性少数者の心強い後ろ盾、性少数者親会
アナグマ(行動する性少数者人権連帯)
性少数者たちが人権を叫ぶ広場と街で存在だけで心強く安心にさせてくれる人々がいる。まさに「性少数者親会(以下、親会)」の親活動家たちだ。
2014年初めのある日、ゲイの息子を持つ母親が行動する性少数者人権連帯(以下、行性人)に電話をかけてきた。あなたのように性少数者の子どもを持つ親たちに会いたいという内容の通話だった。顔見知りの性少数者の子どもを持つ母親3人が集まることになり、3人はそれぞれの悩みなどを分かち合った。集まりはまたとなく貴重であり、親たちは毎月定期的に集まろうと約束した。性少数者親会の誕生だった。
そうして誕生した親会は2014年から毎月定期会を開き、2023年4月には92回目の定期会を迎えた。親会を訪れる性少数者の親たちの訪問も続くが、親会を初めて作った3人のように子どもに対する悩みをいっぱい抱えて訪ねてくる。子どものカミングアウトによる混乱と葛藤を解消することが親たちの第一目標だ。
親たちはまず子供のカミングアウトを経験した他の親たちの話を聞き、共感し、心の慰めを得る。そうして混乱を解消させた親たちは「地球がひっくり返ってもお母さんはお前の味方だ」と性少数数者の子どもの最大の支持者になる。そしてそこからもう少し進んだ幾人かは、「間違っているのは性少数者である私の子どもではなく、差別と嫌悪が蔓延する私たちの社会」だとし差別と嫌悪が蔓延する社会を変えるための活動に飛び込む。こうした親たちがまさに親会の親活動家たちだ。親活動家らは自分の子どもだけでなく、すべての性少数者の最も心強い支持者になる。
2014年新村、ソウルクィアパレードでのことだ。当時、嫌悪扇動勢力は行進を物理的に妨害し始めた。それ以前にもしばしば妨害があったが、組織的に防いだのは2014年が初めてだった。皆がうろたえて怒り、挫折するなか、親会の活動家一人が単独でプラカードを持って嫌悪扇動勢力に立ち向かう。「息子よ、お母さんはあるがままの君を愛する」。嫌悪扇動勢力が「愛しているから反対する」と偽りの愛で罵倒すると、親会の活動家は本物の愛で性少数者たちを包容し嫌悪扇動勢力の声を静めた。
1年後の2015年ソウル市庁広場でも親会の活躍は続く。ソウルクィア文化祭は徐々に増加する祭り参加人員を収容するためにソウル市庁広場の扉を開けることになった。警察は祭りの参加者を保護するからといって、祭りが開かれている広場をフェンスで囲んだ。嫌悪扇動勢力はこのフェンスをぐるりと囲んで祭り参加者たちに向かって嫌悪の言葉をあびせる。なかには青少年性少数者に対して「家族の所に戻って」、「家では知っているのか」と脅迫する言葉もあった。これに親会の活動家は「子どもと家族に対する愛を差別扇動に利用するな!」と醜悪な者たちから勇気ある言葉で防いだ。
2016年6月12日明け方、ソウルクィアパレードを終えた後の話だ。米国オーランド地域にある性少数者のクラブで銃器乱射事件が起きたというニュースが伝えられた。性少数者憎悪犯罪であり、これにより50人余りが犠牲になった。惨事のニュースに、世界中の性少数者コミュニティが大きな衝撃と悲しみに浸った。その時、性少数者コミュニティを慰めてくれる映像一つが共有される。まさに前日のソウル文化祭の際、親会が行ったフリーハグの映像だった。親会の活動家たちは愛していると、よく来たと、頑張ってと、当日祭りを訪れた参加者だけでなく、悲しみに浸っていた性少数者コミュニティのメンバーたちを訪ねて心を尽くして抱きしめた。
2018年東仁川駅北広場、初めて開かれた仁川クィア文化祭の現場では類例のない暴力事態が起きた。300人余りの祭り参加者たちを1千人を超える嫌悪扇動勢力が取り囲んで孤立させた。暴言はあたり前で、身体的暴力とセクハラをほしいままにした。旗竿を折り、プラカードを奪い、パレード車をパンクさせるなど、器物損壊もためらわなかった。祭りの参加者たちは朝から晩まできちんとした食事をすることも、トイレを利用することもできない状態で孤立させられた。警察はただ祭りの参加者たちと嫌悪扇動勢力の間に立って暴力を傍観するだけだった。むしろ祭りの参加者が外に出ると、再び入ることができないように食い止めるなかで、孤立をさらに深めさせることまでした。韓国の性少数者運動史上初めて経験した集団的リンチ事件だった。
親会の活動家たちは「性少数者が何がそんなに間違っていたのか」と嘆いて悲しみながらも、萎縮せずに祭りの参加者たちの心強い盾になってくれた。反対する側のプラカードが見えないように親会のプラカードで覆い、前を塞いだり、他の参加者らが悪質な者の標的にならないように体を前に出した。少数者のための人間の壁になってくれた。どこかでリンチがあればみんなで一緒に走って保護してくれ、外に出て入って来ようとした祭り参加者が警察によって止められたら「私の子」だと庇護してくれた。萎縮させられた参加者たちに勇気を吹き込む発言をし、孤立させられた状況でもフリーハグをして参加者たちを暖かく抱き締めてくれた。
2019年5月、ソウルのある儀式場で、少少夫婦の「少少結婚式」が開かれた。親会からも多くの方がお祝いの客として参加した。結婚式に参加できなかったアナグマの両親に代わって、親会の代表の聖者様が婚主席に着席し、祝辞を通じて私たちの愛を祝福していただいた。
このように、親会の活動家たちは、性少数者の人権を叫ぶ現場ならば、それがいつでも、どこでも選ぶことなくたずね、性少数者の支持者として効果的なスピーカーになることもあり、時には嫌悪と差別に立ち向かって闘う闘士にもなったり、時には前に立って楯を自任することもあり、時には性少数者たちに暖かい品を出してくれたりもしながら、少少夫婦の訴訟人はもちろん、性少数者人権運動の訴訟人にももれなく参加している。
2014年、行性人の小さな集まりとして始まった親会は2018年、ひとつの厳しい人権団体として独立した。その後、図書〈カミングアウトストーリー〉を出版し、ドキュメンタリー〈君が行く道〉を上映するなど、多方面で依然として旺盛な活動を続けている。
親会の活動が世間の関心を集め、多くの所でラブコールが殺到することが、単に韓国で家族主義が奪われるということだけではないだろう。あなたの家族の問題として始まったが、今は誰よりも(多分、性少数者当事者よりも)性少数者の人権向上のために献身し、貢献しようとする人々、その人らが集まった所がまさに性少数者の親会だからだ。そして何よりも親会には愛があふれている。
少少夫婦の中で、アナグマはそんな親会の姿に魅了され、2015年から行性人の親会担当の活動家として親会で一緒に活動してきて、しばらく前から親会での活動をやめることになった。アナグマの親会活動はここまでだが、親会の活動はこれからも限りないものとなるだろう。今は担当の活動家ではなく仲間の活動家として連帯して共にする瞬間を描いてみる。
(「チャムセサン」5月17日)
The KAKEHASHI
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