国際主義労働者全国協議会第28回総会開催

かけはし2016年11月21日号

安倍打倒への全民衆的結集の中で、
新しい世界への推進力形成めざそう

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 国際主義労働者全国協議会(NCIW)は一〇月下旬、後述する三つの報告を主要な論点として第二八回総会を開催し、特にカオス化を深める世界を前に労働者民衆に突き付けられている根本的なオルタナティブへの挑戦という問題を中心に、昨年に引き続き活発な討論が行われた。
第一報告では、世界の「地政学的カオス」の歴史的な意味とそれを必然化している階級闘争の性格をあらためて整理した上で、ブルジョア支配として概括される現行世界がその歴史的行き詰まりを、さらにブルジョア民主主義革命からの逆行をもあらわにする中、それに代わる世界の創出という、労働者民衆に客観的に要請された必須の闘いについて、世界と日本でさまざまに展開されてきた闘いに沿って現に直面する困難や障害を点検しつつ、その克服を特に意識化した過渡的闘争のあり方を中心にいくつかの論点提起が行われた。
合わせて、上記の観点を下敷きに、日本における安倍打倒をどう引き寄せるかについて、安倍政権が抱える戦略的な脆弱性、およびそれをも根拠とする安倍政権と労働者民衆多数との深い利害対立構造の確認に立って、昨年から今年にかけた日本の闘いを踏まえ、自立した運動を基礎に据えた可能な限り幅広い共同の発展、およびその可視化に力を尽くすことの重要性が提起された。
第二報告では、昨年からの総がかり行動とそれが強制した「野党共闘」に求められている課題について現在共有されている議論が報告され、その中で今後の課題とされている労働者の可視化された運動に関し、特にいわゆる働き方改革に込められた労働規制の全般的解体攻撃への対決を幅広い闘いとして突き出す必要が提起された。
第三報告では、資本主義の危機に際した支配階級の危機克服の歴史的な展開を跡づけた上で、現在の危機が手段を使い尽くした性格をもつ極めて深いものであること、同時にその資本主義の限界が人々の意識にものぼりつつあることを確認し、オルタナティブとしての社会主義をいかに刷新し民衆のものとして再確立するかが急務であると提起され、その中でも特に国有計画経済以外での可能性を考え抜く必要があると強調された。

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 総会ではこの三報告が一体的に議論された。その中ではまず、これらの報告の中に天皇生前退位問題が抜け落ちていることが指摘され、それが日本の政治情勢にもつ意味を軽視すべきでないとしていくつかの意見交換が行われ、支配階級内の矛盾を深める可能性を含め今後の対応をさらに検討することを確認した。
その上で議論は主に、次の社会をめざす過渡的な闘争をどうイメージするかを軸に、働き方改革との対決の問題にも引きつけながら、特に非正規労働者の存在を含めた労働者の生活と労働の変容に対し、次の社会への過渡的道筋を念頭に、さまざまな側面から要求の定め方の再検討に向け議論が行われた。特に、貧困化との闘いに重なるものとして、ベーシックインカム論をも念頭に医療、教育、住宅を中心とした生活インフラの国家による保障を前提とした賃金論など、課題が確認された。
またプロセスの問題についても、この間世界で展開された諸闘争で提起された論点をも参照しつつ、プロレタリア独裁と議会の問題、民主主義の貫徹として進むのかそうでないのかなど、十分に考えられていない問題が残っていることも共有された。
議論では、前述した議論を含めさまざまな角度から問題意識が示されたが、それらが整理される段階にはまだ遠いことも事実だ。総会は、その確認の上で、安倍打倒の全民衆的闘いへの発展に力を尽くしつつ、それらの経験を組み込みつつ先の議論をさらに進めることを結論とした。 (寺中)