ケア労働者たちが痛んだなら休む権利、労組が闘う理由

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キム・ホセア公共運輸労組組織争議部長

 公共運輸労組はソウル市社会サービス院と最初に団体協約を結んだ労組だ。締結日は2020年4月28日である。団体協約は、劣悪な労働環境にあるケア労働者に労働権を保障する貴重なものだった。

 このような状況はソウル市社会サービス院で長く続かなかった。新しい局面を迎えたということだ。オ・セフン・ソウル市長に変わって、ファン・ジョンイルという新しい代表が赴任し、労使関係は破局を迎えた。

新しい代表赴任後の病休使用批判…労使関係の破局

 ファン・ジョンイル代表の赴任後、ソウル市社会サービス院は職員の病休使用を批判する報道資料を出しながら労使関係破局の序幕を知らせた。

 2022年3月16日、使用者側が出した報道資料のタイトルは「ソウル市社会サービス院、少数が独占する病休」だった。少数の専門サービス勤労者が病休を独占しているという内容だった。ファン・ジョンイル代表は報道資料を通じて「病休を使っても60日まで平均賃金の100%が保障されるので道徳的ゆるみが起こったのではないかという疑いがある」と病休使用にケア労働者の賃金と道徳的資質を上げつらって罵倒した。これに加え、「そもそも誤って設計された病休制度と月給制を通じて投与した労働以上の賃金を国民の血税から取るのは不当なこと」だと明らかにした。

 このわずか前の2月10日「安全保健経営方針」宣布式の報道資料で「人間の命と安全より重要な価値はない」、「今日宣布した方針と目標を具体化して職員らの安全意識を鼓舞し、健康な職場に生まれ変わることができるように最善を尽くす」と話したファン代表の病休解釈を引き合わせたいくらいむちゃくちゃな分析だった。

 当時、使用者側が労組に提示する予定だった方案は、①病休を使用する労働者には手当なしで固定給の70%を支給する案と②完全月給制から基本給+成果給制への転換だった。そのどれ一つとして受け入れる価値のない話だった。

使用者側、労組に病休改悪条項差し出し、既存の団体協約には解約通告

 2022年3月25日、使用者側は労組に「付加給与を除く基本給の70%の支給」条項を盛り込んだ更新要求案を出した。病休使用に対する使用者側の立場をすでに十分に認識していたので、労働組合としては同意できない内容だった。

 2022年9月16日、使用者側は「時代性にかなった発展的労使関係の確立のために」という受け入れがたい理由を挙げて団体協約の解約通告を発送してきた。既存団体協約に下された死刑宣告で労使関係も破綻した。

病休条項に同意した他の組合…ファン・ジョンイル代表「過って設定された労働条件が合理的に改善」

 公共運輸労組に対する団体協約解約通告から1カ月にもならない2022年10月6日、使用者側は民主労総のケアサービス労組と団体協約を締結したと報道した。既存の公共運輸労組との団体協約は条項85、附則9を含む計93条項だったが、使用者側はケア労組と大幅に減った61の条項で合意したと明らかにした。

 使用側は報道資料で「目立つ内容」とし、病休と休職時の報酬支給問題を話しながら「今回の協約を通じてすべて70%に調整されたもの」だと明らかにした。後に付け加えた言葉は「労組の立場では事実上勤労条件の後退ともいえる」だった。

 ファン・ジョンイル代表は報道資料を通じて「病休や休職による労働損失については一定部分労働者も負担することが常識的だと思う」とし「後退というよりは過って設定された労働条件が合理的に改善されたと見るのが正しい」として労働条件の後退を合理的な改善だと正当化した。

病休に対する使用者側の認識に同意せずに戦った労組…団体協約なしが過半労組に

 現在、ソウル市社会サービス院は他の労組と病休後退内容が盛られた団体協約まで結んだが、望むものを得られなかった。依然として、公共運輸労組は使用者側の不当な要求を受け入れず、ふんばるのである。闘う理由は簡単だった。病休に対する使用者側の認識に同意できないからだ。使用者側の要求に合意するということは、使用者側の認識に同意することと変わらないからである。

 労働条件の後退を成功させなかったことは、使用者側も認めた。使用者側は2023年5月25日、報道資料を通じて24時間労働と病休有給水準100%から70%の調整に関連して「ソ社院には専門サービス職(療養保護士など)と保育職を対象に3つの労組が存在する。その中の1つの労組と団体協約を締結し、上記の主張と同じ合意を導いた。しかし、この労組の組合員数は27人で、まだ合意していない2つの労組の組合員数244人に比べれば著しく少ない数だ」と明らかにし、このような理由でソ社院規定として適用施行されていないと明らかにした。

 公共運輸労組は今年の3月中旬、団体協約の解約通告によって団体協約が解除されたが、むしろ組合員数は増えた。予算削減と公共ケア中断の推進、団体協約の不在など様々な良くない状況の中でも、ソウル市社会サービス院の労働者たちは労働者のために長い間戦ってきた労働組合を信頼している。保護者、世論、市民社会も中断せずに闘争を続けてきた公共運輸労組と共にしている。ソウル市社会サービス院の闘争の流れを生み出したのは公共運輸労組のケア労働者たちの闘争だった。

 ソウル市社会サービス院には過半労組である公共運輸労組があり、今後も労働条件を後退させることは容易ではないだろう。

多くのソウル市出資出損機関の病休100%保証…ケア労働者は70%の体ではない

 筆者はいくつかのソウル市出資出損機関の病休内容を情報公開で受けた。団体協約に対する病休保障水準について、ソウル市50+財団(100%)、ソウル信用保証財団(100%)、ソウル経済振興院(100%)、ソウル観光財団(100%)、ソウル女性家族財団(100%)、ソウル福祉財団(100%)などが有給病休保障水準に対して100%だと明らかにした。団体協約に有給病休条項がないソウル研究院も有給病休は100%水準を保障していたと明らかにした。

 ソウル市社会サービス院のケア労働者たちも厳然たるソウル市出資出損機関の労働者であり、健康権は大切である。他の出資出損機関の労働者たちとは異なる70%の体ではない。ソウル市社会サービス院が団体協約に早くけりをつけることができる道は一つだ。ケア労働者たちが痛んだなら、休む権利を認め、ファン・ジョンイル代表をはじめ、使用者側の病休に対するこれまでの浅薄な認識について労働組合に十分に謝罪することだ。
(「チャムセサン」7月25日)

昨年9月22日、団結協約解約糾弾の記者会見

昨年5月25日、ソウル市社会サービス院前で行われた記者会見

病休する権利に対する労働者の要求は現場で続いた

朝鮮半島通信

▲朝鮮労働党中央軍事委員会第8期第7回拡大会議が8月9日に行われ、金正恩総書記が会議に参加した。
▲金正恩総書記は8月11〜12日、複数の軍需工場を現地指導した。
▲東京電力福島第1原発の処理水海洋放出に反対する市民団体が、東京電力ホールディングスに対して処理水の放出禁止を求めた訴訟で、釜山地方裁判所は8月17日、原告の訴えを却下した。

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