戦争危機の朝鮮半島を平和の朝鮮半島に!
社会変革労働者党政策委員会
恒常的な戦争の危機を活用する南北の支配勢力
朝鮮戦争以降停戦(協定)体制が続くことによって、朝鮮半島は依然として冷戦の凍土として残った。北韓(朝鮮)は核ミサイルを日増しに高度化しており、南韓(韓国)は、北の核を防ぐのに韓国型三軸システム(韓国型ミサイル防衛システム、キルチェーン、大量報復計画)を2022年までに構築する積極的な軍備拡張を進めている。南北の激しい軍備競争で明らかなように、2019年の南韓の軍事力は世界7位、北韓は18位を占めた。南北民衆のより良い生活のために使わなければならない莫大な資金が軍備競争に浪費されており、朝鮮半島は恒常的な戦争の危機状態だ。
南北の支配勢力は、分断体制を活用して、各自の、反労働者・反民衆的本質を隠蔽しながら権力を維持してきた。北韓は反民主・反民衆的な首領制(唯一支配体制)を維持しており、南韓では、反北・反共を政治的栄養分とする極右保守勢力が健在である。日帝時代の独立運動家を処罰していた治安維持法を継承した悪法中の悪法である国家保安法と公安機構が南北対立を口実に労働者民衆の声と行動を締め付ける道具として残されている。
北・米の対決で、朝鮮半島の核戦争の危険高まる
米国の対北敵対政策と先制核攻撃を含む韓米連合軍事訓練は、北韓に核攻撃の恐怖を呼び起こし、核・ミサイル開発に乗り出す道を作った。米国はミサイル防衛システム(MD)構築と米国産武器の販売、そして北東アジア地域での覇権を維持するために、北の核を解決するのではなくむしろ活用した。
その結果、「米国の対北敵対政策→北の核武装→米国の対北圧迫と制裁強化→北の核―ミサイルの高度化」という悪循環が繰り返された。「米国の対北敵対政策vs北核武装」が停戦体制をベースとして継続しながら、朝鮮半島に核戦争の暗雲まで垂らしている。
2018年の北・米首脳会談後も停戦体制を解消する契機は進展してこなかった。米国は北韓に「核をまず放棄せよ」と白旗投降を要求しただけで、非核化を導く制裁緩和や敵対政策の撤回など、目に見える措置を取らなかった。
米中覇権競争と北東アジアの緊張
朝鮮半島・北東アジアは、米国・日本と中国・ロシアが鋭く対立する地域である。21世紀に入って、中国は覇権国家として成長するために軍事強国化を進めている。米国は、日本・オーストラリア・インドを主要同盟国として、3つのアジア・極東から中東ホルムズ海峡に至るまで、中国を包囲する、インド・太平洋戦略を推進しながら、米日韓軍事同盟を完成しようとしている。
その結果、北東アジアは米中間の覇権競争で武力衝突の可能性が大きい地域になった。米国の意図通り、韓国が米日韓軍事同盟に完全編入される瞬間、朝鮮半島が米中覇権競争の犠牲になることは火を見るより明らかである。
さらに、在韓米軍は、北東アジアの紛争に介入する「迅速機動軍」として既にその性格が変わった。ソンジュへのサードミサイル配置、ピョンテク米軍基地移転、チェジュ海軍基地建設、GSOMIA締結の押しつけ、中距離ミサイルの朝鮮半島配置の示唆はすべて、米国が朝鮮半島を中国の封じ込めの前哨基地にしようとする試みだ。
米国は韓国軍の傭兵化も進めている。ホルムズ海峡派兵要求、韓米同盟の危機管理の対応範囲を現在の「朝鮮半島有事」で「朝鮮半島および米国の有事」に変えようとする試みが代表的である。また、米国は、国連軍司令部の役割を強化して、戦時作戦統制権の転換後も国連軍司令部を通じて韓国軍に対する指揮権を維持しようとしている。最近、米国が在韓米軍の防衛費分担金大幅引き上げと共に項目の新設を押しつけることは、朝鮮半島を対中国の前哨基地として、韓国軍を傭兵のように活用しようとする戦略の一環である。
日本の「戦争可能な国家化」を容認するのも、米国
日本は戦後、平和憲法を無力化しながら、軍事的覇権国家として復活する野望を夢見ている。米国はアジア・太平洋地域での莫大な軍事費支出を削減しながら、日本を重要な軍事同盟のパートナーにするために、日本の「戦争可能な国家化」を支援している。さらに、米国―日本―韓国につながる序列的軍事同盟体制を完成しようとしており、南韓の支配層もこれに積極的に便乗している。米日韓同盟が完成されたら、朝鮮半島有事の際、日本軍の朝鮮半島進入の可能性が現実化され、朝鮮半島の平和をさらに脅かすことになる。
南北労働者民衆がもはや南北の支配勢力と地域覇権国の利害のための対立と緊張に動員されてはならない。今の停戦体制を平和体制に転換して、(核)戦争の危険がない朝鮮半島を作らなければならない。覇権国の利益に動員される軍事同盟を解体して、朝鮮半島の平和体制を通して、朝鮮半島の平和が北東アジア平和の礎になるようにしなければならない。
「戦争の危機の朝鮮半島」を「平和の朝鮮半島」に転換するためには、社会変革労働者党は、次のように提案する。
変革党の提案1
