障害者一般労組設立の動き

私たちの体が資本主義を拒否する

チョン・ミョンホ(障害者一般労働組合準備委員長)

 社会変革労働者党党員の皆さん、〈変革政治〉読者の皆さんこんにちは! 障害者一般労組準備委員長チョン・ミョンホです。長い準備会を経て、6月12日、ついに障害者一般労組準備委員会が発足しました。私は19歳のときに、仁川の障害者自立生活センターで仕事を始めました。しかし、各種の業務を処理しながら、自身の障害に合わない労働をしていると感じました。短時間での業務処理を強要するなどの理由で、私は1年も耐えきれず退社しました。ちなみに、私は手足が動かしにくく、口で電動車いすを運転して、言語障害のため補完代替コミュニケーションAACプログラムで通信します。この文も頭に巻いた棒でキーボードを一字一字押して書いています。

重度障害者の労働をどう位置づけるか


 私は1年ほど休んで街頭に投げ出され(?)てから仁川タンポポ障害者自立生活センターで働いていました。2年間の教育を受けて組織担当も務め、障害者運動だけでなく、他の運動の連帯の重要性も学びました。銅鉱技研、韓国GMなど仁川地域の労働現場に連帯すればするほど障害者、特に重度障害者の労働権への感心が深まり、障害一般労組準備もそれと一体のことになりました。
 過去1年8カ月の間準備会をしながら「果たしてこの小さな集まりが準備委員会まで行くことができるのか」という懸念もありました。しかし、資本主義社会が重度障害者の労働を「無価値な労働であり、不必要なもの」という烙印を押しているので、頑張ってセミナーに参加して、複数の労働現場にも連携しつつ、重度障害者の労働をどのように位置づけられるのかを議論しました。
 いま重度障害者の労働を新たに定義する必要があります。その理由は、私たちの体が資本主義を拒否するからです。労働運動の父と呼ばれるカール・マルクスはこう言いました。
 「各自の能力に応じて働いて一人一人の必要に応じて分配しなければならない」と。
 重度障害者は、動きが遅いのです。しかし、遅いからといって労働をすることができないわけではありません。資本主義社会は、光の速度を要求するため、重度障害者が労働に参加できないのだと思います。今、少なくとも生計を維持できるように、国がしぶしぶ労働者に実施しているのが最低賃金です。しかし、それさえも受けられないのが障害者労働の現実です。「障害者を最低賃金の適用から除外することは、とんでもないことで、最低賃金法7条がまだ力を発揮しています。

疎外されたすべての人々と連帯


 障害者一般労組準備委員会は、障害がある労働者と失業者などの組合員を集めて団結した力で、さまざまなことをやっていこうとしています。障害者は、どの部門でも失業者が多いのです。政府の政策も間違っていたし、企業も障害者を雇用してこなかったからです。30大企業の障害者雇用率は1・92%に過ぎません。これは法定雇用率3・1%をはるかに下回る数値です。私たちは、政府や企業に対して誤った政策を正し、身体障害者の雇用を増やすという闘争を行います。また、その上で就職した障害を持つ労働者の劣悪な労働環境の改善を促進することをはじめ、日常的に差別を受けることすべての不当行為に対応していきます。
 また、障害者の暮らす権利を代弁する活動を行います。障害者の労働の現実を生々しく捉えて障害者の労働を新たに定義しつつ、障害者の活動を正当な社会的労働として認める社会を作っていくことが必要です。資本が必要とする競争と効率性、生産性の基準に従った労働体制を拒否して「良い労働」に変えられることが必要です。
 資本主義社会は、速度が重要だと考えています。速度はすぐに資本家に利益をもたらしてくれるからですね。ところが、多くの重度障害者は、労働者の速度が遅く、最初からその速度を合わせる不可能最重度障害者もいます。
 したがって、資本の立場から重度障害者は「役に立たない存在」と規定され、社会から隔離されたまま(障害者収容施設や部屋の隅で)一生を生きていきます。憲法は、すべての国民に「労働」する権利と義務を規定しています。しかし、障害者は、労働で徹底的に疎外されているのが資本主義です。
 たとえば、障害等級制・扶養義務制廃止のために、光化門で座り込みをするとき、重度障害者は1842日間座込み場を死守する、すなわち警備する労働をしており、駅舎側でも1842日間の駅舎警備をしました。両方守る労働をしたが、一方では「意味のない労働」として扱われたのに対し、もう一方は「意味があること」、すなわち賃金労働として認めました。資本の観点では、私たちの労働は利益をもたらさない労働であるため、「労働」として認めていません。私たちは、その枠組みを打破しようとします。障害者一般労組は、2006年に政府が加入した国連障害者権利条約が規定するように、「他の人と同じように障害者の労働権を認める」状況を実現していきます。
 障害者一般労組のもう一つの重要な目標は、疎外されたすべての人々と連帯して、新しい世界を一緒に作っていくことです。このために女性、性少数者、貧民、露天商など社会的弱者はもちろん、社会福祉労働者、労働災害労働者、移住労働者などと緊密に連帯します。また、非正規職、特殊雇用職など弾圧されて疎外されている労働者の長期闘争事業現場にも積極的に連帯します。
 人は誰でも、労働する権利があります。しかし、この国は重度障害者に労働する機会さえ与えません。最重度障害者には存在すること、生きていること自体が、労働です。私たちは、資本主義が必要とする労働ではなく、私たちの体に合った労働を勝ち取ります。これは資本主義体制との長い闘いになることでしょう。障害者と健常者の労働者、万国の労働者が団結して資本主義を終わらせましょう。トゥジェン(闘争)!
(社会変革労働者党「変革政治89号」より)

