チャン・ヘギョン 新執行委員長に聞く②

「夢であり宿題、社会主義」

社会主義の大衆化、困難は多かったが戻してはいけない

 1999年労働者の力に加盟してから、今の変革党に至るまでヘギョンさんは、政治組織の活動をずっと続けてきた。特に2016年の変革党結成以降は2019〜20年政策委員長を経て、今年1月30日6回総会では執行委員長に選出された。しかし、変革党を取り巻く内外の条件は決して甘くはない。2020年変革党が明らかにした「社会主義の大衆化」事業が期待したほど進まなかったという評価が出ている中で、来年3月の大統領選挙という重大な政治的契機が近づいている。この渦中で党の執行委員長を引き受けることを決心するにあたって、あれこれと考えることも多かったはずだ。

 「事実、2020年の総会で、社会主義の大衆化事業を決定したときから、多くの悩みを聞きました。とりあえずはこの事業の政治的意味が何なのかについて十分な説明や議論がなされてこなかったと思います。わが党と党員の活動がどのように変わらなければならないのかということについて意志一致が十分ではなかったこと。また別の悩みは現実的な問題でしたね。2022年までに独自的勢力として社会主義大衆政党を登録するということが果たして可能だったのだろうかということ。ところが、一方では私自身としてもこの事業を議論する過程で十分に私の考えと代案的立場を提示しながら取り組めなかったと思います」。

 しかし、ヘギョンさんはそう言いつつも、社会主義の大衆化事業を引き戻すことはできないと述べた。社会主義を政治的代案として鮮明に打ち出しながら、名実共に大衆政党を 建設することができるように党活動を 革新し、進行中の 闘争への連帯・結合を越えて党が先導的に企画する課題中心の闘争を建設することにより、大衆の前に社会主義を「可能な選択肢」として提示し、この社会で政治的市民権を得なければならないというものだ。もちろんこれも決して生易しくはないことである。ヘギョンさんが診断する党の状況は楽観的ではなかった。それでも執行委員長になった理由があった。

 「社会主義を全面的に宣伝扇動することに負担を感じる党員もいるでしょう。その一方では、そのことの必要性に積極的に同意しながらも、方法が見つからずたじろいでいる仲間たちもいます。多くの活動家と大衆を社会主義政党という枠組みにどのように集められるのかに関する詳細な組織化の企画も不十分ですね。だから一種の過渡期だと見ます。重苦しさと焦りが混じった過渡期ですね。それでも、このように、社会主義の大衆化事業を鮮明にして一歩踏み出したこと自体が成果だと思います。今年と来年にかけての大統領選挙を契機に、これを実質化することが最も重要な課題であり、それを今年進展させなければならないという思いで執行委員長の役割を決意したのです」。

 この過程で、何よりも重要なことは、党員の積極的な政治議論である。「変革政治」 121号でのインタビューでキム・テヨン変革党前代表も指摘していたことでもあるが、ヘギョンさんも「党内政治討論があまりにも萎縮していた」という問題意識を提起した。

 「たとえ結果的に目標を達成できなくても、最善を尽くすことができれば党員の能動性と主体性を高めながら激しく議論して、われわれが共に決定したことの政治的含意が何であるのかを共有する過程が必要です。それが今年の目標でもあります。党中央から平党員に至るまで、本当に激しく議論して疎通して共有しながら、私たちをどのように革新していくのかが本当に重要な問題だと確信しています」。

政治運動での心のこり

 今年執行委員長職を引き受けるまで長く政治組織の活動を続けてきただけに、ヘギョンさん自らが運動を振り返って見て惜しむ点もあった。党内の多くの同志たちも指摘している問題、すなわち、若い世代の活動家たちが、組織の指導部を構成することができるように体系的に能力を強化するシステムを作ることができなかったということだ。

 ここでの「能力」は、学習することもあり、事業計画と執行能力でもあり、政治運動や党の運動に取り組む姿勢でもあるでしょう。ところが、単に変革党だけではなく、過去の労働者の力の時から若い活動家たちが、政治的指導部に立つことができるようにする仕組みを作れなかったと思います。もちろん生物学的年齢が重要ではないが、組織が依然としてこんな状態だから、指導部を引き受けると自任する同志が多くないですよね。党内で「私がやります」と、こんな覇気と活動性をどのように形成することができるのか、今も悩んでいます。現在の党には公式的な分派はないが、必ずそのようなものでなくても、党が進む方向に対して党員たちがグループとして集まって、積極的に提起していくことが、健康であると思います。しかし、そのような動きがよく見えてこないのが残念です」。

