医療連帯本部、総ストライキで「公共性後退を阻止する」
「人材拡充」「国立大学の公共性強化」「公共病院の民間委託推進の禁止」など要求
公共運輸労組医療連帯本部(本部)はユン・ソギョル政府の医療公共性の強化に逆行する試みに対抗して総ストライキの総力闘争を繰り広げることを明らかにした。本部所属の事業場などは医療公共性の要求とともに事業場別の懸案を提起して11月10日、総ストライキ総力闘争大会を開催する予定だ。
本部は11月7日午後、ソウル鍾路区のソウル大病院医生命研究院大講堂で総ストライキ総力闘争宣言記者懇談会を開き、現場実態と要求案について説明した。今回のストライキの要求には大きく△人材拡充△国立大病院の公共性の強化△公共病院の強化・民間委託推進の禁止などが盛り込まれた。
ストライキは調整申請している17カ所で、未妥結の事業場を中心に突入する予定だ。未妥結の事業場は△国立大病院4カ所(江原大学病院・慶北大学病院・ソウル大学病院・忠北大学病院)△民間私立大病院2カ所(大邱カトリック大学医療院・青丘聖心病院)△非正規下請2カ所(大邱カトリック大学医療院の駐車/警備/美化・大邱カトリック大学医療院の葬儀場)△施設療養2カ所(漢南療養院・チュンギェ療養院)など10カ所だ。
政府の人材統制、労使合意の人材充員を阻む
これまで本部は政府の過度な人材統制で安定した医療サービスの提供が難しい状況だと指摘してきた。政府が国立大病院の増員要請を不承認とすることで、労使間で合意した人材充員すら履行できなかったということが本部の指摘だ。それによると、慶北大病院は2020年7月に正規職転換を完了したが、政府の定員統制で一部の清掃労働者たちが直接雇用の非正規職として残っている。慶北大病院の清掃労働者33人のうち14人は常時業務に該当するが、非正規職であり、同じ病院の寝台患者移送の5人、看護助手ローテーション人員2人、手術室看護助手2人についても労使が合意したが充員されなかった。
この日本部が公開した資料によると、コロナ19発生以後の3年間でも教育部・企画財政部は国立大病院などからの増員要請を不承認にしてきた。医療連帯本部がある国立大病院などがそれぞれ教育部に要請した増員定員のうち、不承認の人員数は2020年・2021年・2022年順別に列挙すると江原大学病院120人・31人・25人、慶北大学病院653人・725人・838人、ソウル大学病院107人・449人・596人、済州大学病院32人・36人・65人、忠北大学病院123人・48人・204人などとなった。
さらに、ユン・ソギョル政府が7月29日発表した「公共機関革新ガイドライン」によると、定員はさらに削減される危険に置かれていた。このガイドライン発表以後、全国の国立大病院などは計423人の削減計画を発表した。本部によると、この人材の多くはコロナ19患者の治療に投入されてきた看護人材などだ。この人材が一時的な増員だったという政府の立場に対して、ヒョン・チヒョン医療連帯本部事務局長は「公共機関革新ガイドラインの内容の中には、今年の現在員に合わせて定員を削減するとともに、2023年度の定員もまた削減するものとして出されている」とし「定員を引き続き削減することになっているため、人材充員はもはやないという話と同じだ」と指摘した。実際、江原大病院は今後5年間で95人の人材を削減する計画を発表してもいる。
保健福祉部が今年の7月7日に発表した保健医療人材実態調査の結果によると、韓国の看護師たちは1日平均22・6人の入院患者を担当している。米国カリフォルニア州看護師1人当たりの患者は5人、日本の看護師1人当たり患者は3人、オーストラリア看護師1人当たりの患者は7人(韓国保健社会研究院「看護人材勤務条件分析および改善案研究」、2018・12)など他の国と比較すると韓国は非常に劣悪な水準だということが分かる。看護人員の1日の歩数が2万歩を超え、3万歩を超える時もあるという本部の調査結果を通じても分かる。人材不足で、2019年の企画財政部が公共機関作業場の安全強化対策として出した「危険作業場における2人1組の勤務義務化」方針も役に立たなくなった。これにより、労働者たちは自分の安全と患者らの安全が脅かされていると指摘する。
ストライキ参加を予定している医療連帯本部ソウル地域支部ソウル大病院分会のユン・テソク分会長は記者懇談会でユン・ソギョル政府の公共機関革新ガイドライン政策の廃棄を促した。ユン分会長は3800人余りの組合員が実施するストライキ闘争で「普遍的権利である公共医療の領域を拡大するのではなく、国立大病院の機能を縮小し、組織と人材の効率化という名目で人材を縮小し、労働者の勤労条件を低下させるユン・ソギョル政府の公共機関革新ガイドライン政策の廃棄を要求する」と明らかにした。さらに「国立大病院の主務機関である教育部は、病院労働者たちの声をきちんと聞くための労政交渉にただちに応じて、労使政協議体を構成することを強く要求する」とも述べた。これは今回の本部の要求案でもある。人材など労組の主な要求と関連した政府との労政交渉、国立大学病院の使用者団体である「国立大学病院協会」と教育部、労組など3つの主体が共にする協議体の構成などが本部の細目要求だ。
