波乱万丈のヨンイン軽電鉄(10月4日発行)

公営化が答えだ!

セヨン(京畿道党代表)

 地下鉄できっちりと連携されたソウルと比較すると、都市と農村の複合地域である京畿(キョンギ)道は大衆交通機関で移動する不便な交通往来が多い。それゆえ、「交通問題の解決と地域開発」のために登場したのが軽電鉄である。ところが、全国初に建設されたヨンイン(龍仁)軽電鉄は、最初からボタンのかけ違いの代表事例だ。効率性を理由として民間資本が事業を引き受けたからだ。ヨンイン市は、ソウル全体の面積と同じ位の広さに人口109万人で、京畿道では、スウォン(水原)市に次いで2番目に人口が多い自治体である。しかし、大衆交通機関は、そのほとんどがバスに依存していたため、ヨンイン軽電鉄の建設は市民の期待を集めた。しかし、現在のヨンイン軽電鉄は度重なる事故と放漫経営で「税金を食べるカバ」とまで呼ばれる厄介者になった。
 ヨンイン軽電鉄は2002年、民間事業として提案されて推進された。2004年には事業施行社「ヨンイン軽電鉄株式会社」を設立し、ヨンイン市と「最小収益保障制度」で実施協約を締結した。「最小収益保障制度」は、自治体が民間事業者に予想収益の80%を保証するというもので、多くの民間投資事業に活用された。ところが、この制度を適用したほとんどの交通事業で、実際の乗車率は、予想した半分にも満たなかったために、政府や自治体の財政負担が大きく増えることになった。一方、民間事業者は、実際の乗車率とは関係なくまるまるお金を受け取った。
 このように、政府と自治体の財政負担が大きくなると、2006年には、民間の提案事業部門、2009年には、政府の提案事業部門で最小収益保障制度を廃止した。この渦中でヨンイン軽電鉄は、2010年6月に完成されたが、最小収益保障比率の問題で、ヨンイン市と管理運営会社「ボンバルディア」(航空機・鉄道車両を製造するカナダ企業)が争いを繰り広げ、開通を中断し、国際仲裁審判訴訟に入った。その結果、ヨンイン市は、この裁判で敗訴して建設費用と運行中断による損失費用など計8515億ウォン(利子2116億ウォンを含む)を賠償することになり破産の危機にまで追い込まれた。
 結果的に、ヨンイン市が2013年にヨンイン軽量電鉄(株)と「費用保全」方式で事業実施協約を締結し、その年の4月からヨンイン軽電鉄の運行が開始された。この過程で、ヨンイン市は地方債を発行して建設費用を返済し、損失費用は「30年の分割返済」を条件に新しい施行会社であるヨンイン軽量電鉄に貸した。その30年の間に返さなければならない利子だけでも2116億ウォンであり、途中で元金をひとまとめに返済することも不可能な契約である。ところが、以前の施行会社であるヨンイン軽電鉄と新たな施行会社ヨンイン軽量電鉄の実質的所有者は、「農協カンサス」という私募ファンドだ。結局、私募ファンドの利益を保全するためにその会社からお金を借りて、毎年77億ウォンの利子を30年の間、弁償してやる格好になった。

