気候危機の時代に産油国が何を言っているのか
古い「国策」からの脱却が必要である
尹錫悦大統領が突然、浦項沖の石油埋蔵の可能性を発表した。これに対する相当数の反応は、それ自体は歓迎すべきことだが、発表のタイミングや意図が疑わしいというものだ。
しかし、私たち労働党は、このこと自体が果たして歓迎すべきことなのか、もう一度考えなければならないと思う。
最も大きな問題は、気候危機克服のための「脱炭素」政策に逆行する点である。現在、人類に直面している最も重要な課題は気候危機の解決であり、そのための喫緊の課題は化石エネルギー体制を再生可能エネルギー体制に転換することだ。ところが、尹錫悦大統領は産油国の夢を語り、気候危機解決に対する彼の無知と意志の欠如をまたもや露呈した。
エネルギー転換には相当な時間がかかるので、当面は石油が出れば良いことだと考えるかもしれない。しかし、これも不確実であり、たとえ実際に石油があったとしても、それを採掘するにはやはり10年以上かかるし、採掘に成功しても採掘を続けるだろうから、2050年のカーボンニュートラル実現という国内法にも反する。
現実性もかなり低い。現在発表されているのは、あくまで地質構造分析上、石油がある可能性があるということであり、実際に掘削に入った場合、石油発見の可能性はせいぜい20%、つまり5つのボーリング孔に1つ程度、通常は10%程度である。
さらに、発見された石油に経済性があるかどうかも問題である。大陸棚などとは異なり、深海は掘削や採掘などすべてのコストがはるかに高い。たとえ 石油が発見されたとしても、これまでの投資やコストがかかり、経済性がない場合もある。
どうせ石油探査は、このような失敗の可能性を考慮しても、成功したときの大きな利益を期待して行うものだと反論することもできる。もともと投資とはリスクがあるものであり、ハイリターンを望むならハイリスクを負うべきだと言えるかもしれない。
しかし、今が果たしてそのような投資をすべき時なのだろうか。 今、気候危機、深刻な不況、各種家計負債で多くの人々が苦しんでいる。それなのに、与野党は競って各種税金を減免、猶予を云々しながら、積極的な財政拡大で不況の衝撃を緩和することには消極的だ。公共再生可能エネルギーや鉄道をはじめとする公共交通機関の拡大など、エネルギー転換のための投資も非常に不十分だ。
しかし、労働者民衆のための拡大財政や未来転換のための投資には消極的でありながら、気候危機を悪化させ、せいぜい10~20%の成功確率で、費用がどれほどかかるか、経済性の有無も不確かな石油探査に投資することが果たして妥当なのだろうか。
私たち労働党は、様々な状況を考慮すると、今回の発表はむしろ懸念されることだと考える。気候危機と民生危機が深刻な現在、尹錫悦大統領は産油国という「気候悪党」的思考と古い「国策」的思考から脱却することを望む。
2024年6月4日
労働党広報室
朝鮮半島通信
▲韓国軍は6月11日、朝鮮軍の兵士たちが9日、軍事境界線を越えたため警告射撃を行ったと発表した。
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