地域の介護危機を移民労働者に押しつけようとする韓国政府を糾弾する
共同声明
最近、韓国政府が高齢化と人口減少に直面している地域において一定期間介護保護士として働いた移民労働者に永住権を付与する案を推進していることが明らかになった。9月10日のハンギョレ報道によると保健福祉部は、国内大学の保健福祉関連学科を卒業した外国人のうち、求職ビザ(D―10)を保有している人が介護保護士の資格を取得した後、行政安全部が指定した人口減少地域(今年基準89市・郡・区)で介護保護士として働く場合、勤務期間に応じて長期滞在資格を与える案を推進している。保健福祉部はこのため、法務部に「外国人介護保護士確保案」を提出し、ビザ問題などを協議中で、早ければ今年中にこの制度を施行できるものと期待している。
この間、地域の高齢者介護の現実は実際、ほぼ置き去りにされてきた。韓国では65歳以上の高齢人口比率がすでに17%を超え、超高齢社会(20%以上)に突入しており、さらに郡地域82カ所のうち76カ所は超高齢社会に突入した。このため、高齢者の介護と生活支援ニーズが急増しているが、介護保護士の確保は「天の川を渡る」という言葉が出るほど、高齢者の生存権が深刻な危機に陥っている。
しかし、高齢者介護の危機は単に国内の高齢者の数が多く、介護労働者の数が少ないから起こる問題ではない。地域で介護保護士の求人が難しい理由は、丁寧で強度の高い介護労働を要求しながら、経験も認められない最低賃金しか支払われていないからである。実際、2022年に民主労総が発表した「介護労働実態研究報告書」によると、在宅介護保護士の給料は150万ウォン前後、施設介護保護士は200万ウォン台前半の低賃金を受け取っている。しかし、それだけではない。在宅介護保護士は移動時間や交通費を、施設介護保護士は休憩時間を適切に保障されていない。病気になっても休めない、代替勤務者がいる場合にしか休めないという回答も40%に迫るほど、労働強度は深刻だ。このほか、セクハラや言語暴力、身体暴力の経験率も非常に高い。高齢者生活支援士の現実も大差ない。
政府は今回の計画で、劣悪な労働環境の改善なしに「永住権付与」という餌で移民を誘致しようとしている。 しかし、政府が新たに参入する移民介護労働者の労働権をどれだけ保障できるかは未知数だ。もちろん、永住権も一定の資産と収入、資格を求める現在の基準が全面改正されない限り、移民介護保護士は在留資格まで不安定になり、二重三重の差別の中で働かなければならない。
特に、現在も性的暴力をはじめ様々な人権侵害に苦しんでいる介護保護士の現実を考えると、支援できる資源が少ない移民介護保護士の人権がいかに容易に侵害されるかは目に見えている。結局、このような根本的な問題を解決しないまま、永住権という甘い餌を出して移民労働者を利用して地域の高齢者介護危機を解決しようとする保健福祉部の今回の計画は、移民に対する欺瞞に過ぎない。
保健福祉部の今回の計画は、ソウル市が最近「少子化」を理由に強行している「移民労働者導入試験事業」と軌を一にしている。これは介護危機を移民労働者に押しつけようとする目的による、少子化危機を解決するものではない。私たちはすでに、移民・定住女性労働者を分断し、労働権を後退させることを警告してきた。今必要なのは、家事・介護労働者の仕事および職場環境の改善のための政府の努力である。さらに、移民家事労働者には最低賃金の適用を例外化する法案まで国会で審議されようとしている現実において、政府の計画は移民/定住介護労働者に底辺への競争を強いるものである。
政府が真に少子化と介護危機に関心があるのであれば、解体危機にあるソウル市社会サービス院から運営を正常化し、拡大すべきである。そして国がケアにおいて質の高いサービスと労働条件を保障せよ。雇用許可制を廃止し、人権と労働権を保障する制度を実施し、差別禁止法を制定して、移住労働者に対する差別と嫌悪を根絶せよ。家事・介護労働者を正規雇用し、生活賃金を保障せよ。これらが、私たちが望む尊厳ある生活の始まりである。そして、この尊厳ある生活は、移民労働者にも保障されるべきである。
2023年9月15日
移民家事・介護労働者実証事業阻止共同行動
(『社会主義に向けた前進』のHPより)
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