ミャンマー国軍の資金源を断て
5.21 外務省前でストップODA行動
環境・平和・NGOが呼びかけ
日本政府は人民弾圧の軍事クーデター政権支援やめろ
5月21日午後6時半から、外務省前で「ミャンマー国軍の資金源を断て~ストップODA!ダイ・イン」がメコン・ウォッチ、国際環境NGO FoE Japan、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、アーユス仏教国際協力ネットワーク、日本国際ボランティアセンター(JVC)の呼びかけで行われた。小雨の降る中、80人が参加した。
市民810人
が殺された!
最初に、司会者が行動の趣旨を述べた。
「ミャンマーで2月1日に国軍によるクーデターが発生してから110日目になる。国軍による常軌を逸した市民への暴力は依然続いており、これまでに810人もの罪のない市民が命を奪われ、現在も4212人が恣意的に拘束されている。チン、カレン、カチン、シャンなど少数民族への攻撃も行われ、5万人以上の避難民が出ている」とミャンマーの現状を報告した。
続けて「日本政府はこのような状況が続いても、自身が債務救済等で深く関与してきたミャンマーへの経済協力について、『事態の推移を見守り、どのような対応が効果的か検討する』との回答を今日まで繰り返すばかりです。私たちは、3月4日及び4月1日に日本政府に対し、対ミャンマー公的資金における国軍ビジネスとの関連を早急に調査し、クーデターを起こした国軍の資金源を断つことを求めた。明確な答えを求めて30団体の署名を集めて、外務省に提出する。命をかけて闘っているミャンマーの市民たちの思いを込めての行動でもある」と述べた。
次に、FoE Japanの水田さんが「日本のODAが民主化の役に立ったのか、ビジネスのためだったのかが問われている。茂木外務相は、ミャンマー事態を見て、ODAを停止すると言うかもしれないと新聞社とのインタビューで答えている。新規のODAは止める、供与中のものはとりあえず停止すべきだ。国軍に渡さず、ミャンマー市民の側に立つことを示さなければならない」と要求した。
アーユス仏教国際協力ネットワークが、「現地のミャンマー人と連絡を取っているが、日に日に状況は悪くなっている。銀行ATMから現金がなかなかおろせない。日々の暮らしにも困っている。寄付金は集まっているか、支援がほしいとの訴えがある」と困難な状況を伝えた。
自民党政治家
と軍のパイプ
参加した複数のミャンマー人も訴えた。「将来の子どもたちが殺されている。ミャンマー人だけの力では軍を止められない。日本に助けてほしい」。「日本政府がODAをストップするのか疑問だ。日本ミャンマー協会は渡辺、麻生、甘利など自民党大物政治家に頼っていて、それがミャンマー(軍)とのパイプになっている。平和と民主主義を取り戻すためにいっしょにがんばりたい」。
午後7時過ぎから、殺害された人びとを追悼し、虐殺を止めるために国軍の資金源を断つよう求める「ダイ・イン」(※)を行い、新たに要請書を提出し、再度、国軍のビジネスと日本の経済協力関係を直ちに断ち切ることを日本政府に対し強く要請した。(※)ダイ・イン(die-in)とは――死者を模して横たわることで、命が奪われることに抗議の意思を表すアクション。
要請書を提出し、外務省役人と話をしてきた杉原浩司さん(武器取引反対ネットワーク)が「茂木外務相のODAの見直しをせざるを得ないという発言を外務省役人も確認はしたが、『いつ、ミャンマー側に伝えたのか、それは言えない。いつまで続けば見直すのか、それは答えられない』という話だ。茂木発言が国軍に対するプレッシャーになっているか分からない。国連の食糧援助に協力して日本政府もやっていると言うが、在日ミャンマー人を入れて話し合いをしてほしい」とやりとりの内容を紹介した。
さらに、杉原さんは「ミャンマーの市民派が立ち上げた国民統一政府をただちに日本政府は承認すべきだ。そうすれば、ミャンマー軍司令官を戦争犯罪人として国際司法裁判所に訴えることができる。虐殺を国際的に止める有効な手段だ」と意見を述べた。
2度目のダイ・インを行い、「ミャンマー国軍の資金源を断て」と訴えた。(M)
ミャンマー日誌
経済悪化で困窮者増加 市民団体が食料支援
少数民族と軍の衝突 5万人が難民化
在日ミャンマー大使館員解任される
少数民族の武装勢
力と国軍の戦闘
