福島 原発汚染水の海洋投棄やめろ!

漁民・県民の怒りがつのる
閣議決定をただちに撤回しろ
これ以上 海を汚してはならない

 福島第一原発事故から10年、4月13日に開かれた菅政権の関係閣僚会議で、放射能汚染水を海洋投棄することを決定した。海を汚し、住民の健康・生命に深刻な被害をもたらす閣議決定に被害を受けた漁民・住民の怒りの声が高まっている。原発開発を維持するための非道な決定を撤回せよ!(編集部)

 【いわき】漁民の「汚染水反対!の意思は覆らなかった」「当然反対の意思は変わらない」。4月18日いわき市椿山荘ホテルで開催された「廃炉・汚染水・処理水対策会議」における県漁連野崎会長の発言である。国は漁民を初めとする「汚染水海洋投棄反対」の声に攻撃をかけた、しかし未だ漁民の意思は堅固であり、海洋投棄反対の姿勢は堅持されている。
 国の「4月13日福島第一原発汚染水放流決定」の報せを受けて、4月10日郡山駅頭スタンディング(原発汚染水の海洋放出に反対する会・戦争させない・9条壊すな福島県中の会)を皮切りに13日までの4日間の連続抗議行動が福島県内の市民グループにより、実行された。
 しかし政府は、3現業(農・林・漁業)を始めとする県民の反対の声に耳を貸さず汚染水の放流を、関係閣僚会議で決定した。そして県知事は15日県民の反対の声を無視し国の決定を容易く受け入れた。
 しかし漁業者は反対の意思を変えず、4月13日県庁前抗議行動にたちあがった市民グループは、汚染水の放流が決定されようと、あきらめることなくこれを覆す行動を準備する決意を次々と表明した。

ウソをつくな
命を守れ!

 11日いわきでは「これ以上海を汚すな市民会議」により「ふるさとの海を守れ漁業・子供たちを守れ緊急スタンディング」が「小名浜アクアマリン」前に30人以上が参加して実行された。武藤類子さんの司会により、「これ以上海を汚すな市民会議」の共同代表佐藤和良さん・織田千代さんに続き南相馬から参加した方や市民が発言した。
 冒頭発言に立った佐藤和良さんは「決定は関係閣僚会議、東電は国の命令と、責任の所在が不明瞭で無責任。そして暴挙・愚挙である。事故は続いており、避難も続いている。漁業者の原発事故以来の漁業再開への努力は台無しにされる。汚染水垂れ流しは40年以上続くことになり、苦難は継続する。漁業者・加工業者等地域経済が破壊され県民は再び被害を受けることになる」と決定を糾弾し、「容認できない。力を併せて撤回させよう」と結んだ。
 織田千代さんは「事故後続いていた不安に、謎のコンテナ発見等新たな不安が加わった」福島第一原発はアンダーコントロールではない、等と発言した。

漁民を孤立さ
せてはならぬ

 4月13日には県知事への、要請及び県庁前スタンディングが行われた。要請は国の汚染水放流を県民の意思(3現業〈農・林・水産〉及び県民の意向を示す各議会決議〈反対26慎重16〉)に基づき拒否することを求めている。
 また、原発事故による被害の回復レベルは未だ低調特に漁業(前比86%減)は深刻。政府方針(復興・廃炉両立)は復興を犠牲にした廃炉で本末転倒。実現不透明な廃炉が人質。政府方針(放出計画―年間総量22兆Bq濃度1500Bq/ℓ)では今後の汚染水発生量を除外しても今後40年以上汚染水垂れ流しが継続。等を理由として、県に対して以下の5項目の要求をした。
 スタンディングには50余名が参加し、経済産業大臣へ抗議すべく(汚染水放流決定後県へ協力依頼に来ることが知らされていた)経済産業大臣の来訪を待機していた。しかし大臣は県民の抗議の声による出迎えを避け裏口から県庁へ入った。抗議行動は空振りに終わり、15日経済産業省を訪れた県知事の国への発言は「風評対策」のみであり反対の意思表明はなかった。
 しかし漁民及び「これ以上海を汚すな市民会議」等市民グループは汚染水海洋投棄を止めさせることを諦めてはいない。汚染水放流は核分裂生成物の海洋投棄である。政府・東京電力の汚染水浄化方針は、汚染水からの核物質の放出基準値以下の除去及び希釈である。漁民は反対の姿勢を堅持している。漁民を孤立させてはならない。海洋投棄反対の声をさらに深く広く拡大させることが求められている。(浜西)

