日本革命的共産主義者同盟(JRCL)第23回大会 政治決議
アジアの労働者・民衆と連帯し
社会主義革命運動の再生を!
社会主義オルタナティブの形成へ
日本革命的共産主義者同盟(JRCL)は、二月上旬、第二三回全国大会を開催した。大会には全国から代議員ならびに中央委員が参加した。大会は活発な討論の末に、政治決議、「エコロジーと社会主義」、「第四インターナショナル日本支部問題についての決議」を採択した。大会で採択された政治決議を掲載する。
日本革命的共産主義者同盟(JRCL)中央委員会書記局
はじめに
2018年3月、ヨーロッパで第四インターナショナルの第四インターナショナルの第17回世界大会が開催された。日本革命的共産主義者同盟(JRCL)と国際主義労働者全国協議会(NCIW)は、同世界大会にオブザーバーとしてメンバーを派遣した。
アジア、オセアニア、中東、アフリカ、ヨーロッパ、南北アメリカの36カ国から代議員、オブザーバーが参加した世界大会は、活発な討論を経て「資本主義的グローバル化、帝国主義、地政学的カオスとその意味」、「資本主義による環境破壊とエコ社会主義オルタナティブ」、「社会的激動、反撃、オルタナティブ」、「役割と任務に関する文書のために」を採択した。
世界大会で採択された諸決議については、『反資本主義の共同から21世紀の社会主義へ ―新時代を切り拓く実践のために』(新時代社)として、すでに刊行されている。われわれは、この大会で決定された諸決議について討論を深め、われわれ自身の活動に生かしていこうとしている。そしてわれわれ自身の闘いを国際的に発信していく必要がある。
第四インターナショナルの日本支部として闘ってきた日本革命的共産主義者同盟(JRCL)は、組織内の女性差別問題を女性への謝罪を通して克服することができず一九九一年の第四インターナショナル第13回世界大会で支部資格を喪失した。以来、われわれはすでに30年近くにわたって女性の同志たちとの間で、共に闘う同志としての討論をなしえないままであるという現実が、われわれの主体的危機の根底にある。日本における第四インターナショナル支部の再建のための闘いは、われわれのこのような過ちを克服し、女性、LGBTの人びとと共に闘っていこうとする過程と一体でなければならない。
そのためにも、前回22大会以後の日本・世界の情勢の枠組みと、われわれの組織と運動の現実をあらためて振り返ってみたい。
1 2013年4月22回大会からの5年間
福島原発事故から2回目の春となる2013年4月にJRCL22回大会が開催された。同大会は、前年の2012年末総選挙で、安倍総裁率いる自民党が解散前の一一八議席の約二・五倍となる二九四議席を獲得し、友党の公明党と合わせて衆院全議席の三分の二以上を獲得する大勝利を達成した情勢の中で開かれた。野田民主党政権は大敗し、安倍自公政権がスタートしたのである。
22回大会アピールは次のように述べている。
「安倍政権は、『アベノミクス』と名付けられたインフレターゲット政策を背景に、TPP交渉への参加、『解雇自由化』など雇用政策の一層の『柔軟化』、生活保護基準の切り下げなど一連の露骨な新自由主義的戦略に大きく舵を切った。それはグローバル資本主義システムの深刻な危機の中で、労働者・民衆に犠牲を一方的に強制するむき出しの攻撃であり、また2014年以後の消費税大幅値上げという大衆収奪と結びつくことで、格差・貧困をいっそう社会的に拡大することになる。この攻撃は、原発、沖縄と日米軍事同盟、憲法改悪などの問題を通じた、ブルジョア統治体制の国家主義的・強権的再編と結びついている」。
この中で「われわれは、原発、沖縄、改憲問題を結びつけながら、さらにTPP、反貧困等の課題とも連携させた政治的方針をもって、共同の戦線を築き上げることにつとめる。この中で国際的なグローバルジャスティス運動の立場からの取り組みもいっそう重要になっている」。
