直ちに中止だ!東京五輪

4.27~5.4 沖縄で「聖火」リレー反対行動に参加して
医療危機拡大の中で何のための五輪か?

 この期に及んで、東京オリンピック中止は発表されず、「聖火」リレーも全国を行脚し続けている。沖縄県も例にもれず「聖火」リレーを受け入れてしまった。4月27日から5月4日にかけて、鵜飼哲さんの連続講演の合間、オリンピックお断り連絡会のみなさんが「聖火」リレー実施に対する抗議行動に取り組んでおり、部分的に参加した。
 オリンピックという切り口で、沖縄に脈々と伝わる運動に触れることに意義があったのかもしれない。

「飛び入り」発
言の参加者登場


 5月1日、名護市民会館(名護市役所向かい)で「聖火」リレーイベントは行われた。沖縄県は公道での中止を決めた。宮古島のリレーは感染拡大のため中止が発表され、石垣島は公道での実施が強行された。直前まで詳細予定は公表されず、会場を白い幕で囲うものものしさである。一日がかりで90人の走者が参加し、夜は「セレブレーション」式典があることなど、当日の新聞で知った。式典における首長などの発言が続き、アルベルト城間率いるディアマンテスの演奏も鳴り響いた。
 沖縄県警はキャンプ・シュワブゲート前の土砂搬入、安和桟橋、塩川港での搬出を数日間人員の都合上中止するなどして、この日はかまぼこ10台ほどで待機、数人組が巡回をする態勢をとる。しかし入り口での抗議スタンディングには全く介入をするわけでもなかった。市民会館の中には海に面して石垣、起伏のある植え込みが情緒を醸し出すが、それ以外はやはり陳腐なとってつけ感が満載である。俯瞰すれば、駐車場敷地を区切ったコースは殺風景なことこの上なく、メディアは決してさらしてはいけないとマニュアルで定められていることは容易に想像できる。
 偶然通りがかってスタンディングに参加した医療従事者Yさんは、辺野古ゲート前の闘争歌と自在な演説で知られる。力強い発言だった。以下発言を抜粋する。

感染拡大地域で
なぜ今なのか


 今、なぜこのようなイベントをするのか。疑問だ。沖縄はまれに見る感染拡大地域だ。沖縄県はコロナ専門病床使用率一〇〇%を超えている。急性期の治療にしわ寄せがいっている。介護施設、療養病棟に急性期患者を受け入れざるをえない。4床の病室を6床にするとか、同じ水準での治療はできない。県南部は感染拡大が深刻で、県中部で病床不足分を受け入れたり、という事情もある。
 医療従事者に協力を要請しながら、このリレーの参加者、スタッフ2~3000人のPCR検査をおこない、県の予算で負担するという。医療従事者はリスクあっても、それほど検査は受けることができない。優先順位が違うではないか。受付テントにいるスタッフのみなさん、さっきから見ていると緊張感ないですよ。マスクをはずし、さわった手を平気で鼻にやる。本当に徹底されているのか。基本はこまめな手指消毒しかない。やるのならせめて、感染に緊張感をもつべきだといいたい。
 拡大を防ぐためにこの1週間我慢すればと思って、わずかな希望を見出したりもするが、それをなぜ我慢できない、なぜこのようなイベントをするのか。感染に注意できないイベントをするのか! 予防するうえで、緊張感をそがせるイベントをしてしまっていいのか!
 せめて医療体制、従事者の負担を考えてほしい。
 毎週緊急ミーティングで協力要請する県知事デニー玉城さんは聞いていますか。ここで(「聖火」リレー開始前に)発言するなんて、本当に感染の深刻さを考えていますか。
 (門前の掲示物をさして)「コロナに負けるな、みんなで乗り越えよう」とありますが、どういうことですか、感染した後に打ち勝つ方法は確立されていない、予防しかないのですよ。みんな、の中に医療従事者は含まれていますか? 明るいイベントだった、高揚感を持てたではなく、感染状況との関連を振り返る報道を望むし、みなさんによく考えてもらいたい。

欺瞞だらけの
「聖火」の呼称


 このほかナチスが言い出した聖火の「聖」という言葉を使うのは日本しかない、東京で行うイベントに福島の復興などを持ち出し、各地の協力を得て巻き込む手法の欺瞞もある、「聖火」リレーに際してもグローバル企業の名を冠した大音量の街宣車ばかりがしゃしゃりだす商業五輪の問題、格差、開発と高級化、パラリンピックが持つ差別の本質、他あげればきりがない。
 当然トラメガの声も会場には聞こえていたはずである。午後3時からは、20人弱で名護市街地を道ジュネもした。コロナ禍の影響もあるのか、シャッター商店街化が一層進んでいるようにも感じられる。

「戦争準備」の
歴史的教訓も


 鵜飼さんも指摘したように、平和の祭典どころか戦争準備の性格さえもつ、オリンピックに対して、この日も辺野古の新基地建設阻止の困難さをたゆまず支える仲間が幾人も参加した。また鵜飼さん講演に参加した人との交流を通して、私たちは辺野古に代表される新基地建設、機能強化がどの局面に差し掛かったかの一端を知ることになる。
 4月30日は名護市合同庁舎内の北部土木事務所前で、深夜まで10時間にわたる攻防があった。南部の遺骨を含む土砂を埋め立てに使う件は強い抗議を呼んできたが、塩川港における土砂のベルトコンベア設置を土木事務所所長が回答を約束したふりをしながら、結局設置を認めてしまい、40人ほどが所長を問い詰めたのである。設置を認めると、さらなる効率化、ダンプカーが土砂降ろしの為に台船に出入りする時間を節約できるというのだ。
 安倍・菅中央政権が新型コロナ対策を打ち出せず、求心力を失う中、辺野古の埋め立て工事は着々と進む。デニー玉城知事の評価も合わせ、多くの世論が反対を示す辺野古の基地建設とオリンピック開催、強引に結びつけるわけではないが、どう漠然とした反対世論をより牽引力あるものにできるのか、考えていきたい。

県庁前でスタ
ンディング!


 5月2日は糸満の平和の礎がリレー会場だった。私たちはそこでの抗議行動はせず、向かわず、県庁前でスタンディングをした。観光客がまばらな国際通りを横断幕を持って道ジュネした。好意的な反応は多かった。
 同じ日、沖縄県立博物館・美術館では石川真生さん写真展がひらかれており、向かった。Aサインバーの労働者、米軍兵士の表情、沖縄の役者の肖像、辺野古新基地構想が持ち込まれた1990年代の辺野古の様子、名護市民投票に取り組む人々の表情も、モノクロ写真におさまっている。20年以上前に近くで目にした真生さんには、ごく当然ながら辛らつにヤマトに住む者として沖縄の基地の問題、どうするんだと言っていた、という記憶しかない。その問いにまったく答えないまま現在を迎えた。手始めにできることは、反民衆的な性格が大きく可視化されたオリンピックの中止、廃絶を実現していくことだ。     (海田)

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