NCIW第32回総会コミュニケ

2020年11月20日

第四インターナショナルに結集し、エコ社会主義の
世界を引き寄せる闘いに世界の同志と共に挑戦しよう

国際主義労働者全国協議会(NCIW)

 国際主義労働者全国協議会(NCIW)は一一月半ば第三二回総会をオンラインで開催し、東北、関東、九州から参加した同志が集中した討論を行った。総会に向けては、春先から事務局会議と運営委員会をオンラインで行ってきた経験を踏まえて、事務局による「情勢・任務報告レジュメ」、および一同志による「マルクス主義とエコロジー」を中心とした問題意識に関する文書は事前にメール配信され、当日の討論ではまずこれらの提起が行われた。一方当日参加できなかった他の同志による医療政策・コロナパンデミックに関する問題提起については、何人かの同志間で事前のオンライン討論が行われ、その要旨も報告された。
 討論はこれら三報告を軸に進められたが、まずエコ社会主義的システム転換を引き寄せる世界的過渡的闘争への合流推進を結論とする「情勢・任務レジュメ」に基づく提起では、この報告が今年矢継ぎ早に出された第四インターナショナルビューロー声明の認識を基本的に踏襲しているとして、世界的な危機の凝集を前にした支配階級との総対決への挑戦を明確な課題と設定した。そしてその観点から、強権による新自由主義の急進的強要を露わにする菅政権の打倒からそこへの合流をめざし、特に総体的な社会変革を前面に据えた要求・政策の労働者民衆側からの練り上げ・絞り込みとその対置、への意識的な取り組みが強調された。中でも特に、民主主義の取り戻しと公共サービスの取り戻しが基軸として提起された。
 「マルクス主義とエコロジー」に関する提起では、労働者民衆の要求を支える理論の問題にもあらためて光を与える必要が指摘され、特に斎藤幸平さんに代表される若手の論者によるマルクス主義の押し出しを前向きに受け止めること、特に斎藤さんの主張は、内容的に第四インターナショナル一七回世界大会決議と共有するものが多く(同大会討論でも「成長」の立場には立たないことが確認されている)、まず共感をもって受け止め建設的な討論の前進をめざす必要がある、と提起された。
 医療に関する事前討論報告では、キューバの事例や無医村問題と予防医療に取り組んだ岩手県の経験を素材に討論が行われ、北欧型とは異なる医療政策の可能性も念頭に、医療分野の過渡的要求に向けて、民医連とはその要求を学びつつ共闘も探るべき、と内容が提起された。
 討論の一つの主軸は要求の柱の明確化となった。拡大し劣悪化する非正規労働者の声を社会運動としてどう表現できるかが決定的、と現場の実態を踏まえた強調があり、労働運動としても総花要求を脱し、全国一律最賃に絞り込んだ運動形成に挑戦することで新たな道を開くことの追求、が確認された。また公共サービスの取り戻しは公的雇用の抜本的増強要求と一体であり、今後確実な雇用危機に対置する要求としても重要な意味があること、さらにエネルギー転換要求でも柱になることが確認された。
 もう一つの軸は闘いを推進する主体の問題だった。旧来的労働運動の陥没は明らかであり、現にある社会運動の多くはいわばそれをはじめから当てにせずに進展している。それは世界的にも共通する趨勢であり、多様な主体の水平的連結を土台とする決起による権力との対峙が、同時に資本主義が壊しつつある社会的連帯をも再形成しつつ、新たな社会を模索している。これらの水平的関係を重視する社会運動を率先して組織することがわれわれにとっての前提的課題だとしても、その中で、現在の危機を突破する内容で運動を牽引する主体が必要であり、それは誰か、という問題は依然残されている。それは、第四インターナショナル総体の中でも労働者階級の再把握と結びついた核心的な論題になっている。今回の総会では、それらを確認しつつさまざまに議論が交わされた。しかしまだまだ明確化の段階にはいたらず、今後の課題として議論継続が確認された。
 その他にも迫る総選挙、脱原発、社民党分裂や連合の動向等に関し、若干の討論が行われた。
 これらの討論の上で、今回の総会の位置を、世界的に危機が凝縮する中での総会であったこと、またわれわれが「第四インターナショナル日本協議会」として支部承認を受けた後の初めての総会として確認し、第四インターナショナルに結集し、エコ社会主義をめざすシステム転換の闘いに世界の同志たちと共に挑戦すること、を総会の結論とした。