一方、それ以前において「反資本主義左派政治勢力の結集」への具体的取り組みを検討してきた中で「われわれは拙速的にではなく、柔軟かつ原則的に『反資本主義左翼』潮流の形成に向けた討論を、現実の運動を足場にオープンな形で進めていく必要がある」としたが、それは事実上、われわれにとっては「反資本主義左翼勢力」の結集にむけた取り組みを、当面のところ後景化することを意味した。それはわれわれ自身の政治的・組織的な弱さ、20代~30代の若い世代の政治的獲得に向けた取り組みがきわめて困難である主体的状況の表れでもあった。
われわれは、新たな「反資本主義左翼」のための闘いを、いったん脇に置いた上で、安倍改憲政権に対する共同闘争に自ら参加し、その運動の中で自らの政治的再組織化のための方向を発見しようとするところから始めざるをえなかったのである。それは反面では、イラク反戦運動と結合した21世紀初頭の「世界社会フォーラム」の運動が提起した課題と運動をどう発展させるか、という問題意識の後退にも結びついてしまった。
大きな転換を見せ始めた朝鮮半島の動向の中での、韓国における労働者、青年・学生たちの広範な闘いとの問題意識の共有、香港の同志たちとの連携した闘い、そして例年のマニラ学校を通したアジアの仲間たちと結びついた共同の討論は青年活動家層の獲得のための基盤を形成する。
安倍政権は、自らの任期中に憲法9条を軸にした改憲を実現するプログラムを現実の政治日程にのせてきた。ここで安倍政権5年間について改めて振り返ってみよう。それはJRCLの前回大会以後の現在に至る5年間をどのように闘ってきたか、その選択がどうであったかを振り返ることでもある。
2013年 秘密保護法(12月)
2014年 集団的自衛権行使容認の閣議決定、沖縄県知事選:翁長候補が圧勝 年末総選挙:与党圧勝
2015年 戦争法制(安全保障関連法)反対運動と強行成立
2016年 盗聴法改悪、南スーダンPKO派兵など、参院選:野党共闘、東京都知事選:小池勝利、米大統領選:トランプの勝利、天皇生前退位メッセージ(8月)
2017年 安倍「2020年を改憲の年に」とするビデオメッセージ。「共謀罪」法成立強行、森友・加計問題、「天皇生前退位関連法」、総選挙:立憲民主躍進
2018年 朝鮮半島南北首脳会談、米朝会談、沖縄県知事選:玉城デニー(島ぐるみ)の勝利、安倍改憲をめぐる攻防
この5年間は、安倍政権の悲願である憲法改悪に向けたプログラムが、確実に現実化していった時期に当たる。同時に、この期間全体を通して辺野古新基地建設反対運動を中心にした沖縄の「島ぐるみ」運動は、本土中央政府の執拗な圧力に抗して、闘いを広げてきた。病をおして本土中央政府の圧力に抗し続けた翁長前知事の闘いは、2018年9月県知事選「島ぐるみ」玉城デニー候補の圧勝、それに続く豊見城、那覇市長選での「島ぐるみ」候補の勝利に引き継がれた。
そしてまた、福島原発事故の責任追及と反原発の闘いは、日本の労働者・市民運動の中で持続的に展開されてきた。福島の同志たちは、福島原発事故での東電経営陣の責任を追及する闘いなどを一貫して担ってきた。
あるいは「戦争法制」反対の闘いの中で登場した学生たちの新しい動き、さらにはアメリカのMe too運動などとも結びついたLGBTと連帯した運動の広がりなど安倍政権への批判の行動が、予期せぬ形で新しい広がりを持って展開される土壌が作り出されている。
しかし率直に言って、22回大会以後の5年以上を通じて、JRCLは、各地における労働運動、反原発市民運動や平和運動・反天皇制運動などを誠実に担い、「総がかり」的枠組みの中での活動に参加し、「週刊かけはし」紙に報道することで精いっぱいだったと言わなければならない。
われわれは安倍政権の下で、支配階級が切り拓こうとしている、リーマンシヨック以後の資本主義システムの危機の下での国際的再編に呼応する新たな統治体制の動向に、われわれ自身の立場から十分な分析を行うことが出来てはいない。
