資本家両党の権力交代の繰り返しからどのように脱するべきか(下)
キム・ヨハン
青年たちをどの旗の下に立たせるのか?
20世紀後半まで韓国の選挙で最も主要な要素が地域主義であったとすれば、21世紀には地域主義が一段と薄れていることは否定できない。民主党と国民の力が接戦を繰り広げた釜山広域市選挙の結果がそれを示している。現在、地域主義に代わっているのは世代別の政治意識だ。経済成長の果実を体験し、反共イデオロギーを内面化した6~70代以上の高齢層は、強い意志で国民の力を支持する。一方、80年代の民主化闘争など集団的な政治経験を共有する4~50代の中年層は、民主党の主要な支持基盤である。これらの層が、両党の固定支持層の35%をそれぞれ占めている。
一方、経済成長も、民主化闘争の経験もない2~30代の青年層は、現執権勢力を審判するために相手党に投票することに何の抵抗もない。もちろん、2010年代のフェミニズム・リブートを経て集団的な政治意識を形成した女性たちは、引き続き民主党を強く支持している。(それでも、前回の大統領選挙で20代女性の33・8%、30代女性の43・8%は尹錫悦に投票した)。一方、2022年大統領選挙で尹錫悦当選の一番の功労者であった2~30代男性(前回大統領選挙では20代男性の58・7%、30代男性の52・8%が尹錫悦に投票した)が今回の選挙で見せた変化は注目に値する。
2022年大統領選挙における放送3社の出口調査の結果
今回の選挙の出口調査によると、比例代表選挙で20代男性の投票結果は、民主党26・6%、祖国革新党17・9%、国民の力31・5%であった。20代女性の投票結果は、民主党51%、祖国革新党18・5%、国民の力16・7%であった。30代男性の投票結果は、民主党28・8%、祖国革新党23・6%、国民の力29・3%であった。30代女性の投票結果は、民主党38・2%、祖国革新党23・2%、国民の力20・3%であった。
前回の大統領選挙で尹錫悦氏に票を投じたかなりの数が反対側に回った。特に2~30代の青年層が最優先する「公正競争」の原則(これは非人間的な競争に苦しむ青年層が最も歪んだ形で自分の苦痛を表現したもの)を毀損した曺国にも18~23%の支持が送られたことは驚くべきことである。今日の資本主義体制で青年層が経験している痛みの大きさを実感させる。
2024年総選挙、放送3社の出口調査結果
青年層が選挙のたびに見せる急な変化は、今後の韓国の資本主義における恒常的な政治的不安定性を象徴するものである。しかしなぜ、青年層は資本家両党の間でのみ政治的な代案を模索することを余儀なくされているのであろうか。青年層が両党において真の代案を見つけることは不可能である。わたしたちは青年層に対して、競争、嫌悪、差別ではなく、協力、連帯、団結という労働者階級の政治的代案を呼びかけるべきである。
青年層における政治的不安定性の拡大によって、労働者階級の政治の空間が創出される。トロツキーは「すべての革命政党は、上昇する階級の若い世代から最も主要な支持を獲得する。腐敗した政治勢力は、若者を自分の旗の下に結集させる能力を失う。政治の戦線から次々と後退するブルジョア民主主義政党は、青年層を革命やファシズムに引き渡(すしかない」(『裏切られた革命』)と書いた。
実際、青年たちが歴史の表舞台に出ることは、革命の序章を意味していた。1917年10月革命直前に開催されたボルシェビキ第6回党大会(1917年8月6~16日)に出席した171人の代議員のうち、18歳~29歳までの代議員は46%、39歳までの代議員は92%に達する。これらの青年層が党に加入した期間は平均8年3カ月であり、半数に近い79人(46%)が2月革命当時、投獄、亡命、指名手配状態にあったほど鍛えられた闘士だった。
労働者の政治的階級意識はどのように発展するのか?
