重要土地規制法案を廃案へ

社会運動監視・弾圧に道開く
市民団体170以上が緊急声明

要塞地帯法が
拡大版で再来


 3月26日に閣議決定、国会に提出されていた「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」が衆議院で審議入りした。5月11日、衆議院本会議で小此木八郎担当大臣による説明と各会派による代表質問が行われた。今後、菅内閣の重要法案であったデジタル法を通過させた内閣委員会で審議が行われる予定だ。
 法案は、基地など安全保障上の「重要施設」周辺の概ね1000メートルの区域や「国境離島等」を「注視区域」または「特別注視区域」に指定して土地・建物の利用状況を調査し、重要施設や国境離島等の「機能を阻害する行為」に対し行為の中止または「その他必要な措置」を勧告・命令することを定めたもの。
 この日の審議入りに対し、170を超える市民団体が連名で緊急声明を発した。沖縄や原発立地地域などで活動し、法案の成立によって直接の影響を受ける団体が多く名を連ねている。法案にある〝等〟には、エネルギー施設なども当てはまる。
 賛同に加わった緑の党(グリーンズジャパン)は、声明で指摘する法案の問題点を5つに、成立の影響を3つにまとめている。
 法案の問題点。①重要施設周辺の土地・建物利用者の個人情報はことごとく収集され監視されることになる。②具体的な違法行為がなくても特定の行為を規制できる。③「関係者」に密告を義務付け、地域や活動の分断をもたらす。④事実上の強制的な土地収用である。⑤不服申立ての手段がない。
 法案成立の影響。①膨大な量の個人情報の入手・蓄積・分析のために情報機関が強化される。②基地や原発の調査・監視行動も規制の対象。③法案は戦前の「要塞地帯法」の拡大版の再来であり、憲法と国際人権法を著しく侵害する。

法案提出に
いたる経過


 昨年12月10日、自民党政務調査会は「安全保障と土地法制に関する特命委員会提言」を政府に提出、「早期に閣法案をとりまとめ、次期通常国会へ提出すること」を求めた。
 政府はこれと前後して「国土利用の実態把握等に関する有識者会議を非公開で3回開き、12月24日に「新しい立法措置の枠組み」などについての提言をまとめた。政府は原案作りを急いだ。非公開の有識者会議は、公開されている議事要旨によれば3回の会議時間の合計は4時間10分しかない。
 2月9日、弁護士で元公明党国対委員長の漆原良夫前衆院議員が自身のHPに、「まるで戦時下を思わせる民有地等の規制」だと政府原案を批判する意見を掲載した。さらに3月12日までに、「私権を制約するに足る立法事実が存在しない」「調査の対象が際限なく広がり基本的人権を侵害しかねない」などの批判掲載を続けた。
 3月18日、日本維新の会は「与党内の調整が難航し、今国会での法案提出でさえも見通しが立たない状況」だとし、「遅滞なく与党内で成案を得て、国会審議に入るべく」と小此木大臣に申し入れ。
 3月23日、公明党は政務調査会の全体会議・部会長会議の合同会議を開き、竹内会長は「経済活動の自由に対する規制は最小限度であること」を与党内協議で自民党に求め、その条項を加えることで合意したと報告、以後の取り扱いを会長に一任した。

法案に対する
各野党の姿勢


 前述した日本維新の会の申し入れには「土地取引に関する事前審査制の規定がなく、売買自体は事実上自由に行えるなど実効性に問題点がある」とし、修正案の提出を視野に入れており、政府与党を超える強権性を表している。
 立憲民主党は、代表質問で「想定される機能阻害行為を法律で明示するよう求めた」と報じられたように、政府には修正を求める立場と思われる。
 参議院会派「沖縄の風」の伊波洋一さんは5月13日に開催された沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックが主催した緊急学習会「重要土地規制法案勉強会」(次号で詳報を掲載予定)で法案反対を明らかに。日本共産党は廃案の立場だ。
 6月16日までの国会は一カ月の会期を切った。日米仏三軍による初の共同訓練のように、政府の外交政策には根強い課題で、強化こそあれ法案の取り下げは見込めない。法案を廃案に追い込み、菅政権を退陣させよう。      (KJ)

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