イ・ジェヨンを解放しようとするムン・ジェイン政権
これがあなた方がいう「公正」なのか
イ・ジョンナン┃半導体労働者の健康と人権を守る「パノルリム」常任活動家
4年前の就任当時ムン・ジェイン大統領は「賄賂、斡旋収財、斡旋収賄、背任、横領など5つの重大腐敗犯罪に関しては赦免しない」と約束した。国政独占の核心に財閥と政権の賄賂取引があったので、自ら「キャンドル政府」と自任したこの政権は大衆的な怒りを意識して初期には、財閥改革に乗り出すよう主張した。
そして4年が過ぎた今、ムン・ジェインは賄賂罪で拘束収監中の国政独占の犯罪者イ・ジェヨン三星電子副会長に対する赦免の雰囲気を作成するのに忙しい。
6月2日、大統領は4大財閥(サムスン・現代車・SK・LG)総帥と最高経営者を大統領府に招待した席で、イ・ジェヨン赦免要請に対して「国民も多くが共感する」という発言をしたという。するとまもなく6日には民主党代表ソン・ヨンギルがマスコミのインタビューで「仮釈放で解くことができる」と言うと、法務長官のパク・ボムギェも翌日(7日)」「仮釈放の範囲をもっと増やさなければならない」と相槌を打った。赦免でも仮釈放でも、大統領と政府与党がイ・ジェヨンを解放するのに「一致団結」した形だ。
これらは、特に「半導体市場の国際競争の激化」を「イ・ジェヨンの赦免が必要な理由」として押し出している。「経済を生かすのに財閥総帥が必要だ」という退屈な論理の繰り返しだ。メディア・財界・宗教界が率先してイ・ジェヨンの赦免を要求する総攻勢を浴びるムン・ジェイン政府は「半導体の競争」、「国民的共感」を云々し調子を合わせる姿を見せているので、怒らずにはいられない。
国民老後資金に被害を与え
経営世襲した罪
多くの労働者・市民が共にと、ひとつのキャンドルになって夢見たのは、「お金さえあればできる」という、特権と腐敗の世界を終わらせて、労働者と庶民も幸せに暮らすことができる世の中に乗り出すことだった。しかし、この国は今でも「財閥総帥を決然と擁護する」沼から一歩も抜け出せないようだ。大統領がイ・ジェヨンを本当に解放したならば、キャンドル抗争を財閥に売り払った詐欺政権として歴史に記憶されるだろう。
イ・ジェヨンは経営権を世襲するために会社のお金86億ウォンを横領して朴槿恵(パク・クネ)に賄賂を手渡し、これらの犯行を隠蔽しようとしたというのが国政独占裁判であり、裁判所が下した最終判断である。それも実刑2年6カ月という最小刑量を受け、2022年7月が満期出所日である。それでもすでに「光復節特赦か、仮釈放か」の話しまで広がっているのだ。
その上、賄賂罪だけでなくサムスン物産―第一毛織合併とサムスンバイオロジックス粉飾会計などの不法経営承継疑惑に対する裁判は、今始まったばかりの段階だ。時間がかなり経ったが記憶をたどって見ると、保有株式持ち分が取るに足らなかったイ・ジェヨンは、サムスングループ全体に対する支配権を掌握するためにグループの核心系列社である三星物産と、自身が大株主であった第一毛織を合併する過程で第一毛織の価値を膨らませることで容易に株式の持分を拡大しようとした。これにより、合併前の三星物産株を持っていた国民年金は、損失を被った(一方で、第一毛織の価値をつり上げるために、この会社が大株主であったサムスンバイオロジックスの企業価値を粉飾会計であらした容疑もある)。総帥経営権の世襲に国民老後資金を動員し、被害まで与えたのである。
それでも「半導体のため」、「ワクチンのため」、「収監でやつれたため」イ・ジェヨンを赦免しなければならないと恥じらいもなく記事をたれ流す数多くのメディアを見ると、数年前にサムスンの未来戦略室社長チャン・チュンギの文字メッセージを通して明らかになったサムスンのメディア飼いならしはなおもうまく機能しているようだ。
社会全体を搾取・収奪した罪
そうなると、私たちは、マスコミと政界が語らない真実をさらに話さなければならない。
まず、サムスン財閥の頂点にあった総帥たちがこれまで犯した犯罪は、賄賂罪と不法経営承継だけではない。サムスンは、悪名高い無労組経営で労働者を絞り取って抑制した。下請け納品単価を殴り飛ばして、不公正取引をこととしたりもした。その結果として、サムスングループは、300兆ウォンを超える社内留保金をはじめ、莫大な利益を残した。キャンドル抗争はそのような財閥体制を覆そうとしたのだったが、任期末に至ったムン・ジェインはむしろ財閥にさらに特恵を与えようとするのである。
さらに、サムスンが誇りとしムン・ジェイン政府が必死になってたたえようとする、半導体産業は、多くの労働者の命を奪い、災害を量産してきた産業である。米国が1990年代半ば、半導体の生産を中止し、アジア地域に生産拠点を移したのは他でもない有害性のためだった。ガンと生殖毒性を誘発する化学物質を大量に使用する中、地域住民まで被害を受けたからだ。1980~90年代のアメリカで発生したこのような不幸は、そっくりそのまま、2000年代以降、韓国に移すと、サムスン半導体の集団的白血病・ガンの発病と死につながった。「人が先」といっていたムン・ジェイン大統領は、これらの真実を知っても、「半導体競争」を強調し人の命よりも資本の利益を優先している。
いわゆる「K―半導体戦略報告」行使のためにムン・ジェイン大統領が先日、訪れたサムスン電子半導体ピョンテク団地の建設現場で、6月3日フォークリフトにひかれ、貴重な労働者の命が再び断たれた。信号だけ配置すれば防ぐことができた惨事だ。「イ・ジェヨン赦免」と「半導体競争」に熱を上げる雰囲気の中で、労働者の生命は今回もまともに目を引くことさえなかった。「持つ者には寛大で、持たざる者には過酷な政権…法の厳正性を傷つける行為で記憶に残るもの」。 これは2009年に、李明博(イ・ミョンバク)が李健煕(イ・ゴンヒ)を「ワンポイント赦免」したとき、当時、民主党が主張した批判だった。この言葉をそのまま今の政府与党に返してあげたい。これがあなたたちの言う「公正」なのか? イ・ジェヨン赦免、断じて反対する。
(「社会変革労働者党「変革政治128号より」)
朝鮮半島通信
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▲慰安婦問題の解決を求め、ソウルの日本大使館前で毎週水曜日に開かれてきた水曜集会が7月14日、1500回目を迎えた。
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