会民主主義に対する反対という立場において生み出され、維持されてきたのだ。
 英国の同志たちはこの間の討論においては、「幅広い反資本主義政党」という見通しに対する不同意を、英国を始めとする多くの諸国におけるそのような構想の不適切さを論拠として説明している。

一九九〇年代の新たな諸経験

 一九九〇年代、いくつかの大陸で革命派の新たな経験が現れた。
 すなわち、SDによる資本主義の社会自由主義的管理に対する拒否をただ一つの基礎として、改良主義活動家と反資本主義活動家を含んで、SDの左に立つ潮流を結集する一つの潮流としての幅広い政党の建設だ。われわれは、ドイツ左翼党が二〇〇〇年代にこの型を代表した、と考えることができる。そこには、社会運動、労働組合、またグローバルジャスティス運動に根をもつ社会主義的反資本主義潮流と、非新自由主義的基礎に基づいてSDとの社会管理連合の確立をめざす「力強い改良主義」を基盤に据えた潮流の、明白な共存がある。
 共産主義再建党とブラジル労働者党の経験も、異なる力学を含んでいたとはいえ大雑把に言ってこの領域に位置していた。イタリアとブラジルのわが同志たちは、一九九〇年代に、これらの建設の歩みがそれらに、資本主義システムとの革命的絶縁を含んだ社会主義の戦略を与えることになることを期待した。双方の事例において、諸制度および国家に対する関係の問題が、それらの政党の危機、あるいは資本主義システムの管理への全面的統合、というどちらかに導いた。これがはっきり示していることは、完成された革命の戦略が不在であることとは別に、国家に対する関係の問題、並びに日常の政治活動をシステムの管理ではなくその打倒という展望の中に置く必要という問題が、新たな党を安定させる点で基本となる、ということだ。
 これこそが、われわれのこの間の大会で発展させられ、特にイタリアとブラジルの諸経験を吟味しつつ、前大会で明確にされた路線が次のようになっている理由だ。つまりそれは、単なる幅広い政党の建設ではなく、資本主義システムの管理という政治的論理を拒否し、社会運動の活動に基礎付けられた革命的な絶縁、社会主義的な断絶をはっきりめざして活動する潮流すべてを打ち固めることを追求する反資本主義の政党建設だ。

機能的綱領備えた政治的ツール

 幅広い政党に関しては、以下の四つの問題が互いに絡み合いつつ生じている。
 つまり、
A.政治的ツールをいかに構築するか。それは、小さな宣伝主義的グループから発生しているものとは異なった、スターリニズムとSDの危機の時代における、一九九〇年代の変化を統合し階級闘争を組織することができる政党という党的道具、スターリニズムやSDに対する批判潮流ではなく、搾取された者たちに役立つ、政治において実際に役割を発揮する政党の問題だ。この問題は直ちに、活動、組織の型、そしてこれらの政党の実践やその社会基盤の問題、選挙基盤ではなく党はどのような社会層を組織できるのかといった問題、を提起する。
B.これらの諸党の綱領問題。つまり、システムの打倒、社会の変革を目標に置く反資本主義の綱領、という問題だ。しかし綱領の問題は明らかに、単なる大会諸文書での言及ではなく、その実体に直接関わっている。この綱領と、スローガン、党のキャンペーン、メンバー/活動家の政治教育、その政治路線の実体、などとはどのように関係するのか、が問題となる。われわれが幅広い政党について、与えられた課題を足場に社会的動員から政治にやってくる活動家の新しい世代を合体させることを論議している以上は、なおさら先のことが問題となる。
 スコットランドと英国の事例もまたつい最近、フェミニズムの課題の実体的統合における弱さがどれほどの悲しむべき結末をもたらし得るかを示すこととなった。しかしその他の課題もすぐさま爆発的性格を帯びる可能性がある。たとえば、反帝国主義、イスラム嫌悪主義、レイシズム、エコロジー。特にそれらもまた、党の路線をめぐる民主的な論争の中で集団的に統制されなければならない緊張をはらむ、爆発的性格にも刺激を与えるのだ。

