韓国はいま 旭硝子非正規職支会チャ・ホノ支会長に聞く(2021年9月6日発行)

人数が少なくても民主労組は強い

 闘いが年を重ねると、メッキがはげるのが常だが、解雇者として6年間に渡る闘争を続けてきながらも、自信と確信を失わない人がいる。この7月で闘争7年目を迎えた金属労組旭硝子非正規職支会チャ・ホノ支会長である。民主労組結成後、わずか1カ月たらずで職場から追い出された非正規職労働者たちは屈せず、自分たちの闘いを放棄することなく、全国各地の闘争事業場にためらうことなく連帯してきた。それらを支える力は何だろうか。6周年闘争決意大会を数日前に行った7月には、「変革政治」が慶北クミの旭硝子工場前の座り込み場でチャ・ホノ支会長に会った。
――まず、旭硝子の事業所について簡単な紹介をお願いします。

 旭硝子は、LCDやTV、携帯電話に入るガラスを製造する会社だ。日本の戦犯企業で有名な三菱グループ系列社で、ガラス製造の分野では、世界3大企業のひとつだ。国内には2005年に入ってきたが、慶尚北道で一番大きな外資系企業だった。
 私たちの組合員がしてきた仕事は、作られたガラスを残らず洗浄し、不良な部分を切断する作業だった。通常、非正規職の業務は大変で難しい仕事が多い。ガラスの粉を清掃する仕事も、主に引き受けた。

――今年の7月で旭硝子の非正規職労働者が集団解雇されてから、6年になった。2015年5月に、非正規職労働者が労働組合を設立するやいなやわずか1カ月たらずで、使用者側は解雇を断行したが。

 最初に労組を結成したのは、低い賃金に対する不満のためだった。9年勤めた人でも今しがた入社した人でも、ほとんど変わらない最低賃金を受けた。それでよりおカネを儲けたいなら、長時間労働をするしかなかった。さらに、生産物量に応じて勧告辞職も頻繁に行われた。いつ追い出されるのかわからない身の上だったのだ。さらに仕事で何かヘマでもすれば赤色のベストを着せて侮辱感を与える人権侵害まであった。
 その労働組合を作るとすぐ1カ月たらずの内に文章で解雇通知を受けた。旭硝子元請が、私たちが属していた下請け業者との契約を解除したのだ。そして3日後に下請け業者の社長が私たちに「1千万ウォンずつあげるので希望退職にサインしろ」と言ってきた。「旭硝子相手に訴訟を提起しない」などの内容が含まれている「合意書」に署名させようとした。同時に工場の正門では、用役のチンピラ100人が出入りを統制していた。会社は自分たちが使える労組弾圧手段を序盤にすべて動員した。
 当時、私たちは、クミ工業団地で10年ぶりに誕生した労組であり、工団で最初の非正規職労組であった。それでクミ工団の資本家らは「何としてでもこの労組を整理させて、それ以上の拡大を防がなければならない」と認識したようだ。それでクミ商工会議所のような資本家団体が集まって対策会議もしたという。ことの初めから労組を倒そうとしていたのだ。

――これまで旭硝子の使用者側は不法派遣の判定を受けても無視してきたが、今年6年ぶりに立場を明らかにした。解雇された非正規職労働者に対して「新規採用の形態の復職と慰労金の支給」などを取り上げながらも、有毒の「チャ・ホノ支会長の復職だけは難しい」という立場を固守したというが。

