労組を作り現場を変える

建設労働者たちは現場を変えるためにどのように闘ってきたのか

チェ・ミョンスク建設労組京仁地域本部事務局長

[編集者注]最近、ユン・ソギョル政府の労働組合弾圧は建設労働者をターゲットにしている。政府は「建暴(建設現場暴力)」という新造語まで作って建設労組に暴力集団のイメージを注ぎ、不法行為集団として売り込んでいる。ウォン・ヒリョン国土交通部長官も建設労組に対して「分譲価格上昇の主犯」、「経済に寄生する毒」、「粗暴労組」といった表現を使って建設労組を犯罪集団として追いやっている。政府は警察と検察を動員して、「建暴」の検挙実績を上げることの真っ最中だ。1月から建設労組に対する押収捜索が相次いでいる。数百人の組合員が採用強要などの容疑で調査されており、そのうち一部は拘束までされた状況だ。この渦中で警察は「建暴つぶし」の警察官を特任させて、「建暴つぶし」競争を煽っている。
 全方位からの攻撃はこれで止まらない。建設労働者のうち建設機械装備を所有して直接運転する特殊雇用労働者を弾圧するために公正取引委員会が動員された。公正取引委員会は建設労組と貨物連帯を事業者団体として規定して調査を進めているが、建設労組については「談合行為」を理由に数億ウォンの課徴金を賦課した。30余りの建設会社のCEOらが一堂に会し、「数十年間『建暴』に苦しんだ」と言ってのけた。「今が建設労組の不法行為を根こそぎにすることができるゴールデンタイム」だとし、政府の「建暴たたき」を煽っている。政治権力と資本権力が一つになって、労働者集団を攻撃しており、これらの一方的な主張は言論を通じてそのままたれ流される。建設現場で天文学的な利益を積み上げてきた建設資本が数十年に渡って被害を受けてきたという荒唐とした話が連載を始めた。政府と建設会社はなぜ建設労組をたたくのか。建設労働者たちが変えてきた建設現場の話をはじめ、権力側がこれまでに押されてきた話から始めてみよう。

1 土方(ママ)たちが労組を作った。どのように!

・タワークレーン労働者: 2001年にタワークレーン労組を作った。直ちに協同技師(タワー賃貸技師などの組織)を通じた中央交渉を進め、その結果、全国の賃金を統一して団体協約を作ることができた。以後、建設現場を変えるすべての部分で先頭となった。
・建設機械労働者:    2001年に建設輸送労組を作り、政府が建設労働者を個人事業者だと話すや車両を率いて上京し、「私たちも労働者」という闘争を行った。2004年にはダンプ労働者たちがダンプ連帯に集まり「いっそのこと殺せ」と闘った後、建設輸送労組に合流した。
・外線電気労働者:
 1989年、全北地域から「人間らしく暮らしたい、私たちも8時間だけ働きたい」と叫んで地域労組を作った。その後、他の地域にも広がった。
・土木建築労働者:
 1989年、ソウル地域で建設日雇・労働組合を作った。まず土方たちがいかなる労働組合なのかと、労働部でも設立申告を差し戻されたという。しかし2000年以降、労働者たちの闘争を通じて組合員が拡大し始めた。

 このように建設現場でそれぞれ異なる労組として始まった建設労働者が、2007年に一堂に集まって一つの労組を作った。その名前がまさに「全国建設労働組合」だ。

2 施工参加者制度を廃止する

 全国建設労組を作った初年に、建設労働者たちはなんと4つの法案を作り変えた。その中で一番核心的なのが「施工参加者制度」を廃止した「建設産業基本法」だった。1994年のソンス大橋、95年のサムプン百貨店崩壊後に作られた施工参加者制度は、建設労働者をしめつける根源だった。建設工事の正常な仕組みは発注先―元請―下請構造である。ところが下請でまた職種別に請負に出すのが現実だ。そうして一番末端の下請けである「オヤジ、人夫頭、ミダオーチ」が施工に参加するとして「施工参加者制度」と名付け、この不法な重層的下請け構造を合法化した。以後、賃金滞納や危険な作業環境、低賃金と長時間労働は建設会社の責任であるのに、能力もない施工参加者、すなわちオヤジや人夫頭などに責任を負わせるという仕組みが形成された。

 我が建設労組は単一労組を作り、真っ先にしたことがまさにこの建設現場における悪の根源である施工参加者制度を廃止することだった。建設現場でどんな仕事をしても、施工参加者ではなく元請会社に責任を問わせれば現場の変化が可能だったからだ。あまりにも切迫して切実だったため、単一労組発足元年である2007年の総ストライキを通じて施工参加者制度を廃止することができた。胸おどるくらい嬉しかった。すぐにでもぱっと変わると思ったが、やはり長期に渡って不法と不正の温床だった現場はそんなにおいそれとはいかなかった。法が変わっても建設現場が自然に変わるということではなかった。

