UBC蔚山放送はイ・サンハ・アナウンサーの労働者としての権利を全面的に保障せよ!

ペ・イェジュ(『社会主義に向けた前進』蔚山地域委員会)

 蔚山の民間放送局であるUBC蔚山放送の前で1月18日、フリーランスのアナウンサーのイ・サンハ氏の不当解雇の訴えに対する判決後の復職の際に3年間にわたって行われた会社側の弾圧と横暴を糾弾する記者会見が開かれた。イ・サンハ・アナウンサーが1月15日から1人デモを開始したため急遽決まった日程であったが、蔚山における初めての放送非正規労働者闘争を宣言する場には、当事者労働者と現代自動車非正規労働者支部、民主労総法律院蔚山事務所、労働党蔚山市党、労働者革命党(準)、蔚山非正規労働者センター、社会主義に向けた前進蔚山地域委員会などの同志がそれぞれ参加した。

 UBC蔚山放送は他の放送メディア資本と同様に、アナウンサー、CG、カメラ、音響、作家、記者などすべての放送労働者を、契約書もなくフリーランスや用役、派遣などの非正規雇用によって消耗品のように使い捨ててきた。2015年にアナウンサーとして入社したイ・サンハ氏は、正社員と変わりなく勤務していた。そして2021年4月に突然解雇された。

 行政裁判所も本件を不当解雇と判定した。しかし、UBC蔚山放送社側はその後3年間、暴言はもちろん、他の正規労働者と異なる差別契約書を提示し、番組廃止、業務縮小と賃金削減、編集要員としての不当な転勤など、耐え難い嫌がらせといじめ、横暴を繰り返した。 結局、このままではいけないと決意したイ・サンハ・アナウンサーは、勇気を出して「放送を作る人たちの名前、エンディングクレジット」と共に連帯を呼びかけ、蔚山のいくつかの団体が急遽記者会見を開き、闘争が始まったのである。

 イ・サンハ・アナウンサーは「形だけのフリーランスの時は正社員と同じようにあらゆる放送業務をやらせた。そして労働者として認められたいま、私の居場所はないと言われています」とし、「いまこの瞬間にも、不当な待遇に直面しながらも声を上げることができない労働者がたくさんいます。不当な状況に対して問題提起をすると、むしろ報復を受けることが多いからです。 放送局は正義を語る場所であり、私は声を上げる人です。 だから勇気を出して今回の行動を開始しました」と堂々と述べた。そして、自分の正当な権利保障だけでなく、「だれもが完全な労働者としての権利を認められ、差別なく働けるようになることを切に祈ります」と叫んだ。

 イ・サンハ・アナウンサーの勝訴後、UBC蔚山放送は契約書なしに長期間働かせたフリーランサーのうち10人ほどだけを無期契約職にし、それらの労働条件を改悪した。そして無期契約転換者のうちCG業務をするソン・ミンジョン氏が不当な労働契約を拒否すると、再度弾圧を開始した。UBC蔚山放送は業務縮小と賃金削減などを行い、早朝2時間の労働を指示している。しかし、この労働者も正当な声を上げることに躊躇しなかった。「あまりにも悔しいので、法律的な労働者としての認定を試みました。しかし訴訟を理由に、嫌がらせや報復に直面しました。(中略)イ・サンハ・アナウンサーの問題と私の問題は変わらないと思います。(中略)蔚山放送の問題は現在、全国の放送非正規フリーランスの問題とつながっています。私たちの過去は否定され、そして現在と未来も奪われました。放送非正規フリーランスの権利が完全に保障されるように私も現場で闘います」と声を上げた。

 問題はUBC蔚山放送だけではない。非正規のデパートと呼ばれる放送界の労働権に関する問題は一朝一夕に解決することはできない。労働組合という保護手段を持たないまま訴訟などで抵抗する労働者が増加し、放送会社が「フリーランス」として使ってきたアナウンサー、作家などの放送労働者を正社員として認める判決がここ数年、増加している。放送メディア資本は、「利益」と「権力」のみを求め、裁判所の判決すら認めない。そして正規と非正規労働者間の分裂を助長し、搾取と労働弾圧に熱を上げている。イ・サンハ・アナウンサーとの連帯闘争は、放送メディア資本に立ち向かう非正規労働者との連帯であり、「すべての労働者の労働権保障」を地域労働者の闘争課題として掲げる大切な闘いである。

