私は国家保安法違反の事犯者です

「国家保安法の廃止」10万請願達成によせて
チョン・ウォニョン(蔚山)

 1カ月前、「国家保安法廃止」請願が9日目で10万人の同意を得て、国会法制司法委員会に回付されました。これに後れをとっていた保守勢力も「国家保安法の廃止反対」請願を開始してから28日目に要件が満たされました。これによって「国家保安法の廃止」をめぐって賛否両論が17年ぶりに重要な争点として浮上する可能性が生じました。国会請願以前にも正義党のカン・ウンミ議員が「国家保安法廃止法案」を、民主党のイ・ギュミン議員は「国家保安法の一部改正法案」(「賛美・鼓舞など」に関する処罰を規定した第7条の削除)を発議して議論が進行中でした。
 この渦中に公安当局は5月14日、国家保安法を前面に出して「4・27時代年研究」のイ・ジョンフン研究委員を拘束し、国家保安法が死文化されていないことを誇示しました。革命的社会主義者を自任する筆者も、国家保安法被害者として国家保安法撤廃のために闘うことを誓い、共に苦悩を分かち合えたらと思います。

「体制」の安全ではなく「政権」の維持・延命が目的?
果たしてそうなのだろうか?


 
 前述した「国家保安法の廃止」請願では、この法律が「『体制』の安全ではなく『政権』の維持・延命が目的」だったと、指摘しました。一方、保守勢力は「自由民主主義と市場経済」を守るために国家保安法が必要だとしています。保守陣営は国家保安法の必要性を「資本主義体制の維持」と明瞭に提起しているのに対して、進歩―社会主義陣営内では多少の違いがあるようです。起源をさかのぼると、国家保安法は日帝下で朝鮮の社会主義者と独立運動勢力を抹殺しようと作った「治安維持法」をそのまま維持することで、1948年の大韓民国政府樹立後、4カ月目に制定されました。はなはだしくは、刑法制定よりも5年前のことでした。果たして国家保安法の真の目的は何だったのでしょうか?
 もちろん「政権の維持・延命」の目的もあったのだろうが、私は間違いなく「資本主義体制の守護」がこの法律の核心だと思います。1945年の解放後、米軍政と李承晩(イ・スンマン)勢力の第1の課題は、日帝下で激しい闘争として大衆的な支持を受けていた社会主義運動を「たたきつぶして」資本主義秩序を打ち立てることでした。そのため、当時の社会主義者たちと労働者民衆が一緒に勝ち取ってきた成果との闘争を無惨に踏み荒らしました。工場自主管理運動の破壊、大邱ゼネストと蜂起、済州島4・3抗争鎮圧等など。勢力が脆弱だった李承晩政権の登場自体が、米軍政を引き入れて、労働者民衆の民主主義を踏みつけずには不可能なことでした。「李承晩政権の維持・延命」は、資本主義体制を存続させる手段でした。国家保安法は誕生から「政権」のレベルを超えて「体制」を維持するためのものでした。
 今日でもそれは同じだと思います。国家保安法が政権の維持・延命はもちろんのこと、資本主義体制安全のための「反社会主義法」という事実は、この法律の適用事例からも見えてきます。特に1980〜90年代急激に成長した社会主義勢力は、国家保安法の過酷な弾圧に耐えなければなりませんでした。そのような弾圧を耐えた多くの社会主義組織がソ連の没落後に崩壊したり転向します。資本主義体制を擁護する組織や個人には、国家保安法を適用していない時代が到来したのです。
 しかし、ソ連と北朝鮮などの体制を「社会主義」ではなく、「国家資本主義」と規定し、真の社会主義運動が必要だと主張する組織なども出てきました。国家保安法は、これを逃さずにすぐに弾圧しました。もちろん、ソ連などを「国家社会主義」と規定しながらも、やはり資本主義を打倒し、労働者階級が権力を掌握して、世の中を変えなければならないと主張した組織なども国家保安法の弾圧から逃れることができませんでした。
  私は1990年代初めに「国際社会主義者組織事件」で、2000年代には、「社会主義労働者連合(社労連)事件」で「国家保安法違反事犯」となって処罰を受けました。特に社労連は、社会主義の建設を掲げ公開活動をした組織だったが、弾圧から逃れることができませんでした。むしろ裁判の過程で、検察側証人として出てきた保安隊長は私に「20年前にも社会主義者であり、今も資本主義の転覆を企てる悪質な社会主義者なので必ず拘束されなければならない」としました。社会主義組織が公開的に活動するか否かはそれほど重要でなかったのでしょう。より重要なことは「綱領と実践」でした。「資本主義体制を改革するのか、でなければ打倒するのか」、「議会主義を受け入れるのか、でなければこれを拒否して革命を追求するのか」、「資本主義打倒後の、労働者階級の権力形態は何か」などが重要な物差しでした。今でもこの点は変わらないでしょう。
 1990年代初頭、「合法的進歩政党」を追求した「韓国社会主義労働党創党準備委員会」が「プロレタリアート独裁の放棄と議会主義受け入れ」に署名して安全企画部(「国家安全企画部」:現在の国家情報院)と取引したという事実を思い出して見ると、国家保安法の威力を感じることができます。国家保安法が大衆だけでなく、社会主義者の思想、社会主義組織の綱領にまで深刻な影響力を行使したことです。私も数回綱領委員として活動して周辺から「国家保安法を避けるための用語の選択」の要請を受けたこともあって、そのような誘惑から自由でない時もあります。このように国家保安法は、思想の自由、表現の自由、組織建設の自由を深刻に制約します。国家保安法は、社会を根本的に変えようとする人々を一方では、拘束と手配で、あるいは、懐柔と自己検閲で放棄させるという希代の悪法なのです。
 大衆的に読まれた小説「太白山脈」、1千万人の観客を動員した映画「シルミド」、人気ドラマ「愛の不時着」が国家保安法で告発されたというとんでもないニュースに触れると、かなり多くの人が爆笑します。しかし、イ・ソッキ「内乱陰謀」事件や統合進歩党解散事件に対しては同意したり、黙認してやりすごす態度に失望を禁じえなかったりします。労働解放を叫びながらも「社会主義国家を建設しよう」という宣伝扇動には、自らにくつわをかませます。宣伝扇動が仲間を集めて闘争を組織して革命組織を構築するための最も基本的な方法であることを想起するならば、思想の自由と表現の自由は、結局組織活動の自由に帰結されます。したがって、国家保安法廃止の核心は、思想と良心の自由、表現の自由でもあるが「組織建設と活動の自由」にあります。