我々の前の社会主義
新しい体制を切り開こう

李鍾会(イ・ジヨンエ)社会主義の大衆化事業特別委員長

タブーになった名前「社会主義」

 20世紀2度の大きな恐慌と戦争は人類を死の谷に追い込んだ。 第2次世界大戦は世界人口の20%を動員し、その犠牲者だけで5千万人に達する。1914年第1次世界大戦で死亡者1千万人を含めて犠牲者が3千万人に上る最悪の戦争を経験しても、人類はその記憶をまだ忘れる前にさらに激しい戦いに巻き込まれた。それは資本による戦争であり、人類絶滅の戦争であった。
 第1次世界大戦という資本主義の「切迫した破局」に直面した労働者・民衆は「野蛮か社会主義か」の岐路で初めて社会主義という道を歩き始めた。それはすなわち、生の問題であり、生存の問題だったからだ。
 それに続く新たな禍根だったナチスとヒトラーの登場を阻止できなかった決定的な原因は、1919年ドイツ労働者革命の敗北だった。その後、ヒトラーは労働者・民衆に社会主義を「公共の敵」として、目を向けさせた。
 「ナチが社会主義者を攻撃したとき少し不安だったが、私は社会主義者ではなかったので何の行動もしなかった。ナチスが学校、新聞社、ユダヤ人などを相次いで攻撃した時、私はもっと不安だったが、行動に出ることはなかった。ついにナチスは教会を攻撃した。私は牧師だったし、そのときやっと行動に出たが、もう手遅れだ」。
 ドイツ告白教会(ヒトラーに反対した教会)ニムェルロ牧師の証言のように、第2次世界大戦の本質も資本の戦争であり、労働者・民衆は再び銃弾の人間盾で戦争に追い込まれた。
 第2次世界大戦が終わって日本の植民地から解放された韓半島は米国とソ連が分割占領し、まもなく朝鮮戦争が勃発した。それは、体制間の代理戦争、理念戦争の場になった。死傷者が5百万人に達し、民間人被害者が圧倒的に多かった。
戦争を経て、韓国では反共産主義を基盤とする分断体制が形成、維持された。20世紀初め、生存と暮らしの問題だった社会主義が、韓半島の南では「その名前さえ言えない」理念になってしまったのだ。

「社会主義か野蛮か」

 2008年、100年ぶりの恐慌が襲ってきた。米国で始まったパニックは「損失を社会化」し、資本の危機を労働者・民衆にそして周辺国に転嫁した。そのため、アラブ、南欧、アジア、そして米国で労働者・民衆の生存のための強力な闘争が繰り広げられた。
その闘争を経て、今の世界の政治は中道勢力が後退し、左と右の政治勢力が躍進する地形に変わった。 米国の2016年の大統領選挙がこれを典型的に示している。
「米国優先主義アメリカファースト」を叫ぶトランプが貿易の垣根を高く立て、経済戦争が始まり、これにより「自由貿易」がまるで平和を象徴する用語になっている。
しかし「自由」という言葉が顔負けするほど資本は思いっきり国境を出入りするのに対し、労働者は国境を塞ぎ、移民障壁はさらに高まっている。最近の欧州議会選挙で、極右勢力が躍進したのを見ても分かるように、これは米国を越えて世界的な現象に拡大している。
極右だけが躍進したのではない。資本主義主軸国の米国で「社会主義」を掲げたサンダースの突風があった。2008年の経済危機で街頭に追い出された貧民、ウォール街を占拠したオキユパイ(占拠)運動の力、最低賃金15ドル闘争など10年以上にわたる労働者・民衆の闘争が、まさに社会主義を掲げたサンダースの力だった。
そして、その闘争の先鋒に立った彼らは、自ら社会主義者であることを自任しながら、州議会をはじめ国会と市長選挙で当選の行列を作っている。
極右の躍進と社会主義の負傷は「社会主義か野蛮か」の選択を強要された100年前の状況と似ている。
最近ナショナル・ヘラルド紙は「サンダースにとって社会主義は外国人嫌悪と権威主義で経済を混合したトランプに対抗してすべての国民に適切な生活の経済的標準を保障する社会」であり、これにトランプは「米国は決して社会主義国家にはなれない」と声を荒げていると報じた。
主流経済学者のスティグリッツ(Joseph Stiglitz)や左派の一部では、「(サンダースの)それは社会主義ではなく、真の社会主義の障害物」だと主張しているが、「サンダースが米国の若者に社会主義を大衆化させている」という点は認めている。

公然と「社会主義」を語る時

 2016年のろうそく抗争を経て、韓国の政治地形もはっきりと変わっている。
これまでの反共イデオロギーに基づいた53年、分断体制に亀裂が入っており、南北・朝米関係の再編の可能性が拡大されている。
連動型比例代表制の導入などで既存の政治体制も変わろうとする。
さらに最近は、制度圏政党である正義党党代表選挙戦で「民主的社会主義」を掲げた候補が乗り出した部分も目立つ。その「民主的社会主義」が具体的にどのような意味を持つのかはいったん留保しても。
生と生存、そして平和に向かって進む大きな道としての社会主義が、いま韓国社会でも再び有力な政治的代案になり得る空間が開かれている。
第1次世界大戦の直前、投げられた「社会主義か野蛮か」という質問は今の世界政治地形でも依然として有効である。
韓国でも53年、分断体制が崩れた情勢が形成されており、87年体制と97年体制も労働者・民衆の生活と生存を保障できないことが明らかになった。
もはや韓国社会でも新しい体制を切り開かなければならない。資本主義がもたらした野蛮と疲弊した暮らしを振り払う新しい体制、それがまさに社会主義だ。
まさに今からタブーと沈黙を破り、社会主義を大衆化し、その道に進む地平を拡張しなければならない。
(社会変革労働者党「変革政治89号」より)

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