国際主義労働者全国協議会23回総会コミュニケ
かけはし2011.11.14号
世界総体の歴史的転換への道
を探り出さなければならない
国際主義労働者全国協議会は、第二三回総会を一〇月末に開催した。二日間にわたった総会討論は、三人の同志による、A.「破局か、命を守れる社会か」、B.「二一世紀革命への出発」、C.「中国はどこへ行く?」、という標題をもつ三つの導入的提起を下敷きに極めて活発に展開された。
総会討論を導いたものは、世界総体の歴史的転換をかけた闘争とそのための新しい反資本主義左翼構築というわれわれの任務把握を、具体的実践に引きつけてより鋭く研ぎ澄ますことが必要とされている、という問題意識だった。まさにそのようなものの一貫として、提起Aには脱原発の闘いが内包する転換内容について、提起BにはTPPをめぐる対立の構造について、いくつかの論点提起が含められた。また討論を深めるための実践からの素材提供として、村井宮城県知事の復興構想との闘いとして自治体要求を練り上げるための論点整理メモが、当地の同志から提出された。ちなみに、地震・津波被災をあたかも「大資本の成長にとっての好機」と見なすかのような村井構想の反民衆性は、すでに各方面から指摘されている。
討論はこのようにして、東北大震災と東電福島原発の最悪の事故という未曾有の苦難、世界的金融不安の高まりと欧米日に普遍的なその重荷の労働者民衆への押しつけ、そしてその中での労働者民衆の平等と民主主義を求める抵抗運動の世界的な新しい高揚、しかもその高揚が労働者民衆とシステムとの衝突の非和解的性格を以前に増して浮き立たせる形で進展しているという現実を強く意識する中で展開された。
具体的には、TPP、脱原発、中国に関する討論が主な柱となった。
TPPについては、ブロック化だから反対との自由貿易論に立つ観点があることを念頭に、明治維新以来の日本に一貫する成長依存=輸出依存の経済構造からの転換という観点を、破壊が進む社会的再配分システムの再構築の必要性と結び付けて、自由貿易論の対極に意識的に深める必要が共有された。またここには、情報を専有するエリートによる秘密交渉が作り出す国際協定が国家を凌駕するという形で、世界の民衆運動の中で今あらためて焦点化されつつあるグローバル資本主義と民主主義の敵対的関係が典型的に姿を現している点も、重要な闘争対象として強調された。
脱原発をめぐる討論では、まず具体的な運動実践の側面として、除洗の問題と広範化した被曝労働の問題が討論された。いくつかの実践例を土台に、ともすれば分断を招きかねない側面があることを意識しつつ、急ぎやるべきことはやるという観点から幅広い層をつないだ取り組みを追求する必要が指摘された。一方それとは相対的に区別される側面として、脱原発を進める基本的な考え方が論点となった。マルクス主義者は科学・技術それ自体に対する批判的とらえ返しを怠ってきたとする一六回世界大会エコロジー決議の自己批判を再確認した上で、エネルギーシフトよりも使用エネルギー削減の追求に立脚点を置くことが必要、とした提起が討論された。さまざまな観点が率直に交わされる中で、さらに討論を続け、成長神話からの脱却とも結び付け、三・一一以後これまでのあり方に対する疑念が人びとの間に広がっていることに積極的に切り込む内容をもてるよう、先の提起の観点をさらに豊かにすることを確認した。またこの中では、先の村井構想に盛り込まれたエコシティーなどが実は一年前にあったものであることが指摘され、エネルギーシフトと新成長戦略の間に強い親和性があることに注意が喚起された。
中国の今後に関しては特に、内部矛盾だけではなくそれに加え、対外関係のもつ比重を新しい要素として重視する必要があるという観点から多くの討論が交わされた。またその関係では、民族問題の深刻化に内在する論理が周辺諸国との関係にも投影される可能性が懸念点として指摘され、それだけになお一層、中国における民主主義が今後の東アジアを左右する重大な意味をもつことが確認された。
以上のような総会討論が時代の求めるものに追いついていないことははっきりしている。総会はその自覚の上に、直面する実践的要請に率先して対応しつつ、その中で、日本革命的共産主義者同盟の同志たちをはじめとする幅広い人びととの共同として世界の歴史的転換に向けた道の探り出しを進めることを確認した。