ミャンマーで、クーデターを起こした国軍への抗議活動の一環として、国民の多くが電気料金の支払いを拒否する考えを示しているようだ。電気料金は国の主要な財源であることから、国軍の財政状況が著しく悪化するとの見方も。
電力サービスを提供するための体制も不安定な状況だ。クーデターに抗議するため業務を放棄する市民不服従運動(CDM)には、 電力・エネルギー省の職員のうち8割が参加したとされる。人手不足のため電気メーターの検針や電気料金の請求書発行といった業務が停滞している。国軍は、CDMを続ける職員を解雇するなどの強硬策を取っている。
電力・エネルギー省のアドバイザーだったギヨーム・ド・ラングレ氏は、「このままの状況が続けば財政損失は拡大する。政府がどれくらい持ちこたえられるか疑問だ」と語った。
日本政府は食料不足に苦しむミャンマー市民へ4億円超の支援決定。軍を利する形での援助にならないように監視が必要だ。
5月18日 ミャンマー北部のカチン州で18日、少数民族の武装勢力が軍の護送するタンクローリーを襲撃したということです。ミャンマーでは民主派が「国民防衛隊」の創設を宣言して以降、民主派と少数民族武装勢力との連携が進んでいて、軍との間で衝突が激しくなっている。
国連人道問題調整事務所(UNOCHA)が18日に発表したミャンマーの避難民の流出に関する情報。カチン州では、国軍と少数民族武装勢力のカチン独立軍が3月以降、州内の13郡区で100回余り衝突。3月中旬以降で1万人近くが流出した。8500人が帰還できずに。市民33人が死亡。
北東部シャン州では、KIAやシャン州和解協議会、タアン民族解放軍、ミャンマー民族民主同盟軍が国軍と戦闘を続ける。1万2640人以上が避難し、5870人が退避したままだ。
カイン州など東部では、「カレン民族解放軍」が国軍と交戦している。避難民は4万2000人。一部はタイに流出し、5月17日時点で1700人が同国にとどまっている。北西部チン州ミンダット郡区では12日以降、国軍の攻撃で数千人が町を追われた。
5月19日 在日ミャンマー大使館に勤務するミャンマー人外交官2人が国軍による市民弾圧に抗議し、解任されていた。パスポートを無効にされ、大使館敷地内の住居に帰れず知人宅などに身を寄せている。帰国すれば命の危険があるとして、日本の外務省に外交官身分の維持を要請している。
仕事収入が
奪われている
経済活動が低迷し、仕事や収入を失う人が増えていて、UNDP=国連開発計画は、来年初めまでには貧困率が人口の半分近くにまで上昇するおそれがあると指摘している。
各地の支援団体は困窮している人たちに食料の提供を続けていて、このうちヤンゴン郊外で活動する団体は、スラム街などのおよそ2000世帯にコメや食用油、タマゴ、野菜、粉ミルクなどを配っています。食料を調達する資金の8割は、海外に住むミャンマー人からの寄付金で賄っているという。こうした活動はクーデターへの抗議や「不服従運動」を続ける市民の団結につながるとして軍の弾圧の対象とされ、ヤンゴン市内でも支援者が身柄を拘束される事例が出ているということ。
また経済活動の低迷により、仕事を失い現金収入を絶たれた人も大勢出ている。ヤンゴン市内の住宅地で市民団体が不定期に開いている市場では「余ったものをください。そして必要なものを持って行ってください」と書かれた看板を掲げた台車の上に野菜や魚などが並べられ、集まった住民たちは自宅にあった食材を置いていくかわりに必要な食べ物を持って帰っていた。しかし以前は提供されていた社会的な保護が今は体系的には提供されなくなっている。国連世界食糧計画(WFP)の支援の規模を拡大し今後半年間維持するために、国際社会の支援の広がりが必要。
政情不安が続くミャンマーで、食料品や医薬品、燃油といった必需品の価格高騰が続いている。チャット安の進展や、長引く金融機関の機能不全で、物価の上昇に歯止めがかからない状況だ。
5月21日 ミャンマーのクーデターで実権を握った国軍が任命した選挙管理委員会のテイン・ソー委員長は国民民主連盟(NLD)を解党処分にする方針を示した。
最大都市ヤンゴンで、軍の施設などで爆弾が破裂し負傷者が出ている。抵抗勢力がやっているのか、軍の「やらせ」なのかはっきりしない。かつてのような大規模な非暴力抵抗行動は軍の激しい弾圧によって後退を余儀なくされているが、少しの時間に工夫をこらした抵抗闘争が取り組まれている。
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