民間私立病院、「1年10カ月」雇用…未解決の非正規職の正規職化
民間私立病院ではまだ常時業務に対する非正規職の正規職化問題が残っている。大邱カトリック大学医療院では正規職転換を避けるために「1年10カ月」だけ雇用するという慣行も残っている。
ペ・ホギョン医療連帯本部大邱地域支部大邱カトリック大学医療院分会分会長は、非正規職の契約満了と再採用過程で何年にもわたり人材・業務の空白が発生していると指摘した。彼は「現在、大邱カトリック大学医療院の非正規職使用実態を見ると、非正規職という理由で熟練した人材を雇い留め、非正規職として戻している」とし「診断検査医学と採血チームの臨床病理士は100%非正規職であり、病棟の看護助師はその大半が非正規職だ。また患者移送チームの看護補助人材もすべて非正規職だ。病院は正規職化の法的名分を回避するために、1年10カ月で雇用契約を解除して2カ月後に同じ人を再び採用する」と説明した。彼によると、定額制で働く非正規職労働者は、同じ仕事をする正規職労働者の賃金の87%しか受け取っていない。
現実化するユン大統領の公共病院民間委託公約
公共病院を強化し、民間委託の推進を禁止しなければならないということも今回のストライキの主要な要求だ。ユン・ソギョル大統領が大統領選候補時に掲げていた、公共病院を国立大病院・上級総合病院に委託するという公約は現在、自治体などが地方医療院などを地域内の大学病院に委託しようとする流れとして現実化している。城南市医療院、大邱医療院、キムチョン医療院、安東医療院、浦項医療院などが現在こうした状況に置かれている。これに対して本部は「自治体の資金支援が地方医療院の受託条件として提示されてきた先例を見ると、最悪の場合、自治体が大学病院の地方医療院を通してお金稼ぎを支援するという状況になりかねない」とし「現在地方医療院受託機関として上げられているのが国立大病院という点から、民間の大学病院よりは収益を主とする経営が露骨化しない可能性はあるが、公共医療よりは大学病院の利害関係を充足させるために活用される懸念は依然として大きい」と批判した。そうしてみるとこれまでにも馬山医療院が人口と医療需要が増加すると見られる昌原地域にあるということで慶尚大病院が受託を決定したこと、ウォングァン大学病院が群山医療院への医療人材などを支援していたが赤字がひどいという理由で経営責任を放棄して、委託から撤収した点など根拠を明らかにした。
一方、本部は人材拡充のために看護師一人当たりの患者数について法的基準を定める「看護人材人権法」の制定と看護管理料差等制の改編、感染病棟人材基準の整備、保健医療人材基準の整備、常時業務非正規職の正規職化などがなされなければならないと述べた。
イ・ヒャンチュン医療連帯本部本部長は、ユン・ソギョル政府が公共性と労働権を縮小する政策などだけに明け暮れていると批判し、「江原道に営利病院を導入しようと法案を発議し、地方医療院を民間に委託して、民間保険会社にCT、MRIなど患者の医療情報を提供するなど民営化を積極的に推進しようとした」とし「医療を民営化・商品化しようとするユン・ソギョル政府の保健医療政策などを暴露して、医療費の暴とうを引き起こす営利病院が支配する世の中はどうなってしまうのか、国民の生活にどのような悪影響をおよぼすのかを知らせる必要があるだろう」と明らかにした。
公共機関革新ガイドラインについて、ヒョン・ジョンヒ公共運輸労組委員長は「通貨危機の時に経験したのと似ているだろう。通貨危機の時、予算と人材を節減するとしてソウル大病院でハンドタオルをすべてなくした。その後、まもなく抗生剤の耐性菌が急増して感染患者が続出し再びハンドタオルを使用した」としながら「こうしたことなどが病院に対する人材と予算削減で発生しうる問題点」だと話した。
さらに「公共運輸労組は11月10日の医療連帯本部総ストライキを皮切りに11月24日から12月1日に安全な社会を作るために国家が責任を持って役割を果たさなければならないという要求を込めて、10万5千人の労働者が総ストライキ総力闘争に突入するだろう」と述べた。
ウン・ヘジン記者
(「チャムセサン」11月7日)
朝鮮半島通信
▲11月27日の朝鮮中央通信によると、11月18日に行われた大陸間弾道ミサイル「火星17」の試射の成功に貢献した兵士や国防科学研究機関の科学者らと金正恩総書記が、記念撮影を行った。
▲12月1日の朝鮮中央通信によると、11月4日に各種戦闘機500機を動員した空軍飛行隊の総戦闘出動作戦に直接参加した5個師団の20余りの連隊内の飛行士705人を、金正恩総書記が党中央委員会の本部庁舎に招いた。
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