 労組を認めないという態度に見える。一番深刻なのは復職問題を設けて組合員を分断しようとしたことだ。私たちとしては到底容認することはできないし、使用者側の案をただちに断った。
 使用者側の案は私たちの組合員21人を正規職として雇用するが、支会長はだめだというものであった。その代わりに支会長には慰労金3億4000万ウォンを与えるとした。残りの21人には、1人当たり9300万ウォンずつ慰労金を支給して、民主労総と金属労組に発展基金も出すとしたんだよ。おカネで処理しようということだが、確かに「おカネが多いな」と思った。
 ところで、私たちは、今まで会社とおカネを目的に話したことはない。この問題は、私たちが、民主労組を作ったことで始まったものであり、一番重要なことは民主労組を認めるか否かだ。復職と慰労金(会社は「慰労金」だとするが、私たちには、これまでの被害に対する当然の報酬である)は、使用者側が犯した過ちについて謝罪することを基本として行われなければならことだ。
 使用者側の案について、私たちは全く心配していなかった。昨年の12月に会社が6年ぶりに初めて会おうと連絡したときにはすでに、私たちは、内部の議論を経ていた。使用者側が分断する案を投じるだろうという点は予想していた。だから、私たちは議論を通して早目に原則を定めていた。とりあえず使用者側とは多くてもしっかりし3回だけ会うことにした。なぜなら、交渉ということ自体が資本には、私たちを継続して誘惑しあやすという手段となる。私たちがすがればすがるほど、使用者側は交渉をずるずると引き延ばしながら、その状況を利用する。そのために、多くても3回だけ会おうと、私たちの内部であらかじめ決めた。第2に、受容することができない案はすぐに拒否することにした。そして第3に、提示された案を対外的に公開することにした。
 このように組合員と事前に議論し、意見を一致させた。そうして2カ月後の今年2月に使用者側との最初の対面があったのだ。予想通り、先に話したように、使用者側は「全員復職は難しい」とし、第2回目の対面では、慰労金の額まで提示した。私たちは、「全員の復職がなければ、もはや会う意味がない」とするその程度の対面であった。会社には「全員復職案を持ってくるときに再び連絡せよ」と話した。
 このように、労働者が集団的な討論を通じて原則をきちんと決めておけば、交渉の主導力をどのように持っていくのか難しい問題ではないようだ。組合員が一緒に決定し、それに応じて迅速に判断するというやり方がとても大きな力だと思う。私たちは、この6年間の闘争をしながらそのようなやり方で議論をしてきた。どんな問題だろうが一緒に議論し、評価してきた。だから、今回の使用者側の案に対しても特に混乱することなく原則に基づいて決定した。会社の案を拒否して公開することでも、すべての組合員が異見なく一致して判断を下すことができた。

使用者側の懐柔に屈しない力、
「一緒に議論して同じように決定する」

――一方、旭硝子は、日本の資本であるだけに、国際連帯も重要なようだ。

 私たちは、2015年に闘争を始めたときからずっと日本の仲間たちと共にしている。日本にも旭硝子闘争支援対策委ができた。私たちが今まで日本の本社に5回遠征闘争を行ってきたが、コロナ拡散のために、昨年からはできなくなった。代わりに月に1度の本社抗議行動を、日本の仲間たちが行っている。もちろん今月も行われる。そのように、今日まで6年間着実に日本で旭硝子本社を圧迫している。
 実際、韓国旭硝子の社長は月給制社長であり大きな権限がない。重要な決定権を握っているのは、日本の本社だ。それだけに日本本社を圧迫する闘争がとても意味が大きい。幸いなことに、日本の仲間がいて、大きな力になる。
 しかし残念ながら、日本の旭硝子には労使協調的な労組しかない。それで、私たちと闘争を共にする日本の仲間たちが本社のみに行くのではなく、時には旭硝子の生産工場も訪ねて労働者に宣伝物を回して抗議集会を行う。労組に連絡して面談を申請することもしたが、やはり労組は、ドアを閉めて現れないという。

――旭硝子非正規職闘争を扱った本『野の花、公団に咲く』を見ると、労働組合加入を勧誘する際に「新しい世界を見ることになる」と言われたそうですが。

 私が言った言葉ではなく、われわれ組合員の仲間の話だ。自分は今まで生きるためにあくせくと働いて、他の人を返り見ることなく、「すべての人間は利己的」だと思ってきたという。それしかない社会だから、本人も自分のためだけに生きてきたと。ところが、労働組合で一緒にしながら、全く新しいものを見たと言う。多くの人が私たちの闘争を支援し連帯して訪ねてくるのを見てきて、こんなことは初めて経験したというのだ。そうしながら、自分は元の労組を良くないと思っていたが、全く新たに受け入れるようになったという。
 私たちが、労働組合という窓から社会を新たに見渡すようになった点が、これまでの闘争の成果だと思う。それ以前には、「勉強できなくて、われわれができないから非正規職になった」ととても自尊心の劣る人生を生きてきたが、労働組合を通して社会の構造を知ることで誰だろうが人間として大切で、尊重されなければならないということを知ることになった。それとともに、自らが堂々となった。正しい話をすることができる人に変わることだ。それ自体が新たな世界を経験したたことではないかと思う。

――いわゆる「公正性」を前面に出して、非正規職闘争を抑えるという試みがあちこちで行われている。同じ、非正規職労働者として、このような流れを見てどのように考えますか。