制度との関係が実践上重大化

C.諸制度に対する関係の問題。まずもちろんだが、ここまで見てきた再結集の問題はSDとの対比において起きているという事実が、すでに別個の独自性を示唆している。しかしこの別個の独自性は、実践的独立性、ブルジョア政治の諸制度の管理に関する社会民主党との協力に対する否認と自立として移し替えられているだろうか?
 この問題は明らかに綱領に関わっているがしかし、国家との関係と社会における党の役割についての党の理解、そして政治的行動をどのように翻訳できるかという点に、もっと具体的に現れている。
 労働運動の伝統的諸政党(社会民主主義者と元のスターリニスト)は本質的に改良主義の諸政党であるが、同時に議会政党でもある。これらの諸政党にとってその機能、政党の本質は、議会内における存在、党の重心となっている制度上の活動だ。しかしこの定義は、今日の社会における政党の定義だ。なぜならばその本性上民主主義の議会システムは政党の役割を、そのシステムを打倒するために抑圧された者たちと搾取された者たちを組織することではなく、システムの管理機構の中で有権者を代表すること、と考えるからだ。諸制度に対する関係というこの問題が、共産主義再建党とブラジル労働者党のような政党の中で、数多くの論争を決してきた。それは、国家の最高位のレベルにおいて制度を管理することに、あるいは社会自由主義政権に支持を与えることに導く形で、特定の時点でルビコン川を渡ることと一体だった。
 しかしこれらの論争は近年、ポルトガルやデンマークのように、またここ最近ではフランスのNPAにおけるように、諸制度の中により卓越した位置を占めている幅広い政党の中でも現れた。
D.社会運動並びに急進化の新たな形態に対する関係。資本主義の危機というこの間の年月は、政党の抑圧された者たちに対する有用性を問題に付してきた。システムに対する輪番的な管理、そして保守政党と社会民主主義者による労働者に対する諸々の攻撃は、制度とブルジョア民主主義の機能に対する不信任、さらに政党が提出する解放に向けた政治構想に関する深い懐疑を、かなりの程度高めた。しかしこの不信任はまた、急進左翼諸政党の上にも跳ね返ってきた。
 いくつかの諸国における近年の「怒れる人々」の経験もまた、グローバルジャスティス運動内の大きな論争を経て、上に見た矛盾に脚光を当ててきた。新しい層、新たな世代が立ち上がり、システムに反乱しているがしかし、全政党が形作るシステムに同化してもいる。こうして彼らは、彼らが闘っていると主張するシステムの中に組み込まれているような外観を呈している。また同時にこれらの新しい政治空間は、急速な反資本主義的政治化ないしは急進化の源でもある。
 同時に資本主義の危機は若者たちと労働者の内部に、システムが生み出す拒絶感と嫌悪感を基礎として、超反動的でファシスト的な潮流に向かう道をもつくり出している。

幅広い党の問題が直面する矛盾

 幅広い政党という問題はこうして、上のようなひとかたまりの矛盾に直面している。
 すなわち、
▼社会民主主義の政策と対立する立場に立ち、反資本主義綱領を発展させる政党であること。
▼危機に直面し急進化する労働者と青年層を組織すること。
▼社会自由主義の管理当局とのいかなる制度的な協力をも拒否しつつ、社会的諸闘争の組織化に参加することを手段に、抑圧された人々に役立つ政治活動を実現すること。
▼単なる選挙上の政治戦線ではなく実体のある政党を作るために、政治的で民主的かつ教育的な内部生活を確保すること。それは、「現実主義と政治的真剣さ」という圧力に対して、結集する全政党の団結を固めることと同時並行的に進められる。そして先の圧力は、国民的な政治生活の中でそれらの勢力が重要な位置を占めればそれだけ成長するのだ。

 もちろんまず、安定したやり方でそのような幅広い政党を建設するという望みに信頼性はあるのか、という問題はある。
 この展望と形態の現実性という問題は、明らかに各国の諸条件、急進左翼の状態とわれわれ自身の主導性を発揮する能力に依存している。モデルがまったくないだけではなく、状況としては、唯一の持続性のある成果は、政治諸組織の戦線ないしは選挙戦線だけとなるかもしれない。
 たとえばこれこそ、英国におけるレスペクトの事例だった。しかしこの場合であってさえある時点では、出発点の政治的構成を超えて、前述した枠組みを克服し新たな一つの党へと進むという課題がレスペクト内にはっきりと提起された。これは必然的に革命的な立場に進化する形で反映されるわけではないがしかし、状況に質的な変化をもたらすことになったと思われる。その当時SWPはこのような展開をあからさまに拒否したが、それは、レスペクトとSWPの危機における第一歩だった。

