国際主義労働者全国協議会第24回総会コミュニケ
かけはし2012年11月26日号
世界的危機下の闘いの探求が求められている
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国際主義労働者全国協議会は、第二四回総会を一〇月下旬に開催した。
今総会は、昨年総会以降の一年で一層の深まりを見せた世界的危機、並びにその危機の中で、ある種世界的普遍性をもってこれまでとは異なる姿と性格で登場し、事態の決定要因としての重みを見せつつある労働者民衆の新しい決起を強く意識して準備された。そこに通底していたものは、支配的上層と労働者民衆の具体的衝突の発展を伴って深まる世界的危機の只中における、そのような歴史的一時代としての特有の条件の中で、勝利を引き寄せることのできる闘いのあり方を新しい光に照らして探ることが求められている、とする問題意識だ。さらに言えば、必要な闘いは、戦後われわれが慣れ親しんできた闘いとはもちろん、ロシア革命から始まる二〇世紀の革命とも相当に異なる可能性がある、との問題意識だ。
より身近に引き寄せても、たとえば労働組合運動にあってさえ、労働者民衆の抵抗の武器であろうとする限り、あるいは民衆世界内部の生きた存在であろうとすれば、危機の時代の労働組合として、そのあり方の刷新が否応なく迫られざるを得ない。反面教師として現実にも連合はこの一年で、原発に対する姿勢を始めとして、民衆のさまざまな要求に敵対する存在としての姿を急速にあらわにしつつある。この連合の姿は、世界の中でももっとも先を行く反動事例だとはいえ、日本にのみ特有の事例ではない。まさにそれ故、世界の新しい民衆決起に刻印された、既存の労働組合運動との半ば意識された断絶は、深まる危機という時代の特性をその底におかない限り、おそらくその克服の手掛かりを与えないだろう。
(2)
二日間にわたった総会討論は、先のような問題意識を背景とした二人の同志によるレジュメ、A.「世界危機の構造と新しい民衆決起の位置―民衆の自己決定か、ブルジョア独裁の再確立か」、B.「大衆運動、労働運動の動き―日本の大衆運動 変化が始まったのか」、を導入口に進められた。
Aは、この一年世界各地に現れた危機の特徴とそこで発展している階級対立の非和解化に向かう基本的趨勢を具体的に確認した上で、危機の相乗的悪化として作用している力学を素描的に探り、特に新しい民衆決起に焦点を当てながらそこで浮上している中心的対決軸を通して、この時代を民衆の未来に向けて突き抜ける力をもった闘いの展開方向について検討点を提起した。そこでは一つの問題として、支配的上層による政治の簒奪と民衆排除の進行を前に、民衆の抵抗が、不服従の拡大、民衆的自己決定要求の高まりとして発展する趨勢と、その結果として民主主義の機能のあり方そのものが俎上に上がっていることを確認した上で、民主主義の問題が一つの重要な検討課題として提起された。そしてこれらの検討点が抽象的あるいは理論上の課題ではもはやなく、ラテンアメリカの「党なき革命」、「アラブの春」、そして現下の欧州の闘いという姿の中に具体的手掛かりが提供され、インターナショナルレベルの先端では同志たちの実践的課題となっていることが指摘された。
Bは、まず日本で新しく発展している脱原発の民衆的決起の展開を具体的に振返った上で、そこにはらまれた積極的な意味を受け止め、共に進みつつその一層の発展をになうことを前提に、維新を押し上げた動きや排外主義を煽る動きとの対抗、また沖縄の闘いとの結合などにどう準備するのかを、検討すべき課題として提起した。さらに、この一年の連合の足取り、そして支配層があらためて労働の全面的な規制解体に乗り出していることを具体的に検証した上で、われわれが歴史的に活動の足場を置いてきた労働組合運動が重大な分岐点にあるという観点から、最初の提起とも重なるものとして、労働戦線の再編にわれわれの側から踏み込む実践が必要となっていると提起した。
(3)
以上の提起に対し討論ではまず、ユーロ危機の性格、金融資本の収奪が現実の課題となっていることの意味、中国で発展する矛盾の性格とそこにおける新たな闘争主体登場の重要性などを中心に、資本主義の危機の進展が検討された。さらにその危機の進展が政治においては、世界的に民主主義を絞め殺す形で問題化している構造が検討され、事実上ブルジョアジーと労働者の共同統治体制として世界的に確立された戦後民主主義を維持する余裕がブルジョアジーになくなっていることとして、ブルジョアジーがその清算へと駆り立てられていること、それ故に、生活破壊への抵抗と民主主義要求が一体化せざるを得ないことが確認された。
また、それらに対応し得る闘いのあり方を労働運動の刷新を一体として追求する観点から、現実にぶつかっている問題を素材とする意見交換の上で、いくつかの具体的提案も行われた。その議論の中では、支配側が仕掛けている中国との「領土」問題が検討され、日本が行った「領有」が帝国主義的簒奪であったという事実の確認とその自己批判を出発点とすべきこと、その上で、「旧に復する」ことの現在的意味を、特に民衆のアジアをめざすという観点から民衆の共同として探求する方向性が確認された。
総会はこれらの討論がほんの入り口であることを確認し、討論を継続し深めるために論点をさらに整理することを運営委員会の任務とした。なお、日本における政治再編、差し迫る総選挙への対応については、労働者民衆の抵抗の拡大を基本任務とした上で、具体的要求を軸とした対応を行うこととした。