フィリピン共産党指導部の暗殺政治こそ利敵行為である

「戦旗」の「かけはし」批判に反論する

「暗殺テロ」批判は
「反人民的犯罪」か

 「戦旗派」と「烽火派」の合同によって形成された共産同(統一委員会)は機関紙「戦旗」05年4月20号の論文「ネパール、フィリピンでの事態について」(共産同〔統一委員会〕国際部署名)で、「フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス」の代表でありアクバヤン(市民行動党)の議長でもあるウォールデン・ベロの、フィリピン共産党(CPP)の最高指導者であるジョマ・シソン氏に対する「公開質問状」(本紙1月24日号に訳載)を取り上げた。そしてこの論文の中で、ベロらをブルジョアジーとの「協調、和解の道を歩む」右翼日和見主義と批判するとともに、CPPから離脱して別個の左翼組織、革命組織を結成して闘ってきた活動家たちに対するCPPの内ゲバ主義暗殺路線にきっぱりと反対してきたわれわれの立場をも批判している。
 「戦旗」論文は述べる。「ベリョや『かけはし』の言動は米帝の側面攻撃援助として革命勢力破壊攻撃に手を貸すものだ」「米帝やアロヨ政権は……主要なバヤン活動家の暗殺を全国的に展開している状況下では、ベリョたちや第四インターの反NDFP(フィリピン民族民主戦線)、CPPキャンペーンはそれに手を貸す許すべからざる反人民的犯罪行為といえるものである」。
 こうした主張は、まったくCPPの引きうつしである。

左翼活動家への襲
撃がエスカレート

 しかしながら、このような「戦旗」論文の「かけはし」への断罪は、われわれのCPP批判の核心を素通りしている。つまりCPPによる他の左翼活動家に対する「内ゲバ主義」の極致とも言うべき系統的な暗殺テロ路線への言及がまったくなされていないのである。
 一九九一年から九三年にかけたCPPの全国規模の大分裂の中で、シソン路線の「再確認」を拒否したCPPの多くの元指導的カードルはシソン指導部から「人民の敵」「裏切り者」として「死刑」判決を受けた。その「判決」は決して「脅し」ではなく、実践されたのである。
 とりわけ二〇〇三年一月にケソン・シティーのレストランで元CPP政治局員でNPA(新人民軍)司令官だったロムロ・キンタナールが殺害されて以後、CPP│NPAの暗殺作戦は、従来の地域レベルの地下活動家に対するものから、公然大衆運動部門の活動家をもターゲットにするものへとレベルアップしてきた。
 以下、二〇〇三年一月以後にかぎって幾つかの例を紹介する。
●二〇〇三年二月四日 ケソン州のボンドク半島で、農民リーダーのレイムンド・テテン・テヘノが殺害される。
●二〇〇三年五月六日 ヌエバ・エクイヤでアクバヤンの地域代表で農民運動指導者のリト・バユダンが殺害される。
●二〇〇三年五月二十八日 ジャボンガにおけるアクバヤンの自治体レベルの支部の代表だったフロレンテ・ボーイ・オクメンが殺害される。
●二〇〇三年六月十一日 MLPP/RHB(フィリピン・マルクス・レーニン主義党/革命的人民軍)のオルガナイザー、ドニエ・バレンシアが誘拐の数日後にバターンで殺害される。
●二〇〇三年八月二十二日 RPA―ABB(革命的プロレタリア軍―アレックス・ボンカヤオ旅団:RPM―P〔フィリピン革命的労働者党〕の軍事組織)の指揮官ダニエル・バトイがマカトで射殺され、彼の娘も殺される。
●二〇〇四年九月二十六日 RPM―P/RPA―ABBの議長アルトゥロ・タバラが、メトロ・マニラで殺害される。この時、タバラの娘のボーイフレンドだった十九歳のスティーブン・オンも射殺。
 このようにして、非CPP系の左翼グループすべてに対するCPP―NPAの暗殺路線は、ブッシュのイラク侵略戦争の発動と、米軍・フィリピン国軍一体となったフィリピンでの「対テロ作戦」激化以後、むしろエスカレートしているのであり、CPP―NPAの「暗殺」路線が、帝国主義やアロヨ政権に弾圧の口実を与える結果をもたらしているのである。
 そしてCPP―NPAやNDFは、これらの襲撃・暗殺が「人民の敵」に対する自らの「裁き」であることを決して隠そうとはしていない。

革命運動を内部か
ら瓦解させる誤り

 「シソン教授」は、昨年十二月七日付「アンバヤン」(CPP機関紙)に掲載された「一覧表」は、「フィリピンのエセ革命グループ」と「外国のトロツキストや社民」との「イデオロギー的・政治的結びつき」を示しただけだ、と述べる。確かにそれは直接的「暗殺教唆」ではないだろう。しかし、CPPと非CPP系左翼との関係を「革命対反革命」の図式で描きだし、革命運動をCPPが独占することによって、一切の異論派を「帝国主義の手先」として描きだし、暗殺テロを理論的にも実践的にも正当化するCPPの路線を考えるとき、この「一覧表」がそこで名指しされた組織・グループや活動家にとって「ヒットリスト」という脅威に転化することは、まったく当然である。
 「戦旗」論文は、「論争によって彼我の見地を発展させていくことはきわめて健全かついいことである」と述べる。その通りだ。「しかしながら」と同論文は続ける。「幾度も言うが絶対に許すべからざることは敵の手を借りて論争相手を拘束、抹殺させることである」と。
 それでは革命党派が「敵の手」ではなく「自分の手」で「論争相手を拘束、抹殺させる」ことは認められるのか。それは正しいことなのか。革命運動・大衆運動を内部から瓦解させるそうした内ゲバ殺人路線はまさに利敵行為ではないのか。
 われわれはCPPに対して「内ゲバ暗殺」路線の放棄を求めた。この核心について「戦旗」論文はまったくふれていない。そして、この問題は決してフィリピン革命運動の「内部事情」によって正当化されるものではないし、今日の「反グローバリゼーション運動」全体にとっても重大かつ深刻な課題を提起している。世界的な「反グローバリゼーション運動」の中でも、戦略的な相違と論争が存在しており、その論争を深め、発展させていくことは「戦旗」論文が言うように望ましいことだ。しかし「論争相手を拘束、抹殺」する恐怖のまん延を容認することは、論争の前提条件を根底から破壊するのだ。
 第四インターナショナルをはじめとする欧州の革命的左翼は、シソン氏の政治的亡命の権利の剥奪をねらい、CPP―NPAを「テロ組織」のリストに挙げる帝国主義権力の攻撃に反対して闘ってきた。しかしその立場は、CPPとシソン氏の「暗殺テロ」政策の容認を絶対に意味しないのである。   (平井純一)

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