 マスコミ労組傘下の正規組合は、孤独に闘うイ・サンハ氏の手を握らなかった。しかし、当事者労働者など1月18日の記者会見に参加した人々は、この闘争の重要性に共感した。イ・サンハ氏の闘いは、放送労働者全体の問題、非正規労働者全体の問題とつながっている。これに対して記者会見に参加したグループは今後、支援会の構成を拡大して提案した。1人デモの連帯など、多様な闘争を模索することを決めたのである。UBC蔚山放送は完全な労働者の権利を認めろ!労働弾圧を中止し、放送非正規労働者の労働権を保障せよ! 「形だけのフリーランス」、放送メディア非正規労働者の権利を求める闘争に民主労総がともに立ち上がろう。

【記者会見文】UBC蔚山放送はイ・サンハ・アナウンサーの不当な扱いを撤回し、労働者としての権利を全面的に認めろ!

 イ・サンハ・アナウンサーは2015年に蔚山放送で働き始め、気象キャスター、アナウンサー、ラジオ進行、取材記者、イベント進行などの業務を行い、2021年に解雇された。その間、契約書を一度も書かなかった蔚山放送は、解雇する時も解雇通知書すら渡さなかった。勤務時は従業員のように扱い、解雇する時はフリーランスと言い、すべての権利を否定した。 また、不当解雇救済申請と訴訟を通じて労働者としての権利を認められ、復職したイ・サンハ・アナウンサーに3年目の短時間の労働を強要し、プログラムを廃止し、一度もやったことのない編集業務を命じるなどの不当な人事発令を下した。
 その過程で、イ・サンハ・アナウンサーは会社が広める悪意のある噂と嫌がらせに苦しんでいる。特に本人の同意なしにアナウンサーを編集要員に業務変更したのは、訴訟による報復としか思えない非常に不当な処分であり、正当な権利を主張する労働者に退職を強要するのと変わらない。

 全国の数多くの放送フリーランス非正規労働者が不当解雇後、労働委員会と裁判所から労働者としての権利が認められている。先日も韓国最高裁は、KBSで働いていたフリーランスアナウンサーの労働者としての権利を認め、正社員として採用すべきだとの判決を下した。放送フリーランス労働者たちは権利を認められようと闘っているが、放送会社は経歴を認めなかったり、業務から排除したり、新しい職種をでっち上げて差別するなど、あらゆる手口の脱法行為を行なっている。

 本日の記者会見に参加した「UBC蔚山放送非正規雇用問題解決のための会」は、蔚山放送が一日も早くイ・サンハ・アナウンサーの不当な扱いを撤回し、労働者性を完全に認めることを要求する。イ・サンハ・アナウンサーとの協議を通じて、これまで担当していた業務を引き続き遂行できるように配置し、蔚山放送の通常勤務労働者と同様に週40時間働くことができるように労働時間を保障し、給与も正常に支給すべきである。 また、このような内容を盛り込んだきちんとした労働契約書を締結し、これ以上の被害がないように措置することを求める。
 蔚山放送は、これ以上地域社会を失望させることなく、イ・サンハ・アナウンサー問題をはじめとする非正規雇用問題を先導的に解決していく姿勢を示していかなければならない。私たちは、より広く深い連帯を通じて放送界非正規雇用の実態と現状を明らかにし、より多くの放送フリーランス非正規雇用労働者とともに闘っていく。

2024年1月18日 記者会見参加者一同

(『社会主義に向けた前進』HPより)

朝鮮半島通信

▲金正恩総書記は1月21日、崔泰福・元朝鮮労働党中央委員会書記を弔問した。
▲徴用工として動員されたと主張する韓国人の遺族らが不二越に対し損害賠償を求めた3件の裁判で、韓国の最高裁判所は1月25日、日本企業側の上告を退け、賠償を命じる判決が確定した。
▲1月25日、韓国の与党「国民の力」のペ・ヒョンジン議員が鈍器のようなものを持った男に襲われ、病院に搬送された。

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