入管法改悪をやめさせよう
移住労働者の権利を守れ
外国人労働者は私たちの仲間だ
「不法残留」と
いう決めつけ

法務省出入在留管理庁の文書では、「不法在留外国人」追放のための法改悪の理由について次のように述べている。
「近年、日本に入国・在留する外国人の数の増加に伴い、許可された在留期間を越えて不法に滞在している外国人(不法残留者)の数は増加に転じています。そのような外国人は令和2年7月1日現在で8万人余りいます。当庁はこのような外国人を退去させるためにその摘発に務めています」。「摘発された外国人の多くは、国外に退去していますが中には国外への退去が確定したにもかかわらず退去を拒む人(送還忌避者)もいます。そのような外国人は令和2年12月末時点(速報値)で3000人余り存在しています」。「多くの外国人を日本社会で適正に受け入れていくためにも、このような送還忌避者の数をゼロに近づけていくことが必要です」。
「不法在留外国人」=「犯罪者」という一方的決めつけによって在留外国人を線引きし、在留外国人が自らの民主主義的権利を求めることを拒否し、「従順でもの言わぬ労働力」に仕立て上げようとする意図が、この動向の中でも明らかになっている。
外国人労働者と日本人労働者が平等の権利を勝ち取り、ともに団結・連帯して闘うことが「コロナ危機」の中で今こそ求められている。
「排除」前面に
差別と弾圧
4月16日、午後1時から衆院第2議員会館前で「入管法改悪反対 移住労働者と連帯する全国ネット」の呼びかけで「入管法改悪に反対する緊急アクション」が開催された。この行動にはアジアからの移住労働者をはじめとする外国人労働者を中心に40人近くの人びとが参加した。
最初に「移住連」の鳥井一平さんが主催者を代表してあいさつ。「アジア諸国などからの移住労働者の排除の繰り返しを通じて、社会全体が歪められている。移民・難民の暮らしと社会の進歩は密接な関係にある。人びとが移動し自由闊達に生きていくことが問われている。こんな乱暴な法律を生み出す社会はごめんだ。反対しよう」と簡潔に力づよくアピール。
同じく移住連の山岸さんは、「これから始まる国会審議に向けて法案に反対する行動をつくりだそう。長期収容問題を解決するどころか排除と強制送還を頻発させる内容だ」と批判した。「入管法改悪で排除の繰り返しが進めば、社会全体がそうした方向に流れていく。移民、難民の暮らしと社会の進歩が深く関わっている。人びとが移動し、自由闊達に生きていくことが問われている」と山岸さんは訴えた。さらに「私たちはこの法案の廃案を強く求める。国連から批判されている難民認定制度をそのままにこうした法案を作ることは許されない」と強調した。
全労協の仲間からは「労働者に不利な雇用形態を強制した上で、無理やり解雇を頻発させる」との批判が提起された。さらに技能実習生のベトナム人が機械に巻き込まれて死んだ事故を取り上げながら、「労働組合員が外国人労働者の災害にあまり関心をもっていない。こうしたことを変えることが必要だ」との意見も提起された。
日本社会こそ
問われるべき
共産党の藤野保史参院議員の激励あいさつの後、移住連の会員で医師の方からは、「医療保険も生活保護もない状況で働いている外国人労働者」の例を挙げながら、これは外国人の問題なのではなく、日本人のあり方の問題だ、という告発が行われた。
ドヤ街での医療活動に携わっている仲間からは「日本社会の構造的問題を背負わされている外国人」という観点から「これは私たちの社会問題だ」ということを強調する批判が提起された。また「マイノリティー宣教センター」のデービッド・マッキントッシュさんから「これまで7万人の署名を集めた。信仰の立場から60数カ所の教会の声明文が出されている」との報告があった。再び鳥井一平さんから「声を上げることが許されない日本社会のあり方を変え、誰一人として取り残されない社会を目指そう」との訴えがなされたあと、社民党党首で参院議員の福島みずほさん、立憲民主党参院議員の岸まきこさん、石垣のりこさんも連帯のアピール。
岸議員は「外国人労働者の強制送還などありえない。難民保護の観点が第一だ」と強調。石垣さんは「日本で生活し、生きていくことを望むのは当然の権利」と訴えた。
さらに上智大の稲葉奈々子教授や、東京労働安全衛生センターの天野理さんもアピール。天野さんは「日本では移住労働者がきわめて弱い立場に置かれている。これは入管法の構造的な問題であり、仮放免制度があっても弁護士などが入管への報告義務を背負わされている」と批判した。
最後に児玉弁護士から「難民申請は日本ではなかなか認められず、収容所の中で死ぬ人も多い、『自由・人権・民主主義』の価値は安倍、菅政権の下で貶められている。入管法改悪を葬り去ろう」との訴えが行われた。今後、毎週水曜日午後に国会前行動が行われる予定。 (K)
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