家の心配のない世の中で

誰でも公共住宅に
コ・グニョン(ソウル)

 6月3日は30回目の住宅非所有者の日」である。ところが、1週間前の5月27日、民主党は不動産税の減免と規制緩和を骨子とする「住宅市場安定のための供給‧金融税制改善案」を発表した。来月には、公聴会を開いて譲渡所得税(不動産売買の際に発生する時価差益に対する課税)と総合不動産税を軽減する方案を議論して決定するという。「住宅非所有者の日」を控えて、まさに住宅非所有者は眼中にもなく、資産所有者に対するこだわりに余念がない。

危険な規制緩和


 5月10日、ムン・ジェイン大統領は就任4周年の演説で「不動産だけは政府が言うことばがない」と不動産政策の失敗を認めた。4年間の「不動産安定化」政策がことごとく失敗したうえLH投機事態まで降りかかり(最近では、公職者らによる世宗市のアパート「特別供給」をめぐる違法・不正事態も起こった)、4・7の再補欠選挙で与党が惨敗したのだから無理もない。
 この失政に乗じて「不動産規制を緩和しよう」という主張が激しくなっている。選挙前から頭をもたげた「総合不動産税などの固定資産税軽減論」が代表的だ。例えば、民主党は1住宅所有者の総賦税賦課基準を現行公示価格9億ウォンから12億ウォンに上げる案を検討中だ。再補欠選挙後から、融資規制緩和の試みが続いている。民主党代表のソン・ヨンギルは住宅非所有者を対象にLTV(住宅ローンの割合:担保として取られた住宅価格比ローン限度)とDTI(総負債償還比率:所得に対する負債の割合)を90%まで上げると公言したが、それほど融資可能額を大きく増やすことは現行の2倍以上に融資規制を緩和するということを意味している。
 そもそもはこれまでの不動産政策を反省して方向転換をしようとするのだけれども、今回も方法を間違えた。まず、「税制緩和論」から見てみよう。「今までムン・ジェイン政府は高価住宅と多住宅所有者の税負担を強化した」とするが、果たして「どのように」強化したのか確かめなければならない。韓国租税財政研究院が5月21日に発表した報告書「主要国の不動産関連税負担の比較」によると、韓国の不動産保有税と取引税はすべてOECD主要国に及ばないことが分かった。2018年の韓国の保有税実効税率(民間所有の不動産資産比保有税)は0・16%で、OECD主要国の平均0・54%の3分の1にも及ばない水準である。それ以後、保有税が少し上がったが、2019年も実効税率は0・17%でどうにか0・01%の増加にとどまった。
 またムン・ジェイン政府は発足直後から賃貸事業者に対して、大規模な税制優遇を実施した。例えば登録賃貸住宅を、総賦税の対象から除外することにより、多住宅所有者が税金を逃れる手段として活用することになった。それは多住宅所有を規制するどころか、賃貸所得のような不労所得を法的に保護することになった。多くの市民社会団体も、賃貸事業者の優遇を「住宅価格上昇の主犯の一つ」だと指摘するほどだ。したがって、「保有税―固定資産税があまりにも高すぎる問題」だとする主張は、多住宅所有者の仮病に調子を合わせるだけだ。
 次に、「融資規制緩和論」を見てみよう。「住宅非所有者の生涯最初の住宅準備のために融資を解放する」という主張だが、これも根本的な問題を抱えている。まず、このように発生する「需要」が再び住宅価格の上昇を煽ることになる。第2に、すでに住宅価格があまりにも高すぎるため、家計負債をさらに増やすことになる。何よりも、この主張の根拠として、「住宅は必ず市場で購入しなければならない商品」だということが前提となっている。本当に住宅非所有者の住宅準備を助けたいのならば、望む期間だけ居住することができる低価格の住宅を政府が直接提供すればよい。経済的負担が少ない快適な公共住宅を住宅非所有者の誰にでも提供するということだ。

LH事態、「やはり公共はだめだ」?


 ここで1つのやっかいごとが生じた。LH事態以後「公共主導の住宅供給」そのものに反対する勢力が声を高めることになったことだ。「住宅の開発と供給をすべて民間に任せなければならない」というのが、これらの主張の核心である。
 まさに我田引水の典型以外にない。LH事態は名目上は「公共機関」である土地住宅公社(LH )が、むしろ公共の役割をしていなかったことで発生した問題であった。公共機関としてのLHは当然、「すべての住宅非所有者に低い価格で快適な、継続して居住可能な公共住宅を供給」するのが至上目的なのだが、実際にはその逆であった。LHは、土地所有者と建設会社の利益を保障する一方で、公共住宅の「公共性」を落とし込めた。
 例えば、最近発表された「公共開発」の「2・4対策」を見てみよう。政府は、「開発の円滑な推進」のために土地の所有者に民間再開発事業に比べて10〜30%の超過利益を保障して再建築超過利益負担金を免除し、容積率と基礎設計も緩和するとした。開発への参加建設会社に一定割合以上の収益を保障することはもちろんのこと、事業の過程で発生するすべてのリスクは、公共が代わりに背負う。国のお金で地主・家主・建設会社の後見人となることが「公共」の役割なのか? そうして見るとLH事態もLHが土地所有者の利益を保障したことで発生した。そして他でもなくLHの職員がその土地の所有者であったということが付け加わっただけだ。
 このような状況で「安価な公共住宅供給」は後回しにされた。地主と建設会社の利益を用意するには、財源を調達しなければならなので、結局、公共所有の土地や住宅を民間に売却‧賃貸して収益を出す構造を作り上げた。これが「お金にならない」公共賃貸住宅を供給することを難しくした理由だ。今年の初めに2・4対策を発表した国土交通部の報道資料には、「公共」という言葉が124回も登場したが、肝心の「公共賃貸住宅」は、わずか2回言及されただけだった。その上「何戸供給できるの」は明らかにされなかった。「公共開発」として供給するという住宅85万戸は低価格公共住宅とは全く関連がないばかりか、不動産市場で焚き付けの役割をする余地も多分にある。
 したがってLH事態の教訓は、「公共事業の廃止」ではなく「ありのままとしての住宅公共性の実現」でなければならない。利益ではなく、すべての住居権の保障を目的とする公共機関が必要である。地主・家主・建設会社の収益を保障するための開発ではなく、低価格で快適な公共住宅を十分に提供する国家責任の事業が必要である。さらに納税者などが公共住宅供給などの政策決定を統制することはもちろんのこと、担当する主要公職者を召喚・解任する権限を持たなければならない。そうすることで不正腐敗と非理をとり除き、真に民主的な統制を確立していくことができる。

