4・25広島参院選勝利の教訓
別個に進み共に撃て! 野党統一候補の勝利
自民支持者が大量に棄権
【広島】2019年7月21日の参院選広島選挙区(定数2)では、国民民主の森本が32万9792(32・3%)(無所属として諸派「結集ひろしま」)、自民・河井が29万5871票(29・0%)、自民・溝手が27万1830票(26・5%)、共産・高見が7万0886票(6・9%)。自民2議席独占を阻止し、自民は新旧が入れ替わった。
河井案里擁立の裏には、溝手と確執があった安倍の意向と言われている。また、菅・二階による岸田潰しの力学も働いた。岸田は宏池会の大番頭の溝手を落とし、選挙最終日には案里の宣伝車にも乗るような大将ぶりで広島県連からも不評であった。自民党本部から溝手陣営へ1500万円支給に対して河井陣営には1億5000万円が支給されたことの説明責任は未だに果たされていない。
発端は「週刊文春」2019年11月7日号=電子版10月30日の「法務大臣〈河井克行〉夫婦のウグイス嬢「違法買収」報道であった。偽領収書を妻の参院選で事務所ぐるみ公選法違反疑惑というものであった。10月31日に河井法相が辞任。これに3区市民連合関係者が「河井疑惑をただす会」(山根岩男事務局長)を結成し広島地検に告発した。
山田延廣弁護士の働きが大きかった。世論の動きが地検を後押しし、何と2020年1月河井事務所を捜索したところ、パソコンから買収一覧表が復元され芋づる式に40人以上の議員・首長が金品を受け取っていることが明らかとなった。6月東京地検特捜部は河井夫妻を公職選挙法違反(買収)容疑で逮捕、7月起訴。2021年2月5日案里の有罪が確定し、5年間の公民権停止となり2019年当選が無効となった。
これに伴う再選挙は4月25日投開票となった。北海道衆院選2区と長野参院選は自民の負けが確実と言われ、広島では3敗目にしないのが菅政権の防衛ラインと言われていたものの、負ければ岸田の責任との貧乏クジ説も当初からあった。 2月26日自民は元経産省官僚を擁立した。対する立憲民主は、元広島地検の特別刑事部部長、弁護士の郷原信郎さんを本格的候補として調整したが、家族の反対で断念され、瀬戸内海放送のフリーアナウンサーの宮口治子さんを3月14日急きょ擁立した。その後、国民民主、社民、新社会、連合も推薦した。
選挙母体は、2019年と同じく「結集ひろしま」。連合内右派の民間労組を軸に左派の自治労が与し、政党の枠は立憲・国民・社民・新社会までを含む。
ヒロシマ総がか
り行動が下支え
3月28日2区・3区・5区市民連合合同の集会で、宮口予定候補と3つの市民連合は政策協定を結んだ。その政策協定の中身(戦争法の廃止、核兵器禁止条約の批准・署名、社会保障の充実等)を受けて、共産・村上県委員長が独自候補は出さずに、宮口さんを支援すると明言した。ここに客観的な野党統一候補は実現した。ヒロシマ総がかり行動実行委員会が下支えをして市民連合が前に出て、市民連合と宮口治子さん、市民連合と各野党が政策協定を結んだ。しかし、すべての野党が並ぶことはなかった。投票率をあげるための運動「投票所はあっちじゃけぇ~」企画や立憲の2区予定候補、大井赤亥さんの事務所には若い人がボランティアとして手伝ったことが今後にとって重要だ。
終盤に、山口二郎さんや前川喜平さんが応援に広島入りした。また、3月23日の市民連合の郷原講演会集会には、共産・志位委員長自らが広島入りし、主催者は宮口選対責任者の平野立憲民主党選対委員長とのグータッチをも奏し共産側の不満を沈めた。
結果は、投票率 33・61%。
宮口治子さんが37万0860票(48・4%)、自公候補が33万6924票(43・9%)で、その差3万3936票差。前回の自民(+公明)票は56万6054。立憲野党の票は、40万678。自公は、22万9130票を減らし、立憲野党は2万9818票減らした。結果、自民支持者の大量棄権がこの勝利に結びついたということだ。被買収者自民地方議員がなかなか動けなかったというのが実情だ。旧来の保守支持構造が、さすがに今回の金権政治で機能しなかったということだ。
元々、自民党政治の金権政治は本質的に変わっていない。告示(公示)前の支部間の政治資金の移動が買収資金の原資なのである。全国でも同じであろう。今回は、検察当局が安倍=菅政権中枢には手を出さないとの不文律の中で現場検察官が決起した、それを市民運動が後押ししたという構造ではないかとの感想です。 (久野成章)
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