両党が持つ35%の固定支持層、相手党に対する嫌悪感情は、しばらくの間、韓国の政治を左右する基本変数となるであろう。このような状況で、労働者、特に青年労働者が新たな労働者政治勢力化の主役として登場することを期待するのは容易ではないようである。しかし、いかなる資本家政治勢力も労働者民衆の生活を実質的に改善できないことは明らかである。資産・所得の不平等の深刻化、嫌悪と差別の拡大の中で、労働者階級は真の代案を見つけようとする試みを止めないであろう。
ここで、4~50代の中年層が確固たる民主党支持率を示す理由をもう一度考えてみよう。尹錫悦と間もなく決別しそうな朝鮮日報は、4~50代の中年層を「進歩的中年」と揶揄している (朝鮮日報「享受するものはすべて享受している「進歩的中年」を知っていますか?(2024年3月24日)」)。
考えてみれば朝鮮日報が嘆くのも無理はない。上の世代は戦争の廃墟から経済を再建し、反共イデオロギーを内面化して生きてきたが、肝心の経済成長の恩恵を享受している4~50代は明確な反国家勢力感情を示しているからである。しかし、これは大衆の政治意識がどのように生命力を獲得し、強固になったかを示している。4~50代は1980年代の民主化闘争、1990年代初頭の民主労組闘争と1996~97年のゼネスト、2002年の米軍装甲車キャンドルや盧武鉉大統領の当選、2008年の狂牛病キャンドル、2016~17年の朴槿恵弾劾キャンドルなどを経験してきた世代である。まさに集団的な政治闘争の経験が、確固たる政治意識を生み出している。
労働者階級の独自の政治勢力化に向けた政治的階級意識も、こうした大衆闘争の経験を通じて形成される。労働者たちは、資本に対する闘争を展開する過程で、労働者階級の利益があらゆる種類の資本家政治勢力と区別されることを経験として胸に刻んでいる。
しかし、資本に対する闘争が法と事業場の枠内で官僚的に統制される形式的なストライキの程度にとどまるならば、このような効果は期待できない。資本主義体制内で飼い慣らされた闘争では、民主主義に依存する悪習がさらに強化されるだけである。資本家たちの利益獲得に全面的な打撃を与える労働者階級の真の能力を示す時のみ、労働者階級の政治的階級意識は画期的な発展を遂げることができる。
もちろん、韓国の労働者運動は今も最低賃金引き上げを掲げて「合法的」ストライキができないほどの後進的な法制度に苦しんでいる。事業場の範囲を超えて政治的要求を掲げたストライキや連帯ストライキが違法であることも相変わらずである。資本主義体制の全面的な危機がない限り、労働者階級の上層部門が実際の闘争に乗り出すことを期待するのは難しい。
しかし、これは、今日の社会主義者と労働者闘士が確固たる目標意識のもとでさらに奮闘しなければならないことを意味する。労働組合内部で官僚的統制に反対し、労働者民主主義の原則を徹底的に貫徹すること、狭い組合主義的利益ではなく、階級全体の利益に奉仕する闘争を献身的に組織することが必要である。女性、移民に対する差別に断固として反対し、労働者階級の団結を訴えることも不可欠である。職場の垣根を越えて、最も劣悪な最下層労働者と連帯する実践的気風をつくらなければならない。こうして形成された労働者階級の新たな活力は、真の労働者政治勢力化の熱望を再び呼び起こす。そして労働者政治を広く知らせる政治的空間としての選挙が、社会に定着されるであろう。
(「社会主義に向けた前進」より)
朝鮮半島通信
▲金正恩総書記は4月22日、戦術核による反撃を想定した超大型放射砲の発射訓練を視察した。
▲金正恩総書記は4月25日、国防工業企業で生産された240ミリメートルの多連装ロケット砲の検証射撃試験を視察した。
▲金正恩総書記は4月25日、朝鮮人民革命軍創建92周年に際して金日成軍事総合大学を祝賀訪問した。
▲韓国政府は5月2日、中国やロシア、東南アジアの在外公館5カ所のテロ警戒レベルを引き上げた。
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