その中で、安倍政権の「改憲・戦争国家」路線に反対して正面から挑み、あらゆる重圧を跳ね返してきたのは何よりも沖縄の闘いであり、沖縄現地の最先端の闘いの息吹を伝える「かけはし」の現地報告はきわめて重要な役割を果たしてきた。
そしていま翁長知事の死に伴う沖縄県知事選で玉城デニーさんを統一候補として勝利した闘いに続く、豊見城市長選、那覇市長選の相次ぐ勝利は安倍政権に大きなダメージを与え、日本全国の労働者民衆の闘いを鼓舞している。
「かけはし」2018年9月17日号で、沖縄のN・J氏は次のように述べている。 「沖縄の闘いはどうして収束・終焉しないのか。それは闘いが沖縄の存在自体に起因するからに他ならない。だから終わらない。……近代日本は明治以降、中央集権国家として成立発展した。中央集権のほころびは直ちに国家の弱体化につながる。われわれは、太平洋戦争や原発で間違った政策も修正できず、突っ走りとことんダメになって破滅する日本国家を見てきたし、現に今も目にしている。破滅的な中央集権国家・日本に反旗を翻し国の在り方を変える闘いを先導しているのが沖縄なのである」(「かけはし」2018年9月17日号。N・J 「沖縄の自己決定権を守り基地のない未来へともに踏み出そう」)。
沖縄の闘いは、あらためて日本国家に対する「自己決定権」の問題を提起した。われわれは、沖縄闘争の戦略的展望を沖縄の仲間と共に共有し、「本土」での闘いを再構築する役割を共に担わなければならない。それとともに沖縄自身の「自己決定権」の内容を「日本国家」との関係、あるいは朝鮮半島、東アジア諸国などとの関係をも射程に入れて再定義する必要がある。これらの戦略的・理論的課題についても沖縄の仲間たちとの論議を進めるべきだろう。
2 いよいよ本番に入った安倍政権の改憲プログラム
2018年9月の総裁選で安倍晋三首相・自民党総裁は3期目の当選を勝ち取った。自民党の規約によれば総裁任期は3期9年であり、今回が最後の任期となることは本人も自認している。したがって安倍にとっては、来る2021年までに改憲を実現することが求められている。しかし2019年は5月から11月にかけて一連の「代替わり」儀式が控えており、夏には参院選が行われる。2020年は東京五輪・パラリンピックの年でもある。このように見た時、どの時点で「改憲発議」と「国民投票」を行うかは、これからさまざまな判断を必要とすることになる。
おそらく安倍政権の意向としては2019年参院選の結果を見て、国民投票の日程を確定することになるだろう。安倍首相は、以前と比較すれば「改憲」を表立って公言することに慎重なようにふるまっているが、それは逆に、野党の分裂をうながして「改憲容認」に引き込む戦略が取られていることを示すものである。「憲法審査会」をめぐるかけひきの中で2020年に向けたスケジュールを固めていく動きが現実化している。
自民党案では、4項目が「改憲項目」として挙げられている。①「9条に自衛隊明記」、②「緊急事態条項」、③「教育の無償化」、④「参院合区解消」である。その核心は①と②になるだろう。
この改憲案は、いうまでもなく「9条に自衛隊を明記する」ことで「現状を追認する」ことにとどまるものではない。それは「国軍」としての自衛隊を明記することで、「国際秩序維持」への「主体的貢献」を名目に米国とならんで「集団的自衛権」を行使する「帝国主義軍隊」としての自衛隊の役割の明確化であり、かつ米国を部分的に代替する形で、増大する中国の「軍事的脅威」にアジア太平洋レベルで対抗する軍事的能力を持つ「自衛隊」の役割を明確にするものとなるだろう。「いずも」の攻撃空母化は、その例証でもある。そして「緊急事態条項」の創設は、確実に「戦時」の非常大権機能による民主主義的諸権利の制限をもたらすものとならざるをえない。すなわち、海外における軍事力の行使を日常化し、国家の統治体制の中に戦争遂行機能を組み込んだ国家の確立を意味する。