駐韓米軍のない平和協定の締結
現在の「停戦協定体制」を「平和協定体制」に移行することで、南北対立と北・米の対決を終息し、米・日・中・ロが朝鮮半島に介入する余地を遮断しなければならない。平和協定の内容は、△南北間の不可侵と北韓の核廃棄はもちろんのこと、△米国の南韓に対する核の傘廃棄△南北の両方の画期的軍縮が実施されなければならない。南韓が米国と、北韓が中国と結んだ軍事同盟をはじめ、米韓合同軍事訓練の廃止も欠かせない。駐韓米軍撤収をはじめ、朝鮮半島有事に国連の決定がなくても、直接、米国が介入することができる韓米相互防衛条約を廃棄する。国家保安法など北韓を口実に、労働者民衆運動を抑圧する悪法も廃止しなければならない。
平和協定には停戦協定締結国である北韓・中国・米国に加え、当事者である南韓が参与しなければならない。朝鮮半島問題は南北両者を超え、周辺国の覇権的利害関係が絡んでおり、これらによって、朝鮮半島が戦争の危機に巻き込まれることを防がなければならない。加えて「在韓米軍のない平和協定」を締結しなければならない。今のように、韓米同盟を維持する状態で締結する平和協定は米中覇権競争に朝鮮半島が編入される結果を生み、結局はまやかしの平和協定に転落することになる。
変革党の提案2
「韓半島非核地帯化」から「北東アジア非核地帯化」に
朝鮮半島で核戦争が起これば、それ自体が災害である。しかし、現在、北韓の核武装と韓米両国の対北先制核戦争訓練(韓米連合軍事訓練)で朝鮮半島の核戦争はいつでも起こすことができる。米国と南韓支配勢力は、ミサイル防衛システムの構築で、北の核攻撃を防ぐことができるとするが、ミサイル防衛システムは、「弾丸によって弾丸を防ぐ」もので、その実効性が検証されたことはなく、北の核―ミサイルの高度化に道を開いただけだ。南韓核武装も選択肢ではない。「核で核を防ぐ」は、恐怖の均衡は偶発的核戦争の可能性を阻止することができず、日本の核武装まで引き出すことになる。
北韓は自分たちの核が狙うのは、南韓ではなく、米国であるため、危険ではないと主張する。しかし、朝鮮半島で戦争が起これば、北の核が最初に爆発するのは、朝鮮半島である。北の核武装は、米国の対北敵対政策が引き起こした産物という点で理解されることがあったとしても、正当化されることはできない。したがって、北の核と朝鮮半島に展開されている米国の核の両方をなくさなければならない。
朝鮮半島核戦争の危険をなくすためにはまず、北韓に対する制裁と軍事的圧迫ではなく、対話を通じた北朝鮮の核問題の解決が必要である。第二に、北の核武装を導いた原因である米国の対北敵対政策を撤回し、「北・米修交―平和協定の締結―北朝鮮の核廃棄」が同時に行われなければならない。北韓に対する先制核放棄の圧迫や北韓の核武装を認める平和協定はすべて正しい解決策になることはできない。第三に、北の核廃棄といっしょに、南韓に対する米国の核の傘と対北先制核攻撃訓練も廃棄する。これを通して、朝鮮半島で核兵器の開発と保有・輸送・訓練まで禁止する「朝鮮半島非核地帯化」を成し遂げる。
朝鮮半島非核地帯化をもとに、非核国である南・北韓と日本に対する核保有国である米・中・ロの核攻撃を禁止する「北東アジア非核地帯化」を追求する。「北東アジア非核地帯化」は、最終的に核保有国すべての核兵器廃棄を目指す。そのために全世界の核兵器の完全な除去を目標として「核兵器開発・実験・生産・備蓄・使用・使用脅威・移転・他国配置を包括的に禁止」する核兵器禁止条約批准の運動を国際連帯として展開する。
変革党の提案3
韓米日軍事同盟解体、平和―互恵―平等に基づいた韓米・日韓関係再確立
不平等条約である韓米防衛費分担金協定と在韓米軍地位協定を超えて、両協定を成立させて、在韓米軍駐留の根拠となった「韓米相互防衛条約」自体を廃棄する。韓米日同盟完成の核心であるGSOMIAも廃棄しなければならない。植民地支配の謝罪なしに国交を正常化し、戦後の韓日関係を歪曲した開始点であり、日米韓同盟の始発になった1965年の韓日協定体制を認めていない。不平等な韓米関係と歪曲された韓日関係を清算し、互恵に基づく韓米・韓日関係をめざす。
変革党の提案4
反戦―反核―平和―互恵の北東アジアのための東アジア民衆連帯の強化
「平和協定の締結―韓米日同盟破棄―朝鮮半島の非核地帯化」を通じた朝鮮半島の平和秩序の構築は、朝鮮半島の平和のための代案であり、北東アジアで「米・日vs中・ロ」対立という21世紀の新冷戦秩序の形成を防ぐ基礎である。これに「朝鮮半島の平和」と「帝国主義反対、反戦・平和、互恵と平等の北東アジア」を目指し、北東アジアの平和と互恵・平等の関係を希求する北東アジア民衆の国際連帯を積極的に推進する。
(社会変革労働者党「変革と政治」108号より)
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