改憲発議を止めよう!

9条破壊を許さない

コロナ危機を拡大する菅政権を打倒しよう!
5.3 国会前で憲法大行動
コロナ禍の中で平和と人権の意義をアピール

改憲国民投票
法案改悪NO

 5月3日の憲法記念日、東京の国会議事堂前で「許すな!改憲発議 平和といのちと人権を 取り戻そう民主主義・立憲主義 5・3憲法大行動」が、午後1時30分から同実行委の主催で開催された。例年の憲法集会とは異なり、コロナ危機がさらに深刻化する中で開催されたこの日の国会前集会は、時間・参加者数も限定した形で行わざるを得なかったが、それでも緊迫した状況の中で、菅政権のコロナ危機への混乱と無策を批判しつつ、「いのちと人権」のために憲法を活かして闘うことの意味を、強く訴えるものとなった。
 主催者を代表して「5・3憲法集会実行委」の小森陽一さん(東大名誉教授)が発言。「かつてない緊迫した状況下での憲法集会となった。この5~6月国会では、国民投票法改正案上程が目論まれている。コロナの被害は拡大し、無策の中で貧困も広がり、そのしわよせがとりわけ女性に集中している。『社会福祉と生活の向上』をうたった憲法25条、『両性の平等』をうたった24条に菅政権は反しており、また多くの事業者が財産を失っている。コロナ危機が始まったのは安倍政権の下であり、その官房長官だったのが現首相の菅だ」と指摘した。
 さらに小森さんは「憲法に真っ向から敵対し、基本的人権を無視している菅は、アメリカ政府には従順であり、『台湾有事』での協力、沖縄の米軍基地強化にも力を注いでいる」と糾弾した。そして2015年以来つちかわれてきた安倍政権に対する「市民と野党の協力」が4月の補選・再選挙(北海道、長野、広島)で野党統一候補の大勝利をもたらした、と自信に満ちて訴えた。

女性の貧困は
広がる一方だ

 コロナ禍での「貧困の記憶」の意味については作家の雨宮処凛さんが発言。
 「私は右翼だったが、憲法前文を読んで転換することができた。いま貧困生活にあえぐ人びとへの支援が切実な課題だ。切実な現実に呼びかけるSOSメールが立ち上がっている。追い出されて路上生活者となったが自殺もできなかった、という女性の声が寄せられている。2008年12月~2009年1月の『年越し派遣村』の時より事態は深刻だ。背景には自民党による『生活保護バッシング』がある。とりわけ女性の貧困はひどくなっている。年越し派遣村の時には対象者のうち女性は1%ほどだったが、今では20~30%になっている」と雨宮さんは訴えた。
 立憲民主党の枝野幸男代表は、「感染症で命を失った人は1万人を超えている。大阪では患者への医療そのものができなくなっている。失業・休業が増大し、自殺する人も多い。憲法25条が改めて問われる」と訴えた。「憲法25条は『すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する、②国は、すべての生活部面について、社会福祉及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない』と述べている。いまや最低限度の文化的生活の権利が奪われている。25条を実践する政治を」と枝野さんは強調した。
 共産党の志位和夫委員長は「2年連続でコロナ禍の下での憲法記念日となった。憲法25条は生存権を保障している。生存権の保障は菅政権の責任だ。政府は25条を遵守して国民の権利を保障しなければならない。しかし政府のやっていることは保障にはほど遠い。ジェンダー平等の観点もない。いま変えるべきは憲法ではなく、政権そのものだ。安保法制の廃止がその『一丁目一番地』だ」と呼びかけた。
 社会民主党党首の福島みずほ参院議員は「憲法13条(個人の尊重)、25条(生存権、国の社会保障)については、全く実現されていない」と訴え、「基本的人権が奪われている。21条(集会・結社・表現の自由と通信の秘密)、24条(家族生活における個人の尊重と両性の平等)を守れない自民党内閣は退陣を!」と強調した。「沖縄の風」の伊波洋一参院議員は「米兵犯罪の多発など沖縄を苦しめている自民党政権を共に倒そう」と呼びかけた。「れいわ新撰組」の山本太郎参院議員からもメッセージが届いている、との紹介も。

止めよう改憲
手つづき法案

 ゲストスピーチの一人目は羽場久美子青山学院大教授から。羽場さんは元日本学術会議の会員で「生命の大切さと平和、弱者の自由と人権」について研究し、訴えてきた、という。「コロナ危機では世界で320万人が死亡した。日本でも1万人が死亡している。日本はワクチンの普及がわずか2%という世界でも最悪のレベルだ。何よりも子どもと高齢者の命を大事にしなければならない」と強調し、「原発事故対策、アジアの平和、弱者の自由と人権に貢献する政治を」と訴えた。
 続いて清水雅彦日体大教授が発言。「憲法は国家権力を制限する規範だ。98条(最高法規性、条約及び国際法規の遵守)、99条(憲法尊重、擁護の義務)は人権に反する法令を無効とするものだ」、と強調し。デジタル監視法の「反憲法的性格」に注意を喚起した。そして北海道、長野、広島3選挙区での補選、再選挙での野党全勝の画期的意義を強調した。
 江戸文化研究者の田中優子法政大名誉教授は「憲法記念日に憲法を読もう。そして自民党の改憲案と比較してみよう。その上で現行憲法とはまっく違うしろものであることを確認しよう。とりわけ自民党改憲案(96条)では改憲手続きが極めて容易になる」とその危険性を指摘した。
 山口二郎法政大教授は、現憲法は当時の日本人が選び取ったものであり、安倍政権の下での改憲案が「およそ憲法の理念からの背反である」と強調。そして4月25日の補選・再選挙での自民全敗の結果が持つ重要な意味について訴えた。
 最後に、菱山南帆子さんから「菅政権は連休明けにも改憲手続き法を出そうとしている。5月6日のNOデジタル庁行動をはじめとした一連の行動に全力を!」とのアピールを受け、緊張に満ちたこの日の行動をしめくくった。
 菅政権は「コロナ危機」への無責任をさらに明らかにしている。「東京五輪を中止せよ!憲法改悪を断念せよ!」。それこそすべての出発点だ。    (K)

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