気候危機と産業転換、地域労働者の悩み
労働時間の画期的な短縮が核心だ
ホン・ミヒ(忠北道党気候正義党員会)
変革党忠北道党気候正義党員会は6月、忠北道党金属分会とともに金属労組テジョン(大田)忠北支部組合員に対して気候危機―産業転換についての意識調査を実施した。この報告は調査結果をまとめたものだ。
8月9日「気候変動に関する政府間協議体」(IPCC)の6次報告書が出た。報告書は、人類生存のための地球温度のマジノ線である「1・5度上昇」の到達時点が2030年代の中後半か2038年だと明らかにした。2018年「1・5度特別報告書」と比較するとわずか3年間で10年ほど早められた。大規模な火事やヨーロッパの大洪水、海面上昇などの災害の繰り返しと、今回のIPCC第6次報告書の警告は人々をいそがせることになった。
「気候悪党」に分類された韓国政府も「韓国版ニューディール」に2025年までに220兆ウォンを投資するとしている。上辺では、炭素排出量を減らし、持続可能・再生可能な産業に転換するために積極的な歩みをとるようだ。しかし「韓国版ニューディール」は、そのほとんどが財閥大企業に対応させた支援事業だ。特に電気・水素車への転換が最も早く進行中だ。現在、3%未満の電気自動車の割合を2030年に30%、2040年には80%にまで高めるという。これと合わせて政府が進める電気自動車研究開発の支援事業や購買補助金政策は完成車資本の懐を満たし新しい市場を与える。反面、産業転換で発生する不平等と労働の危機は議論も始まらなかった。雇用減少対応策も非常に不足している。政府が新たに作るという雇用は、低賃金・非正規職・短期雇用だけだ。
金属労組テジョン忠北支部には完成車に納品する部品会社の労組が多数組織されている。慢性的な物量不足と産業転換で消える危機に瀕したところも多い。このような状況を地域の労働者はどのように受けとめているのか。変革党忠北道党金属分会は、気候危機に対する労働者の認識を調査し、気候危機と産業転換が労働者に及ぼす影響と私たちの対応課題を探るために、「気候危機と産業転換に対する労働者意識調査」を金属労組テジョン忠北支部の協力を受けて実施した。今回の調査には、金属労組テジョン忠北支部所属の17の支会組合員1086人が参加した。
「深刻だということは知っているが…」
調査に応じた労働者たちは、気候変動認識の有無に対する質問に63・5%が「知っている」と答えた。年齢が高かったり、自動車部品会社の労働者であるほど認知度が高かった。気候変動の深刻性に関しても90%以上が「深刻だ」とした。気候変動の原因としては「資本主義の利潤追求と成長」を最も多くあげた。ただし、気候変動の深刻性を認識したきっかけは、「天気の変化」や「メディア報道」が主を成し、「労組活動」や「政府発表」で知ることになったという回答は非常に少なかった。
労働者たちは「気候変動が職場に影響を及ぼすこと」で、「人員削減」や「自動化拡大による転換配置」につながると憂慮している。特に自動車部品会社では「人員削減の憂慮」の回答(54%)が一般製造業事業場(39・8%)よりもはるかに多かった。女性の回答者も人員削減の憂慮がより大きかった。これまでこの社会は女性労働を「補助的」とみなして低賃金・不安定雇用として埋め合わせてきたが、産業転換過程でも被害を真っ先に背負わされる可能性が大きく、これは女性の不安定労働の深化につながる。
一方、組合員は「気候変動に対する労組の対応の必要性」を大きく感じていた(年齢が高いほど、そして自動車部品会社(77・5%)が一般製造業事業場(71・7%)より高かった。対応策としては「気候変動は国家レベルの問題なので、政府対策および支援策を要求しなければならない」というのが1位に挙げられた。ただし、政府政策に対する認知度は低かった。一方、「政府の政策で重点を置くべき事項」としてあげた一番は「経済成長の妨げにならないようにしなければならない」ということだった。もちろん、他の選択肢に対する回答率と似かよっており、区別するのは難しいが、「経済成長が即ち雇用安定」という資本の論理が反映されたのだ。労働者運動がここに亀裂を生じさせなければ、結局対応できる時期を逃したまま「環境と雇用からひとつを選択せよ」と強要されるだろう。
資本の論理を越えるために
今回の調査結果に基づいて、私たちはいくつかの課題をまとめた。
まず、労働者が参加する気候運動を本格化しなければならない。労働者は気候変動の深刻性を知っているが、労働者運動を通じてはほとんど接していなかった。これは政府と資本の「緑の談論」、即ち資本主義の成長論理を越えることを困難にし、気候危機への対応も「倫理的消費」のような個人の実践だけの狭いものになるだろう。
第2に、「雇用を守ること」を越えて「代替社会に向けた要求と闘争」が必要だ。今回の調査で、労働者たちは気候変動の原因を「資本主義の利潤追求」だとした。その責任も個人よりは企業にあり、国家次元の対策が必要だと答えた。しかし、その方向が「経済成長と物量を根底として雇用を守ること」に狭められれば、労働者運動は対応に失敗して、気候問題も解決できない。したがって、産業転換への対応から代替社会に進む要求と闘争を積極的に提起しなければならない。その核心点は「労働時間の画期的な短縮」だ。労働時間短縮闘争で生産と消費をけしかる体制を変える運動を繰り広げなければならない。
第3に、実践体系の構築を急ぐことである。今回の調査結果を見ると、労働組合の経験が多いほど政府・企業・労組次元の責任と役割を強く要求していることが分かる。これは労組の影響が少なくないということと組織的実践の可能性を示している。
労働者運動は現場調査をもとに気候運動に積極的な声を上げなければならない。政府・資本主導の「緑の成長」ではなく、環境・生態運動および進歩・変革政党とともに「気候正義―体制転換」運動として本格的に組織するとき、もうひとつの世の中にさらに一歩進むことができる。
(社会変革労働者党「変革と政治」131号)
朝鮮半島通信
▲韓国の金昌龍・警察庁長官は11月16日、独島に上陸した。
▲朝鮮中央通信は11月16日、金正恩総書記が両江道三池淵市の都市整備現場を現地指導したと報道した。
▲韓国の防疫当局は18日、新型コロナウイルスの新規感染者が17日に3292人確認されたと発表した。1日の感染者としては過去最多。
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