自民党改憲案が意図するものは、まさにトランプ政権が加速するアメリカ帝国主義の軍事的・政治的イニシアティブの衰退に対処し、中国の「拡張主義」的政治・軍事戦略に対抗しうる、国家的対応なのである。
われわれは、支配階級がここ1~2年のうちに実現させようとしている「改憲発議・国民投票」を見据えて、安倍改憲阻止の共同戦線を共に築き上げようとする。そのためには現在進められている「安倍改憲阻止」の共産党から国民民主党に至る野党共同戦線の枠組みを拡大・強化する必要があることは確かである。しかし、それと同時にこの野党共同戦線が安倍首相の改憲戦略を拒否するという一点での結集であり、きわめて不安定で脆弱な基盤に立っていることに注意しなければならない。
例えば「野党共闘」の中で最大の議席を持つ立憲民主党は、「安倍改憲」には反対であったとしても、同党の中心的リーダーの一人である山尾志桜里の『立憲的改憲』に示されるように、「個別的自衛権」を行使する自衛隊の存在を憲法上に明記することを主張しており、日米安保と沖縄の米軍基地の存在自体は認める内容でもあることに注意しなければならない。
われわれは、立憲民主、国民民主から共産党に至る「野党共闘」を媒介にした「安倍改憲」に反対する共同戦線を、国政選挙などでの共同候補を含めて支持する。それと同時にこのような「立憲的改憲」論に基づく「対案」路線の誤りをはっきりと批判する必要がある。それは「国家自衛権」の主張を当然の前提とする考え方とは違ったところから労働者・市民運動の反改憲の運動を組み立てる必要があるからだ。
安倍改憲の煮詰まりは、現在の自公連立の与党ブロックに加えて、維新、さらには「連合」内の労働組合官僚指導部の、安倍改憲へのすり寄り・合意の動きを顕在化させるだろう。維新はすでに「準与党」としての性格をあらわにしている。
2018年10月に開催された「連合」の中央委員会の場で、神津連合会長は安倍政権の下での改憲について否定的な見解を述べたが、すでに連合内最大産別組織であるUAゼンセンは、改憲に肯定的な対応を取っており、改憲情勢のいっそうの煮詰まりと共に、流動化が進むだろう。「連合」の労働組合官僚指導部の間では、民間大企業と政府への依存との関連で、よりブルジョア国家への依存の度合いを強める力学が働いていくことにならざるを得ない。
われわれは職場・地域から労働組合、労働者に対して改憲反対の声を上げていくことが、労働組合運動それ自身の発展・強化にとっても不可欠のテーマであることを確認する。
左派にとって必要な任務は、「安倍改憲」に反対する野党共闘の枠組みの行動的一翼を担いながら、同時にこの闘いの中から、国際主義と反資本主義の展望に裏打ちされた左派潮流の形成をめざそうとすることである。
改憲と「戦争国家」体制の進展は、2008年のリーマンショック以後、今日にいたるグローバル資本主義体制の危機の深まりとともに進む、資本家階級による労働者・民衆への攻撃、すなわち搾取と大衆収奪の強化、権利の剥奪、失業・貧困の一層の拡大と表裏一体の関係にある。それはまた、原発への依存、環境破壊とも深く結びついている。
貧困、失業と環境破壊への様々な抵抗と自主的・自立的な闘いは、不可逆的に進行する資本主義システムの世界的危機の中で、労働者階級の闘いに基礎を置く反資本主義・社会主義のための大衆的左翼政治潮流を構築しようとする闘いにとっての主体的政治基盤となる。
沖縄の反基地闘争とヤマト国家からの自立を志向した闘い、朝鮮半島情勢の急速な転換、資本主義の危機の新たな深化、そして人口減=労働力人口の急減、外国人労働者の導入拡大といった流れは、一方で排外主義的右翼ファシスト潮流を活性化する基盤となっているが、それはまた「もう一つの選択」、国際主義と反資本主義の政治的流れを形成する基盤ともなりうる。われわれは理論的・実践的に、その目的に挑戦していかなければならない。