民衆への実践的回答めざす連合

 しかし何よりも近年におけるもっとも重要な問題は、反資本主義政党あるいは幅広い政党の、危機を前にする有用性という問題となった。
 欧州には、特に一九九〇年代と二〇〇〇年代の、グローバルジャスティス運動が駆動力となり急進左翼に力を与えた活力ある波があった。
 二〇〇八年以来の資本主義の危機の深刻さは、反資本主義的回答に向けた要求により鋭く焦点を当てることとなった。しかしそれは、欧州反資本主義左翼により大きな可視性と有効性をもたらしたりすることはなく、実際は逆だった。二〇〇〇年代の危機(共産主義再建党、レスペクト、スコットランド社会党)に続いて、ドイツ左翼党とNPAの危機が到来した。
 各々の場合に対して特定の原因がある。しかし結果として残っていることは、欧州の急進左翼の駆動力であるかのように見えた諸政党が危機に入った、ということだ。
 ここ何年かの年月は、民衆の関心の中心部に、特に欧州において、国家債務と関係した構造調整政策に対決する闘いという問題を置くことになった。一方で危機は、資本主義システムの残忍な作用を明確にしている。しかし他法でそれは、新自由主義諸政策によって引き起こされた社会的損害に対する、即刻の解決に向けた要求をむしろさらに強めてもいる。
 ギリシャの危機のこの間の上昇と下降という時期に際して鍵を握る場をSYRIZAが占めたこと、およびフランスの左翼戦線が昨年同じくそうしたことは、上の情勢によって説明される。
 資本主義の悪政の根源に対決し、システムとの社会的衝突を引き起こすことのできる社会的動員が不在である状況において、危機の犠牲者たちは、危機と緊縮諸策が生み出している彼らの苦しみに対する即刻の回答を追い求めるのだ。
 われわれはこの全体構図から教訓を引き出さなければならない。そして優先性が高いものとして、資本家と諸政権が仕掛けている社会的攻撃に対し、現在の危機の枠組み内部における具体的な回答を提案し闘うことのできる政治的なツールの構築に関心を高めなければならない。統一戦線政策の枠組みに沿った、反緊縮戦線の構築、あるいはそれらの計画に反対する政治的、社会的勢力を結集する連合の構築が、われわれの基本的関心とならなければならない。この領域に自身を置いている政治諸勢力に対して統一した行動を提起することが、われわれの行動のテコとなる必要がある。それが意味することは、この危機を前にした基本的要求を含む反緊縮のわれわれの緊急綱領を前面に据え、先のような戦線の基礎として利用できるようにしなければならない、ということだ。

開かれた姿勢保ち論争継続を

 同時に過去一〇年の経験は、幅広い反資本主義政党の建設という前回大会の課題設定中にはらまれた論争を呼ぶ諸問題を、さらに維持することを必要にしている。
 つまり、
1.経済的、エコロジー的また資本主義の危機の継続と、来る年月におけるそのおそらくの悪化は、変わることなく、このシステムが生み出し維持している搾取と抑圧に対し共同しまたグローバルな形で闘うために、革命派と反資本主義者の確固とした政治行動をより一層不可欠としている。
2.われわれは、搾取され抑圧された者たちの社会的闘争を組織するために、わが支部の枠組みを超えて広がる政党を建設するという展望を維持する。そして、反資本主義の領域で社会的かつ政治的に活動している活動家たちの結集を追求し、これらの活動に政治的有効性と結集力を与えるよう務める。
3.その可能性と形態は各国の条件とわが支部の現実に大きく依存している。いずれの場合にあっても、われわれが必要としている姿は、他の反資本主義組織に対する、またさらに特に社会運動に出現している活動家の新たな世代に対する、公開性という姿だ。
 この間の諸経験は、それらの活動家層を議会に関する立場の上にではなく、社会運動の諸勢力に基礎付けることを通してそれらの政党を安定させる必要を強めた。これは、国家とブルジョア諸制度に関するわれわれの分析をそれらの政党内部で共有することに対する配慮を伴うことで進む。
4.われわれはまた、国際的な関係と反資本主義諸組織の国際行動に向けわれわれの関心を維持しなければならない。近年はこの領域に後退と障害を記してきたが、危機の国際的展開がそのような行動をより一層必要にしていることを特に前提に、われわれは意識的な注力を維持しなければならない。前回世界大会は諸組織を結集するわがインターナショナルの能力を明らかにした。とはいえ地域会合や共同行動を行う努力は依然明確に停滞している。

▼筆者は、労組活動家であると共に、フランスNPAの全国指導部とFIビューローのメンバー。フランスLCR(FIフランス支部)では政治局メンバーだった。(「インターナショナルビューポイント」二〇一三年六月号)

The KAKEHASHI

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