国家的課題は捨てて内部の権力闘争に没頭する保守政党

 朝鮮の金正恩委員長が韓国占領の意図をあらわにし、憲法からも統一を消し去った。
 金委員長は1月15日の朝鮮の最高人民会議の演説で、韓国を「敵対国」「主敵」と規定し、これを憲法に明記した。そして憲法にある「自主、平和、民族大団結」という表現を削除することを明らかにした。
 昨年末に韓国を「敵対的交戦国」と規定したのに続き、朝鮮の法と制度から「民族」「統一」に関連する内容を消すというのである。これは民族間の関係ではなく、国家対国家、それも敵対的な国家間の関係と見なすという昨年末の朝鮮労働党中央委員会第8期第9回全体会議の決定をさらに具体化しているものである。
 それだけでなく金委員長は、韓国に向けて宣戦布告レベルの言葉を吐き出した。金委員長は、「大韓民国という最大の敵国が私たちの最も近い隣国に併存している(中略)物理的衝突による拡大で戦争が勃発する危険性は著しく高まり、危険段階に達している」と主張し、戦争が起きれば大韓民国を完全に占領し、平定して朝鮮民主主義人民共和国に編入すると述べた。
金日成主席の時代から受け継がれてきた「平和統一」という言葉もなくし、武力による統一を示唆したもので、これは南北朝鮮が分断して70年ぶりに転換点を迎えたことを意味する。
 朝鮮半島では戦争の危険性が高まっており、南北関係が根本的に変わる「転換の時代」に入った。南北関係はこれまで、危機が高まっても対話によって関係が改善することが多かった。
 しかし最近は、対話がなくなり危機が日常化している。9・19合意が廃棄され、偶発的な衝突が戦争に発展する可能性がある状況である。このままでは戦争になるのではないか」という不安感が高まっている。
 新年早々、朝鮮半島の情勢はこのような危険状況に陥っているが、総選挙を控えた韓国の政界は内部の権力闘争に没頭している。与党の国民の力は、国会議員の公示権をめぐる内部の権力闘争によって二つに分かれ、野党の共に民主党も総選挙を前に離党が相次いでいる。
 与野党の保守政党において、国家経営のための戦略論争や民生を安定させるための政策に関する議論は見られない。危機に陥った南北関係や、構造的な危機に陥っている経済状況について「知らないふり」をしている。ひとえに、万が一相手政党が総選挙に勝利すればこの国が滅びる、という誹謗中傷を繰り広げているだけである。
 総選挙を控え、公示権を獲得するために自らの党の内部で内部権力闘争を繰り広げ、党が二つに分裂する状況まで演出するありさまである。政界再編の旋風が吹き荒れている。ある国会議員は、内部権力闘争をもっともらしく装って「国の運命が瀬戸際に立っている」と離党の理由を述べている。自分たちのわずかな権力が瀬戸際に立っただけではないであろうか。それらの言動において、安全保障、民生、経済、外交などの国の運命を左右する国家的課題については言及されていない。
 保守両党はいずれも、この国を経営する資格を喪失して久しい。政治闘争の消耗戦ばかりを繰り返す者たちに政治を任せることはできない。新しい酒は新しい釜に入れなければならない。それが国の運命と民衆の生存のための道である。
2024年1月17日

労働党広報室

朝鮮半島通信

▲最高人民会議第14期第10回会議が1月15日に開かれた。会議では金正恩総書記が施政演説を行った。

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