 さらに、労働者の力の時から続いた「政治組織と現場活動家組織との問題」を指摘した。左派の現場活動家たちを政治組織としてではなく、「現場活動家組織」として糾合しながら、結果的に戦闘的組合主義を強化した反面、社会主義政治運動への接合として作れない問題が発生したということだ。

 「労働運動内の他の政派とは異なり、左派は自身の政治的志向を現場で明らかにすることができずにいます。それは『社会主義を掲げることへの負担』として表現されることでもあります。この点について、根本的な自己検討と代案が必要だと思います。現場闘争を強調することは必要だが、そのこと自体が党建設ではないでしょう。振り返ってみると、80年代以降、韓国社会主義運動または変革運動は闘争性と成果階級性を強調してきたが、他の政派と比べてみると政治組織とさらに進んで党を作り、自身の政治性を体現する企画と構想があまりにも脆弱でした。このような面から見ると、現場活動家組織という枠が現場の左派活動家たちにとって党の運動に積極的に飛び込むために一つの障壁として作用したと見ています」。

大衆の前に私たちをさらけ出さなければならない


 党が社会主義大衆化事業を鮮明にしたが、実際の党員たちが各自の現場と地域で社会主義を宣伝扇動するのは容易なことではない。偏見から無関心までに、様々な障壁にぶつかるしかない。ヘギョンさんも自ら社会主義者としての本心を明らかにしたり、周辺の仲間たちに社会主義運動を一緒にやろうと提案したとき、一般社会の言行にならうという難点にぶつかったりもした。

 「とりあえず国家保安法の問題があるでしょう。「社会主義運動に参加すると国家保安法で弾圧を受ける」という話も聞きました。「社会主義」なら直ちに「北朝鮮」を思い浮かべる問題もあります。それとは違った見方としては、社会主義を「現実には不可能な理想郷」としてみなすこともあるでしょう。これは、現実の社会主義圏崩壊の問題とも密接に連関しています。社会主義運動に対して人々が感じる拒否感や距離感はこのように非常に多層的です。20世紀の社会主義運動の世界史的敗北、しかも韓国は戦争も経てやっかいな北朝鮮の存在がまだ残っており、国家保安法という弾圧問題もあるでしょう」。

 この問題を魔法のように解決してくれる方法はない。廃墟の上に、新たな社会主義運動を作っていくことが容易であるはずがない。それだけに、社会主義を大衆化するという私たちにこの難局を総体的に突破する構想が必要だというのがヘギョンさんの考えだ。特に「現実の社会主義がなぜ失敗して私たちは、そこからどのような教訓を得るか」について厳密に評価しなければならないということだ。同時に、社会主義がただ「浮き世のような話」ではないことを立証するには、実際の各自の生活と社会主義がどのように連結することができるのかどうか、具体的な主張と運動を作って行かなければならない。社会主義勢力が少数である状況で、政治的弾圧があることもあるが、そうだからといって大衆の前に社会主義を政治的代案勢力として打ち立てることを放棄してはならない。

 「『社会主義』という単語を反復していること自体が社会主義の大衆化ではないようです。社会主義党が当面する情勢の主要課題と階級闘争事案について、社会主義的内容を盛り込んだ自らの声を出して闘争を組織して活動するということを大衆の目の前に明らかにすることが社会主義の大衆化だと思います。そのようなプロセスを、踏んでいくしかないですね。また、そのような点で、このような活動と連動して大衆政党という枠組みが重要だと言っていいでしょう。内容的にだけでなく、形式的な面でも、私たちをさらけ出しましょう」。

 最後に、「自分にとって社会主義とは?」という質問にヘギョンさんは、「夢であり宿題」だと答えた。とても困難なものだし。また一方では20世紀の社会主義の敗北を乗り越えてどんな社会主義をどのように作り上げることができるのかという問題と関連する、すべての社会主義者が抱えている宿題だという。それと共に「マンネリを打破し、党員のひとりひとりが、社会主義者であることを隠さずに党活動と政治活動の主体として乗り出そう」というメッセージを送った。「変革政治」読者にも「購読を越えて、社会主義運動に一緒に飛び込もう」という提案も欠かさなかった。(社会変革労働者党「変革政治」122号より)

朝鮮半島通信

▲ソウル中央地裁は4月21日、韓国人の元慰安婦ら20人が日本政府に対して求めた損害賠償の訴えを却下する判決を言い渡した。
▲韓国の外交部は4月23日、前日にコスタリカで開かれた韓・中米統合機構(SICA)の次官級会議で韓国と中米8カ国が東京電力福島第一原発の処理済み汚染水の海洋放出決定に懸念を表明する共同声明を採択したと発表した。

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