福島県知事 内堀雅雄 様  2021年 4月 13日

政府によるタンク貯蔵汚染水を海洋放出する
基本方針の拙速な決定を拒否してください

これ以上海を汚すな!市民会議 共同代表 :織田千代・佐藤和良 福島県内外メンバー一同 2021年 4月 13日

 政府は関係閣僚会議において東京電力福島第一原発事故により発生した汚染水を多核種除去設備等で処理してタンク貯蔵保管されている多核種除去設備等処理水 (以下、「タンク貯蔵汚染水」という)の処分方法として「海洋放出を選択する」とする基本方針を決定しました。
 一方で、被害者である福島県民の世論としては、あらゆる世論調査において、海洋放出に反対および慎重な対応を求める意見が明確に多数を占めています。
  環境放出する方針については、県内 26市町村議会が「反対」の意見書、16市町村議会が「慎重な対応を求める」意見書を可決しています。3町議会は「早期決定を求める」意見書を可決していますが、タンク貯蔵汚染水の環境放出そのものを求めるような意見書を可決している議会は存在しません。
 また、我が県の漁業の水揚げ量は、震災前に比べて約 82・5%減 と被災 3県のうちでも庄倒的に低い状況にあります。福島県漁連も海洋放出に反対の意見を明確にしています。2020年に資源エネルギー庁が開催した際「意見を伺う場」においても、福島第一原発事故によって極めて深刻な打撃を受けた、農・林・水産業およびその関連産業の代表者は、皆、海洋放出に反対の意見を述べました。
 これらを鑑みても、県民の世論が、拙速なタンク貯蔵汚染水の海洋放出を容認できないことは明白です。政府は復興の基本方針について「復興と廃炉の両立」を謳つていますが、本決定は、復興を犠牲にした廃炉と断じざるを得ません。実現の道筋も不明確な廃炉を人質に取る形で、私たちの生活に直結する復興を阻害するという、本末転倒な決定です。
 政府の基本方針は、放出するトリチウムについて、年間の総量を22兆べクレル、濃度を1500Bq/Lとしています。これでは、今後の増加分を考慮せず現在タンクに保管されてる量だけでも、40年以上の期間にわたって、1ワットたりとも発電もせず我が県に恩恵をもたらすことのない施設から、意図的な放出が続くことになります。
 地方自治法によれば、地方公共団体は、地域における行政を自主的かつ自立 的に担うものとされています。 タンク貯蔵汚染水を海洋放出するということであれば、これは住民の福祉に対して甚大な被害を及ぼすものであり、極めて住民の身近な行政上の問題です。たとえ政府が基本方針を決定し、東京電力がそれに従おうとも、自主性及び自立性を発揮して、住民の福祉の増進のために、これを拒否するのが我が県の責務です。
 以上の理由から、内堀雅雄知事において、タンク貯蔵汚染水の海洋放出の基本方針を決定した政府、及び実施主体である東京電力に対し、以下について求めるよう要請いたします。
一、 本日関係閣僚会議において決定された、「海洋放出を選択する」とする基本方針を、県として拒否すること。
二、 タンク貯蔵汚染水の処理について、国際関係に配慮するとともに、国会での議論や国民的な公聴会の開催などにより国民的合意の形成を図るよう政府に求めること。
三、 東京電力に対し、「漁業者、国民の理解を得られない海洋放出は絶対に行わない事」 の約束の堅持を求め、これが果たされない場合、サブドレン等の排水を合めた、廃炉や放射性廃棄物処理・処分に関する政府、東京電力の事業のうち、福島県民に不利益をもたらす可能性のあるあらゆる事業の即刻停止を求めること。
四、 環境放出に拘らず、タンク貯蔵汚染水の大型タンクでの長期保管や、半地下モルタル固化保管等の詳細な検討を政府と東京電力に求めること。
五、 タンク貯蔵汚染水の保管用タンクの敷地について、福島第一原発敷地内を前提としつつも、福島第一原発敷地の内外、県の内外を問わず、安定して保管継続を行うことができる敷地の確保を、政府及び東京電力に求めること。
以上
連絡先 :いわき市常磐下湯長谷町道下 53―2 TEL 0246―58―5570
注記
2021年 3月2日に公表されたNHKの世論調査によれば、福島県内は、海洋放出に「賛成」「 どちら かといえば賛成」が 24%に 対 し、「反対」「どちらかといえば反対」は46%と なっている。こうした傾向は調査各社に大幅な違いはない。当会調べによる。

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