 波乱万丈の歴史を持つヨンイン軽電鉄の問題はここで終わらない。開通後明らかになった問題は、さらに深刻だった。ヨンイン市とヨンイン軽量電鉄が締結した「費用保全」方式によると、契約期間中、一定の金額の管理運営費と管理運営権の価値(予想利益)を支払わなければならないが、これを利用料金と自治体財政で充当するという仕組みだ。つまり、営業収入が低いほど、ヨンイン市が支援しなければならない財政規模は増えるしかない。
 当初この事業の妥当性を調査した研究用役はヨンイン軽電鉄の1日の利用客は15万人に達すると予測した。しかし、2013年に初めて開通した当時、実際の利用客は、1日平均1万289人に過ぎなかった。毎年利用客が少しずつ増えてはいたが、運行8年目の2019年の最大乗客数は3万3079人にとどまった。その上、2020年からは、コロナ19による利用客の減少で、1日の乗客は平均2万2970人にとどまり2015年の水準に戻った。「毎日15万人利用」を前提として設計されたので、ヨンイン市側が民間事業者に支払わなければならない予想収益は途方もなく膨らんだ状態であり、契約条件上の金額調整も不可能だった。ヨンイン軽電鉄の利用料金も、市民が出し、足りない運営費と利益まで全部ヨンイン市民の税金で民間事業者ポケットを満たしているのだ。
 現在ヨンイン軽電鉄は段階的民間委託で運営されている。所有はヨンイン市となっているが、事業施行者は、ヨンイン軽量電鉄であり、実際の運用は、「ネオトランス」という、また別の民間資本が受託するという複雑な形態である。このような段階的請負システムは、民間資本鉄道部門に共通するものだ。例えば、キンポ(金浦)都市鉄道もキンポ市がソウル交通公社に運営を委託したが、ソウル交通公社もまた、「キンポゴールドライン運営」という子会社を設立して再委託している。これは、いわゆる「官民合作投資」として行われていて、あらゆる軽電鉄事業が構造的な問題を抱えていることを意味する。ヨンイン市は毎年300億~400億ウォンの予算をヨンイン軽電鉄に使う。その中から100億ウォンほどの利子収益を施行会社である私募ファンドが持って行って、運営利益の50億ウォンは、運営会社ネオトランスが持って行く。
 これらの段階的委託運営方式は、多くの問題を生んでいる。透明性のある管理監督が難しいので、自治体が支給する運営費を民間業者が決められた目的に合わせて適切に使用しているのかどうかもわからない。ヨンイン軽電鉄の2次委託企業の「ネオトランス」は、基本財務会計情報すら公開していない。また、民間事業者は、支出を減らせば減らすほど利益も増えるので、利用客の安全と利便性のための投資は、優先順位からはずそうとする。大衆交通機関の公共性が損なわされているのだ。一例として、昨年末ヨンイン市は56億ウォンをかけてヨンイン軽電鉄すべての駅舎にスクリーンドアを設置した。ところが、稼働を開始した今年2月18日から3週間の間に、システムの誤作動に起因する180件の事故が発生して、乗客6人が負傷した。これは乗客の安全よりも利益のための最安値入札方式がもたらした結果だ。
 これに加え、最大の問題のひとつは、ヨンイン軽電鉄労働者の労働条件が悪化し、雇用が不安定になるということである。ヨンイン軽電鉄労働者は、2008年に「最初の軽電鉄開通」にともなって入社した。ところが、前述した開通の延期と実施協約切れによって2011年2月11日、全体の従業員155人のうち150人が勧告辞職を受けた。以降再開通当時の施行会社であるヨンイン軽電鉄に再入社したが、2013年8月に1次運営会社であったボンバルディアに所属が変わり、2016年には、2次運営会社であるネオトランスの所属に再び切り変えられた。労働者たちはずっとヨンイン軽電鉄で働いたが、所属会社が3回も変わったのだ。
 こうして、会社が変わるたびに、労働条件が悪化した。弾力勤務制を導入し休日手当も支給しない。夜間休憩時間を増やして、平均賃金を下げる。人材を削減する代わりに、休憩時間を減らすというようなやり方だった。雇用形態も問題だ。ネオトランス所属の労働者たちは、基本的にヨンイン軽電鉄に間接雇用されたわけであり、さらにネオトランス自体でも非正規職の割合が30%にもなる。常時的な雇用不安に苦しむしかないのだ。また、ヨンイン軽電鉄の売上高は増加し続けているが、管理人員の人件費は、ほとんど増えない。実際に、2012年ヨンイン軽電鉄事業が開始された時の新入社員の年俸は2870万ウォンだったが、2020年には2700万ウォンでむしろ、減少した。低い賃金と処遇のために専門職人材は職場を去り、人件費削減の結果、15の駅舎すべてが1人駅舎として運営されているのが実情である。
