沖縄知事選 伊波候補一歩及ばず、日米合意撤回へ運動再組織化を

 十一月二十八日投票された沖縄知事選は、最終的に現仲井真弘多知事の再選で決着した。普天間米軍基地の県内たらい回し・辺野古移設をきっぱり拒否し、あいまいさを残すことなく県外移設のための日米合意見直しを掲げた伊波洋一候補は、沖縄社会大衆党、日本共産党、社民党、国民新党などの支持に加え、広範な民衆的支援を結集しつつ、仲井真現知事の再選への期待を隠すこともなかった菅政権や民主党中央を始めとする、日米の諸々の支配勢力総掛かりによる沖縄への米軍基地押しつけの歴史を決定的に転換させるべく闘い抜いた。しかし、現職の高い知名度に加え、自民党沖縄県連、公明党、みんなの党の支持を固め、その上普天間基地の県外移設・日米合意見直しをも公言し、辺野古移設に反対する県民要求との衝突を回避した仲井真候補を、あと一歩追い抜くことができなかった。
 結果は以下の通りとなった。
仲井真弘多
   335,708票
伊波洋一
   297,082票
投票率 60・88%

 事前の関心は極めて高かったが、実際の投票率は前回を4%弱下回った。県民に困難な選択を一方的に強いた中央政治そして本土に対する、ある種の抗議を見るべきだろう。
 菅政権はこの結果を足掛かりに、早速あらゆる手段を動員し沖縄県政に圧力を加えることで、日米合意の強行に進もうとしている。しかし沖縄の人びとはそれを許さないだろう。
 伊波、仲井真両候補に投じられた票は、いずれにしても日米合意の拒絶を意味していることに変わりはない。仲井真候補の日米合意見直しにたとえ政略が含まれているとしても、それが沖縄の人びとの意志が本物であるがゆえに強制された政略であることを忘れてはならない。もちろん辺野古移設を拒否する名護市民の意志はすでに明確になっている。同時に行われた宜野湾市長選では、伊波市政継承を訴えた安里猛候補が、厚い保守基盤を背景に保守市政奪還を訴え立候補し、優勢とされていた元衆院議員をかわした。沖縄県民の本当の思いはこの結果にも自ずから示されている。
 こうして沖縄でこれから始まる第二幕の闘いは、問題を改めて全国に突き付ける。日米安保固執派による沖縄の圧倒的な民意の踏みにじりを許さず、日米合意の撤回と普天間米軍基地の撤去を全国の声へと高める闘いがより一層強く求められている。その闘いは、同時に日本の民衆総体にとっては、自らの権利の踏みにじりを許さない闘いにつながっている。(寺中)

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