「代案なしの」祭り

かけはし 第2656号 2021年3月8日

シャドーボクシングのソウル市長補欠選挙

キム・ゴンス(学生委員長)

「ニュースが面白くない」

 与党自治体首長による続々の性暴力・セクハラ事件によって、時早く2022年大統領選挙の分水嶺が開かれた。これにより、2020年4・15総選挙での圧勝の流れを引き継がせようとしていた民主党には、絶体絶命の危機が、惨敗を逆転する機会を見い出せずにいた保守野党には絶好の機会が訪れた。そのほかにも進歩党、基本所得党、そして正義党も(党代表セクハラ事件前までは)ソウル市長出馬を宣言した。

 今回のソウル市長補欠選挙は再びふたつの巨大両党によって争われることになったが、場外では両党体制の限界を指摘し、お互いが代案を自任する「第2ラウンド」が繰り広げられている。変革党は2020年に「社会主義大衆化事業」の計画を提出し、保守両党体制を終息する代案として、社会主義勢力の必要性を打ち出して、その役割を引き受けようとした。しかし、残念ながら、今回のソウル市長補欠選挙は巨大両党の祭りとして終わる可能性が大きいと思われる。

ソウル市長選挙、彼らだけの「約束されたプレイ」


社会主義勢力が出馬していない状況で、代案を提示することは容易ではないが、資本主義の問題を解決することとは全く無関係な今回の選挙状況に対して代案を見つけることは不可能なことである。

端的な事例として、特にソウル市長選挙の最大の争点の一つである不動産関連の立場で与党と野党は形式的には、「公共住宅」を通じた住宅の普及と「民間住宅(規制緩和と再開発の促進など)」を通じた住宅の普及に分かれるが、ふたつの立場は再開発と投機・建築資本の活性化として一致する。実際ウ・サンホ、パク・ヨンソン、ナ・ギョンウォン、アン・チョルスは江南の再開発について意見の相違がなく、この地域のアパート相場はすでに上がっている。民主党候補らが核心的に提示する「公共賃貸住宅」も建築資本の需要を促進させる点で、資本家と約束された「フェアプレー」だと見ることができる。

このようなやり方であれば、現在の不動産価格急騰を引き起こした投機資本の餌をより大きくしているのだから、労働者・庶民が苦しむ住宅難の根本的な問題を全く解決できない。一部の公共賃貸住宅を通して、最小限の恩恵はあるだろうが、それさえ所得に比べて莫大な資金を用意しなければならないし、投機需要の殺到で激しく競争率が上がり、アプローチすることが困難になることが頻繁に起こっている。民衆がひとつを得るとき、資本に10与えるならば不利なゲームは続くだろう。

ジェンダー問題も同じだ。そもそも与党自治体首長の性暴力・セクハラ事件が現在の補欠選挙の導火線だっただけに、野党はジェンダー問題の「積極的解決」を引き受けようとしている。民主党も遅ればせながら前任の自治体首長の性的暴行を認めて候補者の性やら感受性教育を義務化するなどの姿勢を低くするジェスチャーを取っている。しかし、これらは表で、「反性暴力」の声を出すこととは異なり、実際には民主党候補者らは(特にパク・ウォンスン性暴行事件で)被害者に対する2次加害で行動隊長役をしていた「ムンパ」支持層の結集を訴えており、「国民の力」は民主党性暴行事態を政治工学的に活用するだけである。

結局、資本主義と出会った家父長制、家父長制と出会った資本主義の女性差別と女性収奪の問題は度外視されて、ジェンダーの問題は、相手方を攻撃するための欺瞞的キャッチフレーズにとどまる公算が大きい。巨大両党は権力型性暴力の問題のほか、堕胎罪廃止と劣悪なケア労働問題、コロナ19後の女性労働者の大量解雇事態のようなシステムの矛盾と直結された事案については関心がない。

情勢の要求

 このように「代案のない」争い、シャドーボクシングは体制と確執する労働者民衆を政治から疎外させる。また、これらは投票権を「住宅価格のための取引手段」に転落させている。このような政治と労働者民衆間の疎外、民主的統治手段の商品への転落は、資本主義統治ゲームのルールをより強化する方法で、階級関係を確固たるものにする。

しかし、われわれは、保守両党体制に対する批判にとどまってはいけない。労働者民衆の選択肢にはならない保守両党の候補者の支持率がニュースのメイン画面をにぎわしている間は、まだ代案として席に付いていない社会主義勢力に垂れる影の深さが増している。そのような点で、社会主義理念と勢力の大衆化の可否が韓国社会と労働者民衆の運命と直結しているという話は誇張ではない。

困難な状況であるが、情勢は、社会主義を求めている。与党と野党のすべてが「完全に市場に依存する」と事実通りにはっきりと言えないほど資本主義の矛盾が極に達している。保守両党体制の持続可能性とは別に、これからの政治構図で社会の公共性と市場の対立は重要なものとして立ち現われるだろう。一方、韓国でも資本主義生産体制の根本的な変化を要求する気候運動主体などが成長するなど、資本主義体制に対する批判と省察そして、新しい体制の要求が大衆自身から芽生えている。

20世紀の革命前夜でレーニンは、「何をなすべきか」と問うた。21世紀の地球共倒れと代案政治の失踪を迎えて社会主義者たちは再び、「何をなすべきか」自身に繰り返して言わなければならない。2021年が社会主義大衆化の元年になるようにするための、党の肩が重い。
(社会変革労働者党「変革と政治」121号より)

The KAKEHASHI

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00290=6=64430  新時代社