三里塚大地共有運動の会・登記義務化反対学習会

共有地奪う策略に反撃しよう
対抗策の豊富化を

 5月30日、一般社団法人三里塚大地共有運動の会は、ピープルズ・プラン研究所で「所有者不明土地対策口実に共有地奪う登記義務化に反対する学習会」を行った。
 菅政権は、資本・行政の環境破壊・乱開発を促進するため「所有者不明土地」の解消と称して、相続・転居時の登記を罰則付きで義務化づける民法・不動産登記法改定案、相続土地国庫帰属法案を参院本会議で成立させた。会は、この登記義務化法制定に対して抗議声明「罰則付きで登記を義務化し共有地を奪う登記義務化法制定を糾弾する!」を明らかにし、予想される一坪共有地運動をターゲットにした攻撃を許さない取り組みを強化していくために学習会を行った。

開発推進担った
系統的政策展開


 繁山達郎さん(三里塚大地共有運動の会事務局長)は、「登記義務化法は、安倍政権によって『成長戦略』の一環として所有者不明土地対策を位置づけ法制化の動きが始まった(2017年)。 その第一ステップとして所有者不明土地利用円滑化特別措置法を成立させ(18 年6月、)、続いて公共工事の妨げになっている所有者不明土地について都道府県の収用委員会の審理を経ずに取得できるようにする土地収用法特例(19 年6月1日施行)を作った。つまり、所有者不明土地収用について、公開審理など収用委員会の関与はなくなり、知事の判断だけで収用裁決ができるという制度改悪を強行した」ことを明らかにした。
 さらに「第二ステップとして、 『表題部所有者不明土地の登記・管理適正化法』を成立させた(19 年5月)。この悪法は、『表題部所有者不明土地』の登記・管理の適正化を図る措置として、①登記官に所有者探索のための調査権限付与、探索結果を登記に反映させ、所有者を特定できなかった『表題部所有者不明土地』について、裁判所の選任した管理者の管理を可能とする法律だ。 登記官が調査して所有者が分からない場合、代金を法務局に供託して裁判所任命の管理者から買収できる制度にしてしまった」。
 「これらの制度改悪を土台にして『登記義務化法』によって所有者がわからない土地を裁判所が管理人を選び、所有者に代わって管理や売却を行うことができる制度だ。しかも土地を相続した相続人に取得を知った日から3年以内の相続登記の申請を義務化し、違反したら行政罰として過料 10万円以下とした。また、転居に伴う住所変更などの場合でも、2年以内の変更登記の申請を義務づけ、違反すれば過料5万円以下とした」。
 「これまで土地登記は権利であり、財産権の保障を定めた憲法の下、所有者・相続人が相続・住所移転の登記をしてなくとも、土地の所有権・共有権が失われることはなかった。だが登記しなければ、土地が奪われる制度へと根本から改悪してしまった。成田空港会社は、この悪法を利用して一坪共有地運動に対して、すでに亡くなった共有者、相続手続きをしていない共有地をリストアップし、強奪に向けて動き出すだろう。そうだからこそ現在取り組んでいる一般社団法人三里塚大地共有運動の会への一坪共有地の登記変更が最大の武器となる。一坪共有地を反対同盟と共に守り抜くために取り組みを強化していこう」と強調した。

共有地強奪への
対抗へ研究必要


 清井礼司弁護士は、「改定民法・不動産登記法 登記義務化の危険性」をテーマに報告した。
 「法務省民事局の『所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し』のパンフレットによって、ほぼ全体像がわかる。実際に誰が土地の権利者なのかわからないケースが沢山ある。例えば、東京大空襲の事例がある。昔は法務局が戸籍関係を管理していたが、書類が焼失してしまい所有者、相続関係がわからなくなってしまった。推定相続人が180人もいた事件をやったこともある。3分の1しか相続人がわからなかった。結局、登記も困難となり裁判所に持ち込んで、判決で登記できるようになった。最近でも一部の土地だけが、所有者が不明のケースがあった。隣接する会社が建て替えをしようとしたが、その土地だけがわからないままで工事ができなかった。登記した時期は『大正』だっため、相続人がわからなかった。断念せざるをえなかった。しかし、こういう所有者不明土地に対して権力者が悪用するところにこの法律の本質の狙いがある。国民番号制度とセットで国民管理を強めていくねらいもあることも警戒しなければならない」と述べた。
 「三里塚の場合は、シンポジウム(1991年~)・円卓会議(1993年~)で政府が『強制収用はしない』と約束して以降、収用委員会による土地取り上げはできない。だが一坪共有地に対しては、成田空港会社がこの法律を使ってどのように攻勢に出てくるか注意、対抗準備しておかなければならない。とりわけ手続き問題において具体的に把握しておく必要がある。ただ実際の運用規則などはこれからだ。土地の所管省は国交省で国交相は公明党だ。どのようなスタンスで対応してくるかチェックする必要がある。その意味では時間的余裕があるから調査、研究を深めていくことが必要だ」と指摘した。
 討論の中で参加者から「2008年、空港会社は一坪共有者(1200人)に対して一坪共有地を売ってくださいという手紙を送ってきた。暫定滑走路建設と一坪共有地売り渡し強要の恫喝だった。空港会社は、1200人の一坪共有者のリストを持っており、追跡調査するセクションによって掌握しているはずだ。この法律によって誰が死亡し、誰が手放そうかという判断もしているはずだ。だから一般社団法人三里塚大地共有運動の会への登記変更をしていくことが一つの防衛・対抗手段であり、時間の問題でもある。キャンペーンを強めていくことは当然だが、どのような対策を豊富化していくか問われている」と発言があった。

重要土地法案
廃案へ全力を


 菅政権は、グローバル派兵国家建設の一環として登記義務化法制定と連動させた治安弾圧型の「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」(重要土地調査規制法案)を3月26日に閣議決定し、国会に提出した。政府・与党は政府は16日での通常国会で強行成立させようとしている。
 事務局の大盛さんは、重要土地調査規制法案について①重要施設周辺の土地・建物利用者の個人情報は収集され、監視される ②具体的な違法行為がなくても特定の行為を規制できる ③「関係者」に密告を義務付け、地域や活動の分断をもたらす ④事実上の強制的な土地収用である ⑤不服申立ての手段がない―などを批判し、法案制定阻止を訴えた。
 最後に山崎宏さん(事務局)から「7・4東峰現地行動&現地調査」への参加を呼びかけた。 (Y)

 ◦日時:7月4日(日)正午
 ◦場所:旧東峰共同出荷場跡/集会後デモ、現地調査(共催/三里塚大地共有運動の会)
 ◦会場への行き方:京成東成田駅地上 11時00分集合 迎えの車待機〈京成上野特急9:13発/成田乗り換え・芝山千代田行10:32発〉
 ◦主催:三里塚空港に反対する連絡会/ 03 ―3372―9401

/FAX03 ―3372―9402

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