1.12馬毛島基地着工反対・大阪の会緊急行動

馬毛島を対中戦略の軍事要塞にするな

 1月12日、防衛省は種子島島民の基地建設反対の声を無視して、馬毛島基地の建設に着手した。「南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会」は1月14日(土)午後、南海難波駅頭で馬毛島基地建設反対緊急行動を行った。

馬毛島基地の全容

 馬毛島は種子島の西之表市に所属し、同市の沖合12キロメートルにある面積8平方キロの島で、現在は無人島になっている。日米両政府はこの小さな島を日米共用の一大軍事拠点にすべく、この間協議を進めてきた。
 2011年には空母離着陸訓練施設(FCLP)の移転先として馬毛島を検討対象とすることを、日米2プラス2(日米安全保障協議委員会、日=外務相、防衛相、米=国務長官、国防長官)の共同文書に明記。22年1月には日米の2プラス2のテレビ会合で馬毛島を軍事基地にすることを正式に決定したことを確認し、日本は22年度中の早期整備開始に努力すると表明した。
 こうした経緯から判断すると、馬毛島の軍事基地化は南西諸島の防衛でも、日本防衛のためでもなく、米国の対中国戦略上の要請であることが見て取れる。
 馬毛島は当初、硫黄島で行われている米軍空母艦載機の発着訓練(FCLP)の代替地とされてきた。しかし、20年8月に発表された整備計画によると、2450メートルと横風用の1830メートルの滑走路、武器弾薬庫、艦艇の係留施設、F35B模擬艦艇発着艦訓練施設等が設置されることになっており、全島軍事要塞の様相を呈している(図参照)。
 水陸両用訓練、強襲上陸・離島奪還作戦やオスプレイ、迎撃ミサイルPAC3の機動展開訓練も想定されているようである。米空母艦載機の訓練だけでなく、空母化された護衛艦「いずも」の艦載機の訓練も行われることになるだろし、言うまでもなく、西は米軍岩国基地から九州各地の空自の基地、米軍普天間基地、空自那覇基地から軍用機が飛来することになる。

住民無視の工事着工
 20億円の土地を160億円で買収


 日米の訓練は午前3時にも行い、年間150日とされている。そのうち戦闘機による訓練は年間約3万回という。騒音被害を憂慮する住民の心配は当然だろう。
 「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」の長野広美さんによれば、「防衛省は地元にたいして丁寧な説明を行うとしてきたが、一度も事前協議は無く、事後報告のみである」と怒る。そして、昨年行われたデモフライトも「真夜中3時まで計画されているFCLPとはかけ離れたもので、種子島の住民から多くの不満が寄せられている」(南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会・会報5号より引用)と述べている。デモフライトではタッチアンドゴー(離着陸)は行わず、上空飛行のみだった。
 また、同会のパンフレットによれば、馬毛島の土地の97パーセントを所有し、島を森林法に違反して乱開発してきた企業から、その違法性を不問にしたまま、評価額20億円の土地(2011年当時の防衛大臣・北澤俊美氏の証言)を160億円で購入したのだという。
 馬毛島の基地建設は地元住民を文字通り二分した。南日本新聞の22年4月の鹿児島県民に対する世論調査では、計画反対が48パーセント、賛成が46パーセント。21年の西之表市の市長戦では、基地計画に同意しないことを表明していた矢板氏が当選していた。市議会は反対派7人、賛成派7人の同数である。
 しかし、矢板市長は態度を一変、22年9月には自衛隊員の宿舎として私有地を売却、また基地建設の最大の障害物であった馬毛島内の市道の認定の廃止、12月16日には米軍再編交付金の受け取りのための条例を議会に提案した。7対7の議会は議長が反対派だったため、いずれも7対6で可決した。
 岸田政権は昨年12月16日「敵基地攻撃能力」を明記した安保関連3文書を決定し、23年度から5年間の防衛費を現行計画の1・5倍の43兆円とするとした。
 この計画の主眼は対中国のミサイル部隊の増強にあり、その中心である南西諸島のミサイル部隊は現在の4部隊から11部隊と3倍に、与那国島にもミサイル基地が建設される。また南西諸島には中国本土に到達するミサイルが配備されることになる。
 これらの計画は南西諸島を火の海にする計画に他ならない。ミサイル基地を基軸にした南西諸島、琉球弧の軍事増強に反対し、同地域を非武装地帯とするための戦いは、護憲派、反戦派の喫緊の課題である。
         (山三)

馬毛島に基地をつくるなとアピール(1.12)

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