17年ぶりに再登場、
「国家保安法廃止」政局


 現在「国家保安法廃止」と「廃止反対」の請願をめぐる問題は、外見上圧倒的な議席を持つ民主党にかかっているのかもしれません。しかし、すでに2004年に開かれたウリ党時代の「国家保安法波動」(国家保安法の廃止を中途半端に提出したが、保守勢力の反発を意識して撤回したこと)を経験したので、国民請願を素直に受け入れないことは分かっています。民主党は保守勢力の反発をなだめるために「国家保安法廃止」よりも「第7条削除」という一部改正案に迂回しようとするように見えます(もちろん、最初からこの問題を取り出すこと自体に反対する者も多いことでしょう)。2005年当時、セヌリ党代表のパク・クネが国家保安法第7条削除の一部改正に合意した前例を見れば、可能性が全くないということでもないでしょう。これまでNL(「民族解放」)路線のボスと称されていたが右翼に転向したキム・ヨンファンでも国家保安法の処罰の90%を占めており、国連人権委員会から削除勧告を受けてきた国家保安法第7条をなくすことが必要だとしたこともあるので、再合意する可能性もあるでしょう。それでは、国家保安法第7条が規定する「賛美・鼓舞など」の違反ではなく、資本主義体制を耕し返すために活動する「残りの10%」の組織事件は弾圧してもよいというのでしょうか?
 国家保安法が生きている暴虐な社会を終わらせたければ、「第7条削除」ではなく「全面廃止」のための大衆闘争が必要です。労働者民衆が資本主義体制下の不平等の奴隷ではなく、新たな代替社会の主人としてそびえ立つために、体制の守護者でもあり、代替社会の障害物である国家保安法を必ず廃止しなければなりません。国家保安法の廃止を要求する労働者階級の闘争を、今すぐにでも、その闘争を多くの仲間たちと一緒に作っていきましょう。
 (社会変革労働者党「変革政治」128号より)

2000年代社労連が国家保安法で弾圧されるときに、多くの活動家が国家保安法撤廃を要求して共に連帯した。
国家保安法廃止を要求する人びと

朝鮮半島通信

▲韓国国防省は7月19日、アフリカ東部ソマリア沖に派遣されている韓国海軍の駆逐艦に乗艦している隊員301人のうち547人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。
▲ソウル拘置所に収監されている朴槿恵・前大統領が7月20日、持病の治療のためソウル市内の病院に入院した。

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