駐韓日本大使の妄言とわれらの未来
日本が過去に対する本当の謝罪や賠償こそ和解への道
高野駐韓日本大使が「独島(竹島)は日本の地」だとの発言をして、国中が騒々しい。日本の高位官僚や右翼諸勢力がこのような刺激的な主張を唐突にさらけ出すのは、きのうきょうに始まったことではないが、今回はちょっと違うようだ。彼は日本との架け橋の役割をしている現職外交官という身分に加え、日本ではなく、ほかならぬ韓国の地でそのような発言をしたからだ。後頭部を殴られたような感じに加え、腹の内を明かすやり方が余りにも露骨で大いに驚かされる。
日本の島根県議会が「独島の日」制定条例案を上程した直後という点からも、一層そうだ。駐韓日本大使館や日本政府は「韓日両国間で独島に対する立場の違いがあるのは事実だ。互いに冷静に対応しなければならない。外交問題に飛び火することは望ましくない」として鎮火に乗り出しているが、日本を非難する雰囲気は簡単には収まりそうにもない。
このようなことが起こるたびに一部では、はなから相手にしないように注文したりもする。拙速な対応は「食えない柿を突っついて傷をつける(自分の得にならないときに意地悪をすること、の例え)式」の妄言を争点化することによって、ねらい手に振りまわされかねない、というのがその理由だ。間違った話ではないけれども今年は韓日修好40周年を迎える特別な年であって、ただやりすごすのは難しい。
これまで両国政府は今年を「韓日友情の年」と宣言し、さまざまな催しとともに交流・協力を誓い合ってきた。「進もう未来へ、ともに世界へ」というスローガンまで作り、この1年間、両国で180件以上もの文化、体育、学術行事を開くことにするなど、お祭りムードがぐっと高まってきていたが、今回の発言のせいで冷え冷えと白けきった宴の場に転落してしまわないかと心配だ。
どこに飛び散るか分からないのが国際外交の関係であり、その事例は日本が豊富に提供しているようだ。「友情」を語っていながらも、振り返りざまに独島発言をはじめとする数々の妄言をたえず吐き出し、教科書における歴史の歪曲、靖国神社参拝などを通じて植民地支配の合理化を企むのだから、どこまで信頼すべきなのか分からなくなる。
さらに付け加えれば自衛隊の海外進出の強化や改憲の動き、露骨な対北韓(北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国)敵視政策などを通して、われわれの国家の安危まで脅かすのだから、しばしも緊張を緩めることができない。パーティーに招かれはしたものの、いつお膳をひっくり返されるか、腐ったものを出されはしないか気を回さなければならないのだから、これほどに疲れるものはない。
考えてみれば、そのような日本をおさえられなかった責任は、この時代を生きているわれわれ大人たちにあるのでは、と思う。最近、政府が公開した韓日協定の文書で明らかになったように、日本が過去史に対する本当の謝罪や賠償を拒否するのを黙認したことが、ボタンのかけ違いを生み出す土台であった。
昨年末、過去の清算法案が結論づけられなかったことでも見られたように、親日の残りかすを洗い流すことにさえ、ただちゅうちょしているのだから、彼らにとってはわれわれがよっぽどとん珍漢な人間に見えることだろう。われわれの最大の輸入国にして、3番目の輸出国である日本の経済力にひるんで過ごしてきたことも原因を提供した側面である。
英国の詩人ワーズワースは「子どもは大人の父親だ」と詠んでいた。われわれの子どもたち、あるいは弟妹である初等学校(小学校)の学生たちは世界最高のインターネット強国である韓国で、それにふさわしくデジタル文化の先兵としてすくすくと育っているという。将来、彼らが謳歌するデジタル時代では、もはやそのような侮りを受けることはないだろうと確信できる。デジタル時代を先導する情報技術力によって日本を制圧していくならば、独島の妄言を2度と聞くことはないだろう。そのような世の中を彼らに譲り渡すために、われわれ大人たちがぜひともしなければならないことがあるとすれば、それは過去の清算と本当の和解ではないか、と思う。(「ハンギョレ21」第549号、05年3月8日、ペ・キョンノク編集長)
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