こうして安倍改憲を阻止する闘いは、同時に、ロシア・中国をふくめた新旧の大国的・覇権的パワーの地球規模での勢力再編の中で独自に自らの利害を追求しようとする日本帝国主義の支配階級のもくろみに立ち向かう闘いとなる。
朝鮮半島をめぐる軍事的緊張は、2018年を通じて大きく変化しつつある。われわれは南北朝鮮間の緊張緩和と平和への動きに関して過度の楽観主義に陥ってはならないし、トランプ政権、安倍政権、そしてキム・ジョンイル政権、中国指導部の動きを注視しつつ、朝鮮半島の平和と人権、民主主義と統一への流れを促進するための実践に加わっていかなければならない。われわれはそのための理論的、かつ実践的な発信力を作り出していかなければならない。
憲法改悪阻止を最大の政治的争点とする当面の階級的攻防は、矛盾と対立を時を追って深めているグローバルな資本主義システムの危機の拡大、大衆的な批判と行動の広がりに事欠かない新しい時代の到来を意味する。
3 JRCLの現状と新しい組織建設のために
2013年の4月の22回大会以後、われわれの組織力量は着実に下降のカーブを描き続けている。中心メンバーの多くは、すでに職場を退職し、地域の運動などで重要な役割を果たしているとはいえ、新規メンバーの獲得はほとんどなかった。
週刊「かけはし」の週刊発行体制はギリギリのところで維持されているとはいえ、財政的困難は加重している。新しいメンバーの獲得は、地域・職場などにおける日常的な働きかけと、改憲阻止・沖縄の反基地闘争との連帯を基軸にした全国政治を射程に入れた大衆運動の中での意識的な闘いを基盤としてこそ可能となる。そのためには全国・地域・職場での綿密で、意欲的な討論が必要になる。われわれは「かけはし」を人々の理論的・実践的問題意識や疑問を共有する機関紙にしていくための努力がこれまでにも増して必要となるだろう。
そのための紙面の充実・刷新を意識的に創り出すことは、われわれが大衆的運動に貢献していくための重要な課題である。
われわれの新しい挑戦は、言うまでもなく当面する最大の攻防の環となっている「安倍改憲阻止」の闘いの中で試されなければならないが、新しい活動家との出会いと討論は、そこにとどまるものではない。
いま改めて、リーマンショック以後の今日のグローバル資本主義の危機と行き詰まり、失業、不安定雇用、貧困、差別、レイシズム、環境破壊の中で現実への疑問と批判、そして変革への意思を多様な形でふくらませている若い世代と、どのように接触していくのかが問われている。
アメリカにおける「サンダース現象」、あるいは英労働党において左派のコービンを押し上げた若い世代の動向を見るとき、日本だけが例外にとどまるということはない。アメリカやイギリスでは明らかに、貧困・失業・差別・環境破壊を作り出すグローバル資本主義への疑問と批判が「社会主義」への関心に結びつくという機運が生じはじめている。
日本では、若い世代の現状へのいらだち・批判がストレートに中国や朝鮮・韓国への批判、あるいは「左翼」への批判と、安倍政治への同調という形で示されているとされるが、しかし鬱屈した現状への不安・批判をラディカルな社会変革への道に結びつける状況はいまだ潜在的とはいえ、確実に存在すると捉えなければならない。そのためにどのような意識的取り組みを開始すべきなのか。この点にこそ、われわれの努力を集中していくべきである。
福島原発事故を経験し、さらに大気汚染をはじめとする深刻な環境破壊に直面してきた日本と東アジアにおいて、全世界で第四インターナショナルの同志たちが取り組んできた「エコ社会主義」をはじめとした、すべての生命体にとって持続可能なシステムの展望を、新たな社会変革の選択肢として検討していくことはそのためにも重要な課題となっている。
国際的に模索されている「新しい社会主義像」の挑戦に共に踏み込もう