 とりあえず民主労総に属する正規職労組さえ公正性を語って正規職化に反対することは深刻な問題だと思う。私たちの運動が生き生きとしていないからか、このような反動的な声がぐっと大きくなるのではないのか。それだけに民主労組運動の原則をしっかりと打ち立てなければならないようだ。
 何よりも心痛むことは、非正規職労働者が闘争しながら、自らが「正規職と同じように扱ってほしいということではない」と話をする時だ。正社員と同じような扱いを受けられない理由がないのに、堂々と同等の権利を要求する資格が十分あるのに、なぜこのように顔色をうかがわなければならないのかという考えに心が痛む。
 結局、正規職と非正規職に分けて差別することが根本的な問題ではないか。「公正性」の論理は、私たちの運動が力を得て前進していないからで、それが進まないことが、より大きなことだろうと考えている。一種の椅子取りゲームに労働者を追い込む構造的な問題だ。人は10人なのに椅子は3つだけ持ってきて勝った人だけ座るということだ。「公正性」を話すのではなく、椅子を10個持ってきて置けと要求して闘わなければならない。はるかに堂々と闘争することが必要だ。

連帯、私たち自身が強くなるために


――この数年間、全国各地の闘争現場でチャ・ホノ同志の顔を見てきた。多くの闘争に積極的に連帯することの理由があれば?

 私たちの闘争に勝利するためだ。闘いに勝ちたいのならば自分の懸案に集中しなければならないと考えるかもしれないが、そう言って勝利することができる問題ではない。結局、われわれが勝利したいのであれば闘争の当事者がはるかに強化されなければならない。資本に立ち向かって闘う体力と精神力、資本家よりもはるかに強い戦闘性と階級性が必要だが、自分の闘争だけ目先の相手だけを見てそれに備えることは難しいようだ。多くの事業場に連帯することを通して、社会全体を見る視角を持って、直接経験することができる。他の事業場闘争が「あの人らの問題」ではなく「私の問題」になればなるほど共にすることで、私たちの闘争はとても簡単なように感じるようになる。私たちが、あきらめずに団結だけ壊れなければ勝つことができるという確信が生まれる。
 今起きている数多くの闘争の中で重要でないものはない。根気強く連帯してみると、私たち組合員の仲間たちも、自分の闘争のように、とても大事に思って一緒にするようになったよ。そして言葉で表現するのが難しいが、継続して連帯してみると「より高い連帯をどのように作れるだろうか」と悩むことになる。闘争の現場に一日訪問するということを越えて「私の仲間たちに必要なことをしなければならないのではないか」、「私たちが本当に意味のある連帯をしなければならないことはないか」などなど、このような問題について、私たち組合員の仲間たちと修練会を持って議論もたくさんしてきた。
 私たちは連帯闘争に行けば、基本的に、当該事業所の仲間たちと懇談会を必ずもつ。私たちの組合員が闘争状況を正確に認識する必要があるからだ。連帯は着実にその闘争を共にして共感することができなければならない。そうしてみると、私たちの組合員が実際にその闘争に完全に入り込んでいる姿をしばしば見ることがある。
 たとえば、今もソンジュのソソンリはサード・ミサイル配置が続き警察権力が入ってくる。私たちの組合員は通常週に1度ずつソソンリに連帯しに行くが、ここクミから行くなら早朝の5時には出発しなければならない。甘くはない仕事なのだが、それでもすべての組合員が続けている。そのように2017年から4年間をソソンリ闘争と共にしている。連帯は、私たち自身を以前とは違うように変えてくれるとても大きな力である。

――最後に、読者に伝えたいことがあれば?

 私たちは旭硝子で7年目の長期闘争をしているが、長い闘いながらもがんばりながら、使用者側の懐柔を断固として拒否することができる力がどこから出てくるのか考えてみた。私は民主労組が少数だとしても弱いものではないと信じている。私たちがどれだけ断固として、原則的で、民主労組を守れるのかがカギだ。
 少数でも労組をどのように運営してどのように闘争してどのように組合員全体を民主労組らしく作り出すのかによって変わると思う。民主労組の力はとても大きい。少数でも大資本と闘っても勝つこともできる。闘おうという意志、そして民主労組を守ろうとする原則の問題だ。それで資本は少数であっても、民主労組を恐れている。ひょっとして私達自身が民主労組の力をよく知らないのではないか? 私たちは、少数だが、まさにその民主労組の剣をすべて使おうとしている。闘う仲間たちすべてが自信を持って闘ってほしい。(インタビュー:機関紙委員会)
(社会変革労働者党「変革と政治」130号)

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