多住宅所有を禁止して誰でも公共住宅に
 
 昨年11月に統計庁が発表した「住宅所有統計」によると、住宅非所有世帯は900万に迫るが、公共住宅はいまだ200万足らずだ。それすら企業タイプの賃貸住宅であるか、「幸福住宅」など公共性が低く、高価な住宅、あるいは一定期間の後に高価な値で分譲したり、追い出される「分譲転換住宅」などであり、それをそのまま公共住宅だと見ることはできない。低い価格の「長期公共賃貸住宅」もあるが、質が良くなく、多くの納税者が苦しんでいる。建物が老朽化したうえ冷暖房はもちろん送風と換気がうまくいかなくて、カビやゴキブリがわき返ったり、祖父母から孫まで大家族が10坪そこそこの狭い家に住んでいるなどの例はたくさんあり「公共住宅」への大衆的な認識も歪められている。当事者らの話を少し聞いてみよう。
 
 「より大きな家、トイレの多い家に住みたいです。各自の部屋でできるトイレがあれば争うこともないじゃないですか。大変な時に休む場所があればいいですね。だから私の部屋であり、弟が入って来ない部屋ですね」。
―京畿・富川市、2室の永久賃貸で7人(祖母、叔父、2男3女)在住
 
 「小さな部屋は、兄が一人で使いばあちゃんと私は台所で寝ます。この部屋は暑くて誰も使いたくないです。小さな部屋は、兄がいるときに入ると怒ります」。
―ソウル・トンジャク区半地下の2室のチョンセ賃貸で3人(祖母、兄妹)在住
 このように、これまで供給されてきた「公共住宅」も良質の住宅に転換することが急務である。何よりも、公共住宅自体が非常に不足している。古時院・長屋・ビニールハウスなど「家ではない所」に居住する人は統計に上がっている数だけでも30万を超える。トイレと台所がひとつになっているワンルームも大学街でよく見ることができる。
  変革党はすべての住宅非所有者に低い価格で快適な公共住宅を保障することを要求する。完全な公共性を備えた公共住宅を約800万戸以上供給するのは可能なことである。もちろん、そのすべてを新たに作ろうということではない。国内の住宅普及率は104・8%で、すでに住宅の数が世帯数よりも多い。それでも住宅非所有者が全世帯の半分に迫るということは、少数者が非常に多くの住宅を所有しているということを意味している。多住宅の所有を撤廃しなければ、全国民世帯への保障は不可能である。多住宅所有者が保有している住宅を公共の所有に転換し、住宅非所有者誰にでも低い価格の公共住宅として提供しなければならない。
 それでは、財源はどのように確保するのか? まず財閥の非業務用不動産から没収しなければならない。
 変革党が5月に発表した「2021年財閥社内留保金現況」資料によると、相場差益や賃貸収入を狙った財閥の「投資不動産」だけでも、約500兆ウォンに達する。
 政府発足と一緒に始まった賃貸事業者の特恵を廃止するのはもちろんのこと、相場差益と賃貸収入などの不動産不労所得をすべて没収しなければならない。この財源を資産として、安価で快適な公共住宅800万戸供給のロードマップを完成させなければならない。保有税緩和や融資規制緩和などをうんぬんする時ではない。
  問題は、これを強制する力である。公共住宅の供給をいくら強調してもしすぎることはない状況の中で、むしろ公共自体を否定する勢力が、より大きな声を出している。このような流れに立ち向かうためにも、納税者が結集して、不動産不労所得の没収と低い価格の公共住宅の供給を通した住居権の保障を要求しなければならない。変革党は、来たる10月に「不動産不労所得の没収による公共住宅800万戸の供給」を要求する納税者行動を準備している。そしてこれと共に、来年の大統領選挙で「誰にでも公共住宅」を実現する社会主義の大統領候補を立てるだろう。不動産投機の嵐を食い止める力、人間らしい住居権を保障する力を変革党と一緒に作り出そう。(社会変革労働者党「変革政治」127号より)

朝鮮半島通信

▲朝鮮社会主義女性同盟第7回大会が6月20〜21日の両日、平壌で開催された。大会には金正恩総書記が書簡を送った。
▲金与正朝鮮労働党副部長は6月22日、次のような内容の談話を発表した。談話は、党中央委員会全員会議の対外政策に対する米国ホワイトハウス国家安保補佐官の発言報道について、「自らの誤った期待は、自らをより大きな失望に陥れるであろう」と強調した。
▲韓国の金富謙首相は6月22日の国会での質疑で、収監中の李明博元大統領と朴槿恵前大統領の赦免問題について「国民が納得し、同意するだけの事情がなければならない」と述べた。

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