中核派は再共有運動への敵対とテロを自己批判せよ
反対同盟とともに木の根一坪共有地を守りぬこう |
闘いの焦点となった共有地
今年で三十三年目を迎える三里塚空港反対運動は、ふたたびみたび闘いを焦点化させている。
一月十八日に行われた年初恒例の反対同盟旗開きは、二期工事計画予定地内の横堀現闘本部前で開かれ、運輸省が計画している「平行滑走路二〇〇〇年度完成」に対する闘いの姿勢を明らかにした。そして、もうひとつ本年から本格的な攻防の環となる木の根一坪共有地にかかる芝山鉄道建設への断固たる反対の立場を表明した。
八三年に開始された大地共有運動�一坪共有化運動で共有者となったすべての人々にとって、政府・空港公団に抗して共有者としての力を主体的に行使し得る闘いの季節が訪れている。
形を変えた土地強奪許すな
昨年十二月七日に行われた芝山町長選挙で勝利を収めた人物は元反対同盟の相川勝重であった。彼は、立候補段階ですでに「平行滑走路二〇〇〇年度完成」と「芝山鉄道建設」を公約に掲げ、当選後はその言葉通り一坪共有者への「土地の返還」を求めて動き始めた。
すでに彼は反対運動から離れるだけでなく、運輸省や空港公団のお先棒を担ぐようにまでなり果て、さらには反対運動に敵対する同じ仲間を増やそうとまでしている。空港公団にしてみれば格好の「反対運動切り崩し要員」を得たわけであり、反対同盟としては「仲間内」でのつぶし合いを仕向けられた形となっている。
この構造は、まさに反対運動開始後ほどなくして始まった親戚・縁者を使った反対同盟切り崩し攻撃と同じものである。「空港と地域の共生」と、常に空港を先に位置付けた「共生」策は、決して地域の側から空港を見ようとはしない空港公団の本質そのままである。今回始まった芝山鉄道建設を掲げた一坪共有地返還要求は、形を変えた土地強奪に等しく、しっかりと敵の意図を見定めておかなくてはならない。
芝山町長と空港公団の欺瞞
一月二十二日に芝山鉄道の「起工式」が行われ、計画から二十年ぶりに芝山町側の工事が始まった。京成東成田駅から伸びる空港内部分はすでに工事がなされており、今回の起工式は昨年夏に発表された木の根三戸の移転合意を契機にして踏みきったものと見て取れる。
だがしかし、この工事着工はすべての土地を取得した上でのものではない。芝山鉄道建設予定地には一九八三年に反対同盟の呼びかけで始められた大地共有運動によって、九百人弱の共有者を擁する木の根一坪共有地が存在している。
起工式での芝山町長の記者会見、一月三十日付で芝山町在住の一坪共有者宛に郵送された芝山町長らの「芝山鉄道建設協力要請書」のいずれもが、「町民の悲願」を盾にした芝山鉄道建設の成就を声高に叫んでいる。しかしこの計画が芝山町行政の「空港見返り事業」のためだけでしかなかったことは、当事者たちが一番良くわかっているはずだ。
空港公団と千葉県の両者で六〇%以上の出資金を負担する第三セクター方式の芝山鉄道会社だが、「木の根用地の未取得(=C滑走路建設部分の用地未取得)」を理由に、これまで二十年近くもの間何らの積極的な会社運営はなされず、幽霊会社同然であったものだ。
芝山町にしても、前町長の内田裕雄(九七年十一月に収賄罪で起訴されて辞職)は、木の根三戸が移転合意する直前まで一坪共有地をかすめるその建設ルートをきちんと把握していなかったほどである。演出された「町民の悲願」を旗印にしながら、大地共有運動によって守られた一坪共有地を孤立化させようとの意図が明らかだ。
反対同盟は依然として、平行滑走路、横風用滑走路いずれの滑走路建設にも反対しており、共有地堅持は一坪共有者にとって今もなお重要な反対運動支援の柱であり続けている。
中核派は共有者に自己批判せよ
こうした空港公団の暗躍や芝山町長らの動きに対して、中核派による反対運動の歴史歪曲、大地共有運動への敵対の隠ぺいを伴った認めがたい言説が始まっている。
中核派機関紙「前進」(第一八五一号三月二日付)紙上に掲載された新井利治署名論文がそれだ。その論文は、一九八三年に取り組みが始まった反対同盟(元熱田派)による大地共有運動の歴史的歪曲を行うとともに、中核派がこの大地共有運動に反対、敵対した上でわれわれJRCLの同志にテロ襲撃を行ったことを隠ぺいし、その同じ共有者に対して「共有地の堅持」を呼びかけるという、絶対に容認することのできない主張を行っている。
大地共有運動―一坪再共有化運動は、共有地を政府・空港公団の切り崩しから防衛するとともに、三里塚闘争の支援者が自ら土地の共有者となることによって、三里塚闘争により一層主体的にかかわろうとするきわめて重要な闘いとして提起された。それに対して中核派は「土地売り渡し運動」「金もうけ」などという、奇怪な中傷を行い、「三里塚闘争の大義を裏切るもの」とののしって一坪再共有運動の中止を要求し、激しい敵対を行った。
しかし中核派の敵対にもかかわらず、一坪再共有運動は千人近い共有者を新たに獲得した。すると中核派は、再共有運動の中心を担っていたわが同盟の活動家に対して残虐なテロ襲撃を加えた。八四年一月に、五人、七月に三人の同志に、居宅あるいは出勤途上で中核派のテロ部隊が襲撃を加え、頭蓋骨骨折、両手足骨折などの重傷を負わせたのだ。そのうち一人の同志はアイスピック様のもので足をメッタ刺しにされ、ガスえそを起こして片足切断を余儀なくされた。その後も中核派は、全国の共有者に対し、執拗に「次はお前だ」「殺してやる」という脅迫を加え続けたのである。
