性差別的で安全でないソウル交通公社で労働するということ
シンタン駅女性労働者ジェンダー暴力
事件、そして変わることはなかった
アンナ(人権運動ネットワーク風)
9月14日、シンタン駅で女性労働者殺害事件が発生した。シンタン駅の駅務員として働いていた女性労働者は午後9時ごろ、一人で駅構内見回りをしていてストーキング加害者によって殺害された。故人は加害者に対して最後まで抵抗した。故人は2021年10月の不法撮影の嫌疑で、2022年1月にはストーキング処罰法違反の疑いで加害者を訴えた。しかし裁判所は「証拠隠滅の懸念と逃走の懸念がない」とし、加害者の拘束令状を棄却し、警察は「身辺保護112システム」に故人を登録してわずか1カ月間だけの保護措置を取った。故人は加害者から引き続き脅威を受け続け、命まで失うことになった。この事件を経験して私の日常は一度崩れた。
シンタン駅事件は国家権力からきちんと保護を受けられずに、女性労働者の安全に対していいかげんな職場で起きた。国と企業にジェンダーの感受性があったならば、いち女性の命は失われることはなかった。
シンタン駅女性労働者ジェンダー暴力事件以後、ソウル交通公社のキム・サンボム社長は国会の女性家族委員会全体会議で再発防止のために「現場見回りではなくCCTVを利用した仮象パトロールを導入」することで見回りシステムを変えて「社会服務要員を再配置し、女性職員に対する当直の配置を減らす様々な方法を通して勤務制度を変えていく」と話した。
故人が殺された時間は夜明け勤務の当直中ではなく、見回り中の午後9時ごろだった。公社は労働現場の運営と事件について正しく把握することなく、女性を排除するというやり方で問題を解決しようとした。このようになると、当直をすべて引き受けさせられる男性労働者らの不満は女性労働者個人に向けられる。
はなはだしくも公社は労働者に三段棒、ガス噴射器などの護身装備を持たせると言った。職場内の性的暴力加害者を分離し、安全人材を補充するといった代替案は実現されなかった。駅務員として現場にいるソウル交通公社労働組合のイ・ヒョンギョン代議員は、こうした公社の対処に懸念を表明した。
「(…)むしろ私の責任だけがより重くさせられるものだと思います。より根本的には人員と関連して、今(ソウル)市では人員を減らすという状況なので(解決の方向が)全く違っているんです」。
シンタン駅事件が忘れられるように思われる社会的雰囲気の中で、公社は再発防止のための体系的な対策を立てないので、現場は変わってはいない。
性差別的な公企業、ソウル交通公社
ソウル交通公社職場内のジェンダー暴力に対する看過は性差別的な経営と無関係ではない。国家と企業の無責任に対し怒った駅構内での集会でもイ・ヒョンギョン代議員はこうした体質を明らかにした。
「面接スコアを操作して女性受験者を脱落させる会社です。女性寝室を作らずに女性を夜間労働に投入する会社です。年上の女性労働者を嫌悪し、生理休暇の使用を嘲笑しても放置する会社です。性暴力被害者を非難し、二次加害にも懲戒しない会社です」。
9月22日に開かれた「どこも安全ではなかった。私たちは最後まで闘うだろう」集会でイ・ヒョンギョン代議員の言葉通りソウル交通公社は2016年採用の性差別で大きく問題になった公企業だ。「女性がすることが難しいというとで夜間勤務時の女性用宿所も用意されていないなど現場条件も女性を採用する準備ができていない」とし、合格できる女性受験者の点数を合格点未満に修正して不合格処理した。以後、公企業でブラインド採用を行ったことで、女性受験者も採用されるようになった。
ソウル交通公社に統合される以前のソウル都市鉄道の場合、女性と男性労働者の交代勤務に関する問題があった。
「女性労働者の勤務形態は、交代する男性労働者を補助して支えるという勤務形態でした。基本的に自動化されたシステムを前提に、交代人材を最小限に定めていました。そして最小限に定めた人材を女性たちが補助するというやり方で勤務形態を組んだのです。これまで勤務形態が何度も変わってきたが、いつも人材問題に突き当たるので、男性労働者が何を求めるでしょう。『あなたらも交代して』」。
交代勤務をする男性労働者の不平は女性労働者に向かいやすかった。ソウル都市鉄道公社とソウルメトロがソウル交通公社に統合されて、入社した女性労働者たちは交代勤務を務めるようになった。しかし、既存の男性労働者を基準に組まれていた交代勤務システムは、女性労働者のための労働環境を提供しなかった。一例として、駅ごとに男性労働者の寝室はあるが、急に投入された女性労働者のための寝室はわずか数駅にしかない。女性労働者のための寝室が増えてはいるが、依然として不足していて、女性労働者は交代勤務のために駅を移動しなければならない。
性平等で安全な職場のために私たちが行動を始める
今回のシンタン駅事件が発生してからすぐにソウル交通公社労働組合内の「本読む女性労働者の集い(以下本の集い)」は早くに立場を発表した。本の集いはシンタン駅事件をジェンダー暴力事件だと命名し、安全に働く労働者の権利が侵害されたとし、公社に安全対策と性平等な組織文化の構築などを要求した。
本の集いは数人の女性労働者が集まりを通して、フェミニズムと労働について勉強している。共に勉強して現場を見守る女性労働者たちがいる。11月末の集まりが50回目の集まりだと誇りに思っていたイ・ヒョンギョン代議員はこのように述べた。
「女性労働者が安全な職場。労働者が性平等な職場。ところで、それを誰が作るのでしょう。私は女性労働者が作ることができ、作らなければならないと思っています。なぜならば問題を感じている人が問題を汲み取るようにです。私たちが感じているどのような敏感さもその人々(女性ではない人々)が持つ敏感さとは全く違うものです。それならば、その敏感さを感じている人々が行動を始めるしかないでしょう」。
同僚を失い、構造的性差別がまん延する職場で女性労働者たちは挫折だけはしていなかった。継続して集まって声を出し続けている。性平等で安全な職場のための闘争に乗り出した女性労働者と共に変えていく世の中を期待することになる。
「チャムセサン」12月19日

朝鮮半島通信
▲朝鮮は12月18日、西岸付近から、2発の弾道ミサイルを、東方向に向けて発射した。
▲朝鮮は12月23日、平壌近郊から、少なくとも1発の弾道ミサイルを、東方向に向けて発射した。
▲平壌で12月31日、新年慶祝公演が行われ、金正恩総書記が観覧した。
▲金正恩総書記は1月1日、平壌の錦繍山太陽宮殿を訪問した。
▲金正恩総書記は1月1日、朝鮮少年団第9回大会の代表らと記念写真を撮った。
▲「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」への寄付金を横領した罪などに問われている正義連前理事長の尹美香氏の論告求刑公判が1月6日、ソウル西部地裁で開かれた。検察は懲役5年を求刑した。
【訂正】「かけはし」新年号巻頭論文2面下から4段目中見だしから8行目「インドのシン政権」を「インドのモディ政権」に訂正します。
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