大宇造船移住労働者のミャンマークーデター糾弾デモ

かけはし 第2661号 2021年4月12日

国境を越えた連帯を作っていく労働者

社会変革労働者党機関紙委員会

 2月7日、慶南巨済にある大宇造船海洋の社内運動場に、ミャンマー移住労働者数百人が集まった。大宇造船下請け労働者でもあったこれらの人々は1週間前に自国で起こったクーデターに抗議する集会を開いた。作業服を着たまま隊列を備え、指3本を上にあげて(民主化デモの象徴)ギターの伴奏に合わせて民衆歌謡を歌う姿は、YouTubeの動画でも公開された。

 この人々の闘いは、この日一日で終わらなかった。何よりも、(まだ多くのことはできないが)国籍を越えて連帯する大宇造船労働者の動きが出ている。2月20日には、巨済市内で大宇造船売却に反対する宣伝戦が行われたが(現在の大宇造船は数年間の構造調整を経て、現代重工業への売却手続きを進めており、労働者たちは反対闘争を続けてきた)、その場で韓国人―ミャンマー人労働者が一緒に立ってクーデター糾弾の行動を行った。1週間後の2月27日には、間接雇用で働いていて不当解雇された大宇造船の請願労働者の座り込み場で、ミャンマーの民主化デモを支持する集会が開かれ、この場にも、さまざまな国出身の労働者たちが一堂に立った。

 ミャンマー現地で軍部の流血鎮圧によって犠牲者が増える中ゼネスト闘争で抵抗が激化する今、労働者の国際的な連帯がこれまで以上に求められている。移住民でもあり、非正規職という二重の束縛の中で闘争の旗を立てて、国籍を超えた連帯を作っていく大宇造船労働者の闘いが貴重な理由がある。これについて金属労組大宇造船支会副支会長であり、「馬昌(馬山―昌原)・巨済産災追放運動連合」(以下、「馬昌・巨済産追連」)副代表、韓国労働安全保健研究所の会員として移住労働者の闘争を共にしてきたキム・ジョンヨル同志から少しより詳細な話を聞いてみた。

移住労働者であり、下請労働者

キム・ジョンヨル副支会長によると、現在大宇造船で働く移住労働者は600~700人だ。多い時は2千人ほどが雇用されていたが、過去数年間の構造調整などで数が大幅に減少した。このうち、ミャンマー出身の労働者は約300人だ。通常、一度入国すれば、4年10カ月程度滞在するようで、再入国して5年以上働いている人もいる。

 これらの労働者のほとんどは、下請け業者に属する契約である。移住労働者たちは、入国する際に、直接会社を選択するのではなく、労働部を通ってランダムに事業所に割り当てられる。「雇用許可制」のために自分の希望通りに職場を変わることもできない。

 これを利用し、使用者側は韓国人労働者が回避する工程に移住労働者を配置する。造船所では、これらの労働者は、主に塗装やグラインダー(鉄板の表面を滑らかにする作業)を受け持つので、溶接をしてもスペースがあまりにも狭いのでギアを入れて作業するか、手がよく届かなくて鏡に映して働かなければならない劣悪な環境にさらされている。仕事が多い時は一カ月に一度休もうかどうかというくらいであった。名目上の仕事時間が午前8時からではあるが、早く出てきて掃除もしなければならず、後には残業特別勤務まであるので、それこそ星を見ながら出勤して星を見ながら帰宅するのである。

 このように働いても、これら人々の手に入るのは最低賃金水準にとどまっている。仕事をするなかで住民税をはじめ、様々な税金もあるが、戻ってくる恵みはわずかである。さらに、コロナ拡散の中で、移住労働者たちに向かって「ウイルス伝播者」という根拠のない憎悪の視線まで加えられもした。
労働者階級の立場から共に闘おう

 移住労働者と共に闘おうとする試みは、今回が初めてではなかった。一例として、前述した「馬昌・巨済産追連」は、2020年にも「移住民の労働基本権」という冊子を13の言語で発刊して近くの移住労働者を相手に労働権教育を進めるなど、継続的な事業を行った。しかし、組織化はなかなか進まなかった。

 ところが、2月1日のミャンマークーデターが勃発すると、この労働者が自発的に集まり始めた。特に2月7日のように大宇造船社内で移住労働者が大規模な集会を持ったのは初めてのことだった。これらの人々は労組で組織されていたのでははなかったが、ミャンマー出身者だけでなく、ネパールやベトナムなど各地から来た移住労働者たちは、国ごとに集まって代表を選んであれこれ事案を議論する独自のネットワークを持っていたので、それで結集することができた。

 「他の地域とは異なり、ここにいるミャンマー人たちは留学生がほとんどいなく、誰もが労働者だ。現在大宇造船労働者が構造調整と売却などの懸案問題で闘争していたが、クーデター糾弾デモと結合しながら、より多くの、ミャンマー労働者が参加している。お互い闘争の目的は異なるが、同じ労働者として労働者階級の立場で共に闘っていく道を探したい」キム・ジョンヨル副支会長の悩みだ。今後は土曜日に共同宣伝戦を行い、日曜日にクーデター糾弾集会を開催するという案も模索中だ。集会の時に「イムのための行進曲」をミャンマー語と韓国語で一緒に歌うプログラムを企画してもいて、集会後には移住労働者の労働基本権を一緒に勉強する場を設けてみようとも思う。

 このように、移住労働者と一緒に闘う姿を見ながら、現場でも大宇造船自体の構造調整の懸案だけでなく、ミャンマーの状況の深刻性に対する関心も上げることができるだろう。クーデター糾弾集会には、ミャンマー人と韓国人だけでなく、この間移住労働者の学習会に参加してきたネパールやベトナム出身の労働者も共にしている。国籍を超えた労働者の連帯を作っている大宇造船労働者たちの闘いを支持し、この動きがさらに大きく広がることを望む。

(社会変革労働者党「変革と政治」123号)

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