「土地利用規制法」を廃止せよ

国家の強権加速する戦争法だ自治体は国の下請けではない
地域から市民の民主主義を

国家強権貫く
有事法案だ!


 6月16日午後2時から、衆院第2議員会館で院内集会「土地規制法の成立に抗議します」が開催された。同日が第204通常国会の最終日だが、まさにその日の未明(午前2時半ころ)、米軍基地や自衛隊基地、さらに原発の周辺、そして国境に近い「離島」の住民を監視・調査するための「土地利用規制法」が成立することになった。
 同法案に賛成投票を行ったのは自民、公明の与党の他に日本維新の会と国民民主党。立憲民主、共産、社民の各野党は反対した。政府・与党は「外国資本(とりわけ中国などを対象として)が安全保障上重要な地域の土地を購入している」などとして、「注視区域」、「特別注視区域」で「機能阻害行為」があれば中止を命令し刑事罰を課すことができるという「治安立法」に他ならない。「特別注視区域」として認定されれば不動産取引にあたって「事前届け出」が義務付けられる、という念の入り方だ。
 まさに「有事」を想定し、「平時」から住民の監視を進めていく民主主義破壊の違憲法案が会期末ギリギリで強行成立となったのである。菅内閣は、この「土地利用規制法」の強行をもって、総選挙への態勢確立に踏み込んだ。それは改憲と直結した「有事戦争法制」の一環であることは間違いない。

自治体議員に
広がる危機感


 当初、「土地規制法案」をめぐる人びとの関心は、それほど高いものではなかった。しかし「土地規制法の成立に抗議します」という声明への自治体議員の賛同は3日間で137人に達した。国会前での市民のスタンディングも30人ぐらいから、前日(6月15日)には350人と短期間で急上昇した。
 この日の院内集会では千葉県議の伊藤とし子さん(さくら市民ネット)が冒頭に発言。「佐倉市と酒々井町の市民、一人ひとりが自分の考えで行動している。最初は、『集会に参加する人びとの弁当ガラが風に飛ばされて基地に入り、必要な機能のじゃまになる』などという口実がまことしやかに語られていたが、急速に批判の声も広がった。さらに改悪させないことが重要だ」と呼びかけた。
 同法案に反対する運動で奮闘した杉原浩司さん(武器輸出反対ネットワーク)は、「野党の間でも『修正案』を出すという話も出ていたが、なんとか立憲民主党も『反対』で踏みとどまった。昨日の夜の段階でツイッター・デモは15万件に上った。しかしヤマトのメディアの反応は東京新聞といえども鈍かった。その点は残念だったが、法律ができても世論が高まれば、事実上発効・適用させない活動を続けることは可能だ。政権交代でこの法律を廃止させよう。立憲民主党の危うさは続くが、その中で市民の行動が重要だ」とアピールした。

加害者が被害
者を監視する


 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は次のように訴えた。
 「衆院で最初の論戦になってから世論は高まり、かなりのところまで追い詰めた。同法を廃止するところまで持っていこう。不安を煽り立て、外国人が何かする恐れがあると言っているが、それは加害者が被害者を監視する逆立ち法だ。基地問題に関心がある専門家は一人も入っていない。基地のそばに住んでいる人の実態を知らず、不安だけを煽っている。権利は奪われても沖縄の闘いは続く」。
 前参議院議員の糸数慶子さんは、「今国会は憲法違反のオンパレードだった。国家権力が国民の人権を破壊している」と怒りを露わにし、同じく伊波洋一参院議員は「いま南西諸島が戦場となることを想定した動きが進んでいる。日本の将来を大きく変えてしまう戦略だ。日中友好条約は両国が戦争しないことを明記している」と強調。社民党党首の福島みずほ参院議員は「この法律が成立したけれども廃止を求めて闘おう。沖縄と南西諸島がターゲットになっているが、軍事上の利害に基づいて島全体をコントロールするやりかたは沖縄と南西諸島だけが問題なのではない。『本土』の基地や原発に反対する行動への監視ふくめて、国と自治体の関係を破壊する」と訴えた。
 共産党の山添拓参院議員は「成立強行に強く抗議する。政府は追い詰められたうえでの採決だった。与党側の参考人も『修正が必要だ』との意見を述べたが、すべて無視された。この法律をそのままにしてはならない。使わせてはならないし、廃止に追い込もう」と強調した。

地域から批判
反撃の行動を


 弁護士の馬奈木厳太郎さんは「米軍や自衛隊基地の周辺に関わる人だけの問題ではない。戦後70年をかけて守ってきたものが壊されている。東京ではなかなかニュースにはならなかった。法案の危険性を訴えるだけではなく、法案を作ろうとする人たちの価値観を超えなければならない。『潜在的脅威』という意識が、この法案の根拠だろう。ここをどう変えていくかが問題だ。条文だけではなくそれを支える価値観・意識を問題にすべきだ。『オール日本対○○』という考え方こそ問題にすべき」。
 「それぞれの自治体が協力しないことを求めていくことは自治体議員の役割だ。多くの人たちがこの法律を知らないし、議員も分かっていない。しかし1~2週間で議員の認識も変わっていく。この法律は沖縄が最も影響を受ける法律だ。しかし負けたとは思っていない。いま『