 このような人材不足と非正規職の雇用は、事故につながっている。2019年11月には、列車の故障でヨンイン軽電鉄の運行が停止し、乗客が30分間閉じ込められる事故が発生した。手動で運転すれば列車を運行することができたが、嘱託職だった機関士が手動運転に未熟だったために、他の駅にいた職員が、故障した場所に移動してはじめて運行することができた。列車に閉じ込められていた乗客は次の駅に到着してどうにかやっと抜け出すことができた。このように、公共の安全に責任を負わなければならない大衆交通機関を民営化した結果として、市民の安全は確実に脅されている。やはり段階的委託で運営されているキンポ都市鉄道でも2020年12月に列車故障が発生して、乗客数百人が2時間にわたって車内に閉じ込められその間どんな安全措置も受けなかった。
 このような安全性の問題を解決し、公共性を確保するためには、何よりも公営化が必要である。また、早急にも軽電鉄運営について統一的な基準を作成しなければならない。例えば運行距離あたりの最小人員を明示したり、無人運転への補完措置を設け、利用者の安全のためにも、労働者の直接雇用を原則とする措置などが必要である。
 このように、鉄道民営化の弊害があちこちで表れているにもかかわらずソウルで新しく開通したシンリム線、ウイ新設延長線、ナンコク線、ミョンモク線、モクトン線など軽電鉄を中心に民営化が続けて推進されている。べらぼうな税金を民間資本に注ぎ込むのではなく、格安で快適にして安全な環境にやさしい公共交通を作り出すために、利用者である市民と労働者を中心として設計から再始動しなければならない。軌道で働く労働者とそれを利用する市民は「公営化」を要求する。大衆交通機関は、人間の基本権である移動の自由のための手段であり、これを利潤追求の対象としてはならない。労働者と利用者が安全な大衆交通機関の公共性を確保するためには、国家が所有と運営に責任を負わなければならない。
 ヨンイン軽電鉄も同様だ。大衆交通機関であるヨンイン軽電鉄を公共として所有し運営することは正当であり、現実的にも可能である。ヨンイン市が施行会社ヨンイン軽量電鉄との契約を打ち切り、管理運営権の価値(予想利益)金額を早期償却すればよい。2013年から2020年まで、ヨンイン市がヨンイン軽量電鉄に償却した金額は、1495億ウォンだったが、このうち元金は717億ウォンであり、利息が778億ウォンで、元金よりも多い。実施協約の付属合意書によると、2023年からは、早期償却が可能である。毎年70億ウォン以上の利息を出すことよりも、元金を早期償却し、ヨンイン市が直接所有・運営すればよい。京畿道の他の自治体であるキンポ市は民間資本で運営してきたキンポ都市鉄道を2014年に直接運営すると宣言して準備に入った。ヨンイン軽電鉄維持費用を十分になしおえている市民は列車を利用して不便まで経験させられているが、いざ運営ということでは、いかなる統制もしていないのが今の現実だ。ヨンイン軽電鉄を正しく、公共的に運営するために、利用者である市民と労働者が大衆交通機関の供給と運営に対する統制権を確保しなければならない。
 このようにヨンイン軽電鉄を公営化するための闘争に労働者がまず打って出た。公共運輸労組軌道協議会所属のヨンイン軽電鉄支部はヨンイン軽量電鉄の委託運営会社であるネオトランスの契約満了時点である2023年からは、また別の民間資本ではなく、ヨンイン市が直接責任を負うことを要求して闘争を開始した。社会変革労働者党京畿道党もヨンイン軽電鉄労働者の公営化闘争に積極的に連帯する。多くの方々の連帯と支持を。

朝鮮半島通信

▲金与正朝鮮労働党副部長は24日、談話を発表した。談話で金副部長は、韓国の文在寅が国連総会で提案した終戦宣言問題について「終戦宣言は悪くない」と述べ、「相互の尊重が保障され、他方への偏見に満ちた視点と不当な敵視政策、不公平な二重基準から先に撤回されなければならない」と強調した。
▲韓国の防疫当局は9月25日、新型コロナウイルスの前日の新規感染者が3273人であったと発表した。

The KAKEHASHI

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00290=6=64430  新時代社