女性労働者階級の共産党宣言、『99%のフェミニズム宣言』

ナンシー・フレイザー、ヨンシア・アルッザ、ティティ・バタチーリャ共著

チョン・ウニ(機関紙委員会)

 「99%のフェミニズム」。昨年2月、米国ミレニアル世代(1980~90年代生まれ)社会主義の熱風を取材していて出合った言葉だ。2019年に出た同名の本『99%のフェミニズム宣言』の韓国語版が出版を控えた時だった。フェミニズムは「対抗化」したが、階級的議論が不足していると感じていた中で、恵みの雨のような本だった。この本は、性とジェンダー、個人と世界を貫いて「システム」という質問を投じて99%のフェミニズムとは何か、なぜ必要なのかを雄弁に解き明かす。「女性労働者階級の共産党宣言」と言えるほど、その内容は、社会主義フェミニズムの綱領的宣言を強烈に提示する。
 「99%のフェミニズム」という言葉は、近年登場した女性たちの抵抗の中で生まれた。韓国でも江南駅の女性嫌悪殺人事件とMe too運動などを契機に「フェミニズムの対抗化」現象が大々的に起こったが、これは国内だけでなく世界的な現象であった。2016年から、ポーランドでは、堕胎の全面禁止を推進する政府に立ち向かって、数十万人規模の「黒いデモ」(参加者が黒い服を着て出てきたことに由来)と女性のストライキが起きた。同年、アルゼンチンでは数万人が参加するフェミサイド(女性嫌悪殺害)反対デモが行われた。
 続いて2017年1月米国でトランプ大統領の就任に反対し数万人が「女性の行進」に乗り出した。そして1カ月余り後、米国の社会主義フェミニストがマルクス主義の雑誌『ビューポイントマガジン』に「99%のためのフェミニズム」を宣言し「99%のフェミニズム」という言葉が、世の中にその姿を見せた。この時、活動家たちは、2017年3月8日国際女性デーを前にして、国際女性のストライキを提案し、社会主義フェミニズムと急進主義フェミニズム、ブラックフェミニズムなど、多様なグループが一緒になって大きな反響を呼び起こした。2018年、数百万人が参加したスペインの女性ストのような出来事が代表的である。『99%のフェミニズム宣言』もその余波で出版された。
 この本は、深化する女性搾取と抑圧の原因が資本主義という点に注目する。「1%vs 99%」というスローガンが「ウォール街占領運動」のように、2008年の恐慌が触発した世界的デモの中で階級問題を深く掘り下げて登場したように、「99%のフェミニズム」も階級的視覚から論点を深化させた。さらに人種主義・帝国主義・気候危機が、資本主義による女性労働者階級に対する抑圧・搾取につながっていることを指摘し、仕事と家庭での女性のストライキを女性労働者階級の武器だと強調し、一国にとどまらない国際フェミニズムを提案する。最後的に、なぜエコ社会主義フェミニズムが代案なのかを述べて、「すべての急進的な行動が、公然とした反資本主義革命を共に」しようと呼びかける。
 著者たちの階級的視点は、フェミニズムを2つのグループに分けることで明らかにしようとしている。そのうちの一つは、フェイスブックの最高運営責任者シェリル・サンドバーグのたぐいであり、他の一つは、スペインの「フエルガ・フェミニスタ」(フェミニストスト)の主動者たちである。前者は、「すべての国家と企業の半分を女性が運営して家庭の半分を男性がやりくりするならば、私たち人生ははるかに良くなるだろう」と主張している。一方、後者は「性差別的抑圧と搾取、暴力から自由な社会を要求し…家父長制と資本主義同盟の抵抗と闘争」を呼びかける。
 著者らは「この2つの声はフェミニズム運動の2つの分かれ道を代弁する」と、次のように暴露する。「(サンドバーグのたぐいは)フェミニズムを資本主義の下女とする案だ。彼らが望むのは、職場での搾取と社会全体の抑圧を管理する地位が支配階層の男性と女性に一様に配分される世界だ」。このたぐいは、「労組を急襲し、殺人ドローンを浮かべ、親の命を奪って子供たちを国境の収容所に閉じこめておくのが男性ではなく、女性であることに喜ぶ」ことであり、フェミニズムの名前で、いわゆる「支配機会の平等」を要求する自由主義/企業フェミニズムである。一方、フエルガ・フェミニスタの主動者たちは、「上級管理者を生み出し、国境を生産し、国境を守るドローンを製造する資本主義の終息を主張する」と指摘している。
 社会主義フェミニストであり、『99%のフェミニズム宣言』の著者3人は、この本を一つの地球的運動として2019年に米国など世界10カ国で同時出版した。韓国では「ウムジクシ」出版社が昨年出版した。われわれは、すべての革命を模索するのならば、『99%のフェミニズム宣言』を一緒に読んでみよう。

99%のフェミニズム宣言11のテーゼ*

①押し寄せる新しいフェミニズムの波は、ストライキを再発明する。
②自由主義フェミニズムは破産する。今はそれを乗り越える時だ。
③私たちには反資本主義フェミニズム、99%のフェミニズムが必要だ。
④私たちが経験しているのは、全体社会の危機であり、危機の根源は、資本主義だ。
⑤資本主義社会でのジェンダー抑圧は、社会的再生産が利益のための生産に従属していることに起因する。
⑥ジェンダー暴力は様々な形態を帯び、そのすべては資本主義的社会関係と絡まっている。私たちは誓って、その全部と立ち向かう。
⑦資本主義はセクシュアリティを取り締まろうとする。私たちは、それを解放させようとする。
⑧資本主義の素姓は人種差別と植民地主義的な暴力だ。99%のフェミニズムは、反人種主義であり、反帝国主義だ。
⑨99%のフェミニズムは、資本の地球破壊を逆の方向にまわすために闘うエコ社会主義だ。
⑩資本主義は、現実の民主主義、そして平和と共にすることができない。私たちの答えは国際主義のフェミニズムだ。
⑪99%のフェミニズムは、すべての急進的な行動が、公然とした反資本主義革命と共にすることを呼びかける。
※この11種類のテーゼは、「99%のフェミニズム宣言」の目次を構成する。
(社会変革労働者党「変革政治」129号より)

※日本では2020年10月22日に人文書院から『99%のためのフェミニズム宣言』として出版されている。

384

朝鮮半島通信

▲金与正朝鮮労働党副部長は8月1日、米韓が例年8月に行ってきた合同軍事演習の中止を要求する談話を発表した。
▲韓国の最大野党「国民の力」の崔在亨・前監査院長は8月4日、次期大統領選への出馬を宣言した。
▲朝鮮中央通信は8月8日、咸鏡南道で大雨による洪水被害が発生し、朝鮮労働党が5日、工兵部隊による道路などの復旧や軍部隊の動員を指示したと報じた。

The KAKEHASHI

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社