ところが「前進」(同前)は次のように訴えている。
「……脱落派は、一坪共有地を切り売りし、反対同盟を内部から解体し条件派に変質させようとした。今や彼らは自らの私利私欲のために『空港早期完成』『一坪解消』を呼びかけ、公団に恭順を誓っている。階級的制裁は正義である。革共同は、脱落派の再共有化に応じた人びとを含む全国千二百人の一坪共有者に訴える。その権利を絶対に守り抜くことは人民の正義であり、三里塚闘争勝利のために不可欠である」。
何という矛盾した論理であろうか。中核派が「その権利を守り抜くことは三里塚闘争の勝利のために不可欠である」として呼びかけている一坪共有者は、自ら残忍なテロ襲撃を加え「殺す」と脅迫した三里塚闘争支援者なのである。
北原派は何と主張していたのか
さらにこの文章の前段では、木の根一坪共有地の土地提供者である加瀬勉さんが「公団への売り渡しを拒否している」などと加瀬さんの意志を代弁して見せているが、この加瀬さんの声明は反対同盟(元熱田派)の旗開きでなされたものであり、彼らに加瀬さんの主張を紹介する資格などあろうはずもない。
この木の根一坪共有地を築き上げた大地共有運動では、直接傷つけられたわれわれの同志だけでなく、当時この大地共有運動に賛同しともに共有化運動を担った三里塚闘争支援者への中核派によるゲバルトや恫喝は尽きることがなかった。中核派は、こうした事実に全く触れず、いまになって木の根一坪共有地の重要性を説き、共有地堅持を訴えるという茶番以下の芸当を見せている。彼ら中核派にそうした呼びかけを行う資格は断じてない。大地共有運動への敵対とこれを支持・支援した仲間たちへのテロ襲撃、ゲバルト、恫喝を「前進」紙上で自己批判し、被害者に謝罪するとともに、自らの路線選択の誤りと内ゲバ主義の誤謬を認めるべきである。
さらに、この中核派の支援を受けている反対同盟(北原鉱冶事務局長)もまた、同様の歴史歪曲を行い、相川糾弾の矛先の一方で木の根一坪共有地の重要性をいまさらのように訴え始めている。反対同盟(北原事務局長)による「弾劾声明」文(一月二十三日付で発表されている)では、「……反対同盟の実力抵抗で事業認定の期限が切れ、強制収用できなくなり、買収によるしかなくなったいまこそ、一坪共有運動の真価が発揮されるのである。一坪共有地の取得なくして芝山鉄道も二期工事も完成しない。だからこそ一坪用地が問題になったのだ。一坪共有運動はその効果をいままさに果たしているのである」などと述べている。
反対同盟(北原鉱治事務局長)が編著者となって反対同盟分裂後の一九八四年二月に刊行された『大地をうてば響きあり 十八年目の三里塚(社会評論社発行)』は、全編これ反対同盟(元熱田派)批判でまとめられ、その中心部分に大地共有運動に対する敵対がすえられている。
たとえばその第三章「(3)一坪再共有化運動の犯罪性」は次のように記している。
「……要するにそれは(筆者注 一坪再共有化運動のこと)、土地を売る運動であり、それによって金を集める運動であった。そして重要なのは、この運動が結局のところ『農地死守』の闘いに『再共有化』を対置することによって、用地内反対同盟農民に全面的に敵対し、これを切り捨てようとする運動となってゆくことである。そして彼らは、こうした三里塚闘争の最も核心的な原点、基本原則である『農地死守』を否定する運動を、『三里塚に緑の大地を』とか『新しい人民の村』などの欺瞞的スローガンでおし進めていった」。
このような、北原派反対同盟のかつての主張と「一坪共有運動の真価」=木の根一坪共有地の重要性を語る今日の主張に、全く整合性がないことは明白である。
反対同盟(北原派)が「一坪共有運動の真価」を語るとすれば、それは中核派と一体となった一坪再共有化運動への中傷と敵対が誤っていたと認めているということを意味する。そうであるならば、その誤りを公式に認め、反対同盟(元熱田派)に対する「脱落派」という規定を撤回すべきである。
一坪共有地を堅持しよう!
今年の反対同盟旗開きでも明らかとなったように、反対同盟の二期工事反対の姿勢は変わらない。運輸省による「平行滑走路二〇〇〇年度完成」計画に対する闘いの意志も堅固だ。そして、木の根一坪共有地つぶしとなる芝山鉄道建設、これと抱き合わせになるC滑走路建設も一切認めていない。
一坪共有者がその共有地を堅持し続けるのはもちろんのこと、反対同盟の闘いを支援する者にとっても、運輸省や空港公団の卑劣な反対運動への敵対と切り崩しは決して容認できないものだ。いまあらためて、反対運動への支援・連帯と大地共有運動の真価を発揮させる闘いを確認しておこう。それがこの運動を担ったわれわれ自身の責務であり、大地共有運動に賛同しともに戦い抜いた仲間たちへの信義の証であろう。
反対同盟とともに、二期工事阻止、一坪共有地堅持、空港反対闘争の勝利を!
THE YOUTH FRONT(青年戦線)
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