中国・朝鮮半島、そして日本をふくむ東アジアにおける民衆連帯を通じた運動の交流・連携と、社会主義の構想を射程に入れた討論を作り出そう。とりわけ大きく変化する兆しを見せている朝鮮半島情勢へのアプローチの方法を再整理し、南北それぞれ、中国、ロシア、そして米国、日本の利害と思惑が錯綜する中で、われわれの政治的論議の土台を作り上げていこう。沖縄について。週刊「かけはし」に毎号、運動の現場から沖縄情勢のリアルな展開を報告している仲間は県知事選を前にした「かけはし」2018年9月17日号の論文の末尾の章「沖縄はどこへ向かうのか」で沖縄の「自己決定権」「沖縄自治政府」論に言及している。
それは沖縄・本土・朝鮮半島・中国・台湾、そしてアメリカという関連の中で沖縄闘争の展望を構想していこうとするダイナミックな構想であり、そうした観点から論議を深めていくことが必要である、という提起である。
?ラディカルな政治変革のための闘いにとって、ナショナリズムと排外主義に基づく統合装置としての天皇制や国家的イベントとしてのオリンピックに対する批判を運動として作り出していくことはきわめて重要な課題である。
1989年の「昭和代替わり」をめぐる反天皇制運動は、昭和天皇裕仁の侵略戦争責任と「Xデー」を前後する「自粛」の強要とも相まって大きな社会的波紋を引き起こした。当時の日本共産党も、昭和天皇裕仁の戦争責任を追及し、「自粛」の強要に批判の論陣を張った。
2019年の4月~5月の「退位」「即位」行事から始まり、11月の「大嘗祭」、そして2020年4月の「立皇嗣の令」にまで続く近代天皇制として初めての「生前代替わり」式典は、複合した危機を「国家」への「国民統合」によって乗り切ろうとするイベントであり、われわれは、こうした動きをハッキリと批判する。同時に、それと並行して準備されている2020年東京五輪にむけた国家主義的キャンペーンに対しても批判の運動を対置しなければならない。
改憲阻止を結節点とした、当面する階級的攻防はグローバル資本主義システムのほころびと危機が、ますますあらわになっている現実を背景にして進められる。こうした情勢の中でわれわれは、新たな世代の活動家たちとの討論を作り上げ、国際主義に貫かれた「新しい革命組織」の骨格を作り出していく必要がある。
4 分裂の克服と新しい革命組織の建設へ
JRCLとNCIWで機関紙の共同発行体制へ移行したのは「かけはし」2009年9月7日号からであった。それからすでに9年が経過した。
「旧第四インターナショナル日本支部の構成要素であった私たち両組織は、左翼の混迷を突破し、大衆的で反資本主義的オルタナティブをめざす挑戦に踏み出すために協力して闘うことが必要であると考えています。もちろん私たちの間には相違も存在しています。しかし私たちは、第四インターナショナルの同志たち、世界と東アジアの左翼の闘い問題意識・経験を共有しようとする点で一致しています……」(「かけはし」共同編集・発行にあたって)。
われわれは、このあまりにも長すぎる「共同編集」という段階での固定化に安住してはならない。われわれは次の段階に踏み込まなければならないし、そのための時間はあまりない。
現在、「第四インターナショナル日本協議会」を作ろう、という「全国協」の同志からの提案が出ている。それはJRCLとNCIWの「合同」という提案ではない。「協議会」の性格については、JRCLとNCIWそれぞれの解散による「協議会」への合流ではない。
その点については、「協議会」としての論議の中で実践的に解決していくべきだろう。そのうえで、旧JRの女性同志たちをはじめとした人びととの関係をどう作っていくかを決めていくことが必要である。
それがストレートに「第四インターナショナル日本支部」の再建になるかはこれからの課題であり、それは主要にわれわれがどのような選択をするのか、ということにかかっている。JRCLは第四インターナショナルの同志たち、とりわけアジアの同志たちと共に、自覚的な歩みを続け、若い世代への責任を果たしていく必要がある。それは今日の世界とアジアの中で、われわれが果たすべき国際的責務でもある。