戦争法は憲法の破壊だ!

大阪高裁で戦争法違憲訴訟判決
憲法判断を回避するな
司法は自らの役割を果たせ

 【大阪】「戦争法」違憲訴訟(大阪)の控訴審判決が、4月16日大阪高裁であった。大阪の「戦争法」違憲訴訟は、2016年6月8日713人の原告団で大阪地裁に提訴(後日原告1010人)、20年1月28日地裁判決(不当判決、損害については受忍限度論、憲法判断なし)、20年8月5日控訴審第1回口頭弁論、12月22日第3回口頭弁論で控訴審結審。そして、高裁判決を迎えた。
 午後1時15分から傍聴券を求めて100人近い人が並んだが、コロナ対策のため傍聴券を手にできたのは36人のみ。午後2時に開廷。最初の2分間は報道の撮影。動きが止まっている法廷内を撮影することに何か意味があるのかなと思いながら、ふと気づいたことは、裁判長の両側に座っている陪席判事が左右とも女性だということ。確か、以前は男女一人ずつだったはず。ひょっとしたら、少しぐらいは評価できる判決が出てくるのではないかと想像してみたが、結果はひどいものだった。

違憲か合憲か
には触れない


 山田陽三裁判長が、今から判決を言い渡すと宣言し、自衛隊派遣差し止めの行政訴訟(南スーダン国連PKOへの自衛隊派遣部隊のほとんどは帰国しているが、一部の司令部要員が数名残留して任務に就いている)と、平和的生存権・人格権・憲法制定権等の侵害に対する国家賠償訴訟のいずれも、請求棄却、裁判費用は原告持ちと述べそれで終わり。控訴側は、「戦争法」による損害を主張しているのだから、損害の軽重を判断する前に、「戦争法」についての憲法判断が不可欠だとの主張をしたが、それについて裁判所は答えなかった。
 地裁判決の時は裁判長が長々と判決理由を述べたけれども、今回は全く冷たくて事務的な態度なのであきれていたら、原告の一人が立ち上がり、憲法第9条の条文を大きな声で朗々と述べて抗議した。傍聴席からも抗議の声が上がった。扉の後ろに姿を消そうとしていた裁判長と陪席判事は中に入るのを止めて、後ろの方に向き直り、しばらく抗議を聴くという珍しい状況が現出した。

政権に追随し
身の安全図る


 違憲訴訟は、全国22地域の裁判所で25件の裁判として闘われている。地裁判決は11件ほど出ているが、すべて憲法判断はなく判で押したような内容だ。高裁判決が出ているのは2件のみ。トップは福岡高裁那覇支部、2番目が大阪高裁。いずれも憲法判断はない。大阪訴訟では、判決後の報告集会で長い論議の末、これから判決を迎える他地域の訴訟を規制してしまわないように、また他地域の判決に期待する思いを込めて、上告しないことにした。現在上告している沖縄訴訟団も、同じ理由で上告を取り下げることになるだろうと言われている。
 思えば2015年9月19日、10本の改正法を一つに束ねたものと、1本の新規法律の総称「安保法制法」は国会の強行採決により成立し翌年の3月29日に施行されたが、この法律の国会通過を阻止すべく展開された運動は1960年安保闘争以来の全国的な闘いだった。国会の野党勢力と市民やシールズの若者たちとの共闘で、何日にもわたり波状的に国会前を埋め尽くした市民の波は歴史のページに刻印された。日本の憲法学者のほとんどが集団的自衛権は違憲だと表明し、多くの学者の反対声明が発表された。集団的自衛権行使容認のもとに成立した安保法制は、以後急速に自衛隊の一層の武装化と日米軍事一体化を推し進めることになった。南西諸島で現在起きている事態を見れば一目瞭然だ。まさに、安保法制法は戦争できる国づくりの法律だ。ところが、この法律に対する評価を未だに保留しているものがいる・それが司法だ。情けないではないか。せめて日本の政権が戦後一貫してとってきた政策、つまり【集団的自衛権の行使は違憲】の立場にまで国の進路を戻すこと。憲法の規定(第81条・法令審査権)に基づいてそれを実行することが司法の役割であるはずだ。  
        (T・T)

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