「令和の百姓一揆」
食える農業を
3.30 全国から3200人の大結集
【東京】3月30日午後2時から、東京・青山公園で「令和の百姓一揆」トラクター行進が同実行委によって行われ、全国から3200人が参加した。会場の別の場所にトラクター30台が待機し、会場には全国各県の旗がなびいていた。今回の行動は全国14カ所で同時開催された。
(呼びかけ文より)
日本の農業の方々は、安全でおいしい国産の農産物をつくるために日々土を耕し、家畜を養い、自然と向き合い、農業を営んでいます。農業生産を通じて地域の環境を守り、生態系を維持することにも努めてきました。
しかし現在、異常気象による災害、担い手不足、農業経営の赤字などにより農家人口は年々減少し、食料自給率も73%(1965年)から38%(2023年)と低迷しています。
タネの海外依存度を考慮した実質食料自給率は2035年に11%になると言われています。かろうじて農家も「時給10円」程度で頑張ってきましたが、この窮状を多くの方に知っていただき、生産者と消費者の声を農政に届けて行きたいと考えています。
農業と食、次世代の子どもたちの健康を守るために、一緒に立ち上がりましょう。
個性豊かなトラクターが全国から
最初に、茨城県、広島県尾道市因島からきた女性、千葉県の成田、長崎県五島列島、山梨県北斗市、埼玉県川越市、神奈川県三浦市、秦野市などから集まったトラクター運転手が一言ずつ発言した。
「日本の食の未来は私たちがつくる」、「日本の首都東京でやることに意義がある」、「トラクター2台で来ている。水田を乾田化させてはいけない。若い者をいっしょに育てる。今日はスタートだ」、「楽しい農家を見せたいためにきた」、「採算の合う農家を全国に増やしたい」、「食と農の大切さを知ってもらう。社会構造を変えていこう」、「百姓は楽しく、みんなでやりたい」など。
ほら貝で開会。
千葉県千葉市からやってきた金谷牧場の金谷さんがドライバーを代表して「個性豊かなトラクターが集まった。日本の食と農を守ろうとぜひ伝えていきたい。消費者の方がなんでこんなことをするのか興味を持っていただきたい」と開会のあいさつをした。
農業を滅ぼす政治の転換を
代表・菅野良英さんがあいさつ。
「私は山形で百姓をしている。これでも若手のホープだ。日本の農業は本当に大変な局面を迎えている。崩壊局面に入ってきた。日本の村から農民が消え、作物が消え、そして村自体が消えようとしている。このことを多くの国民は知らない。間違いなく農業が変わろうとしている。滅びゆく農業と言ってもいい。それを何とかしなくてはならない」。
「百姓は畑や田んぼだけを残して農業をやめて別の職業につけばいい。それだけのことだ。しかし、困るのは消費者の方だ。だからこそ、まだ農民が残っているあいだに、農民と皆さんが共同で力を合わせながら、日本の農業を滅ぼす政治を変えていかなければならない。そのための第一歩だということを確認したい」。
「墓じまいと言う言葉を知っていますか。農村では農じまいという言葉が言われている。こんなことを農家に言わせてはならない。今残っている農民を守りながら、消費者・市民と連携して、食と農と命を大事にする日本に変えていかなければならない」。
「その上で、われわれが作り出そうとするのは対決軸では解決できない問題だ。政治信条の枠組みを超えて、大きな連携を作り出す必要がある」。
「われわれ世代の役割は未来世代としっかり繋がりながら、果たさなければならない課題だ。われわれだけが食えればよいということではなくて、未来世代に可能性をしっかり残していく。そういう運動としてやっていかなければならない課題だ。たおやかに、柔らかく喜びをもって、おおらかな伸びやかな運動を作っていこう」。
次に各地から農家の窮状を訴え、闘うメッセージが読み上げられた。そして参加した国会議員が登壇し連帯のあいさつを行った。
農業者個別所得補償制度を
民主党政権時代の農水相だった山田正彦さんが「欧州では農家収入の8割、アメリカでは4割が国から補償されている。日本ではそれがない。かつて民主党政権下で、農業者個別所得補償を実現 。その年、17%農家の所得が上がった。日本も欧米並みの所得補償が必要だ。みんなで所得補償を実現させよう」と訴えた。
集会の最後の方で、何と公園隣の米軍ヘリポートに、米軍の軍用ヘリ3機が集会場の真上を通り降り立ち、飛び立った。軍用ヘリを間近に見たのは初めてだったので、戦争の武器としての軍用ヘリの不気味さを実感し、沖縄で反対運動をしている人々の感覚を実感した。こんな都会のど真ん中にヘリポートはいらない。
デモはトラクターが最初に出発し、その後代々木公園までデモが行われた。デモでは次のようなスローガンがコールされた。
「欧米並みの所得の補償を」「農家を守れ」「国産守れ」「未来の子どもに国産残そう」「時給10円でコメ作って限界超えてる、農家を守ろう」「今動かなくちゃ、農業守れない」「みんな立ち上がれ、今が正念場」。
注目される「百姓一揆」の取り組み
時あたかも、コメの値段が昨年の2倍になり、大きな問題となっている時だけに、百姓たちの訴えに関心が集まった。地方紙も含めて様々なメディアが今回の行動を大きく取り上げた。農業の抱える問題の一端が明らかにされた。農業の切り捨てで、工業の発展に特化してきた戦後自民党農政の転換が真に求められている。 (M)

「生産者と消費者の声を農政に届けよう」とトラクター行進(3.30)
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