 それでその当時1万5千人組合員のうち70%を占めていた建設機械労働者たちがまず闘争に出た。全国の現場を回りながら法が変わったことを知らせ、「もう中間業者(別名たわごと)が現場にあってはならない、それらを抜いて直接装備を使うべきだ」と夢中になって叫んで回った。また当時、建設機械労働者たちは手のひらほどの小さな紙に日付と現場名、作業したというサインが入った作業日報(別名:マンボ紙)を契約書の代わりに受けたが、それを無くしてしまうと仕事をしたという根拠が消えてお金を受けられなかった。それで、マンボ紙を作成しないで、‘標準賃貸借契約書’を直接書かなければならないと声を出した。

 さらに、政府の需給調整委員会と装備需給に関する事項にも合意した。もちろんその対象は当時組織に集まっていたダンプ、レミコンに限っていた。これらの多くのことを単一労組建設元年である2007年にすべて変えたのだ。新しい世界を迎えたようだった。現場が変わることを確認し、何でも一緒にやればできるという自信感もあふれた。このような激動の時期を経て建設現場は施工参加者制度の廃止前と後に分けられるほどの大きな変化を経験した。

3 包みをほっぽりだして、家族と一緒に夕食を食べた

 施工参加者制度の廃止が現場を完全に変えたが、具体的に見れば職種別偏差があった。まだ大半が組織に入っていなかった土木建築労働者たちは依然として劣悪な環境と違法重層構造の下で苦しんでいた。その当時、土木建築労働者組合員は全国でたったの2千人余りだった。タワークレーンや建設機械労働者とは異なり、組織率があまりにも低かった。その過程で骨が折れるように感じたことの一つが、まさに法がいくら変わったとしても、組織的な力がなければ、その法は無用の長物だということだった。

 それでも建設労組全体は年ごとの総ストライキと現場闘争を経て徐々に成長し始めた。職種別部門に分かれていたが少しずつ一つになっていき、現場闘争も一緒に進行した。最初から中央交渉を進めたタワー部門が作り出した「日曜休み、8時間労働」などが少しずつ位置づき始め、政府が「労働者ではない」とした建設機械労働者の賃金滞納を解決するという案も作られていった。

 劣悪な条件で働いていた土木建築労働者たちも現場闘争を通じて少しずつ成長していった。施工参加者制度の廃止を根拠に、組合員の直接雇用を要求し始めたのだ。地域別の違いはあったが、一度流れが作られたら全国的に拡散した。そのように始まった直接雇用闘争は建設現場に変化の大きな風をまき起こしたが、おそれおおくまず土方たちが建設会社に立ち向かったからだ。

 かつては自称オヤジがすべてだった彼らが建設会社と交渉をして堂々となった。自分の地域で自分は働かなければならないと要求した。一方オヤジたちも「私ももうオヤジをやめて直接雇用されなければならない」と主張したりもした。現場が終われば、包みを包んで別の現場をのぞいていたオヤジらが労組に集まった。チームとして働く型枠大工を主軸に組合員が幾何級数的に増えて、鉄筋工も合流した。

4 中央交渉!建設現場の革命を生み出す

 2017年、土木建築部門がついに中央交渉を要求した。組合員たちが働いている200社を超える建設会社に公文を送って交渉に出て来るようにと、争議権を確保し、同時に闘争も行って現場も止まった。これまでしたことがない闘争をした結果、全国的賃金が決められ、団体協約が作られた。これまで現場別に印刷された一枚の協約書ではなく、賃金と各種労働条件が書かれたきちんとした団体協約を手にした。本当に何にでも表現できないほど嬉しく涙が出た。生涯無視されて人間扱いされてこなかった土方たちが初めて労働者になって現場の主人になった。それは本物の革命だった。無条件に雨の日を休日にしていた私たちは休日のお金を受けて休み始めた。年次が生じ、週末には早く退勤した。賃金は2倍近く上がり、標準労働契約書の作成を始めた。これが革命でなければ何が革命だろうか!

 今でも建設現場は建設労組によって変わり続けている。死の現場で働いてみようとしない現場で、そして若い青年たちが入ってくる現場へ!まだ行く道は遠いが、過ぎし日私たちは一緒に現場を変えて、今も進んでいる。全組合員の10%を占める青年組合員らがそれを証明している。

 そのように成長した私たちをユン・ソギョル政府は目の上のたんこぶで恥部といった。以前に与えれば与える通り、許可させればさせる通りに使っていた土方たちが懐かしいようだ。企業にとって良い国、建設業にとって良い国を作るために政府と資本が「ワンチーム」になった。アパートを建てて大金を稼いで、不正資金を作って政治資金をやりとりしていた彼らが、私たちを突然、恐喝脅迫、粗暴、に生きている人に仕立て上げた。今まで労組としてつくしてきた私たちに、事業者が、社会的公正取引を脅かしたとして巨額の過怠料の弁償をせまっている。

 開いた口がふさがらない。誰が誰にそんなことをしたのか! 十数年にわたって放り出された現場を誰が変えて透明にしているのかを、知らないとでも言うのか! 建設現場には建設労組がなければならない。彼らが知らないことが一つある。私たちはもう以前の土方ではなく堂々とした建設労働者であることを。いくら私たちを弾圧しても労組を知らなかった時代に絶対に戻らないということを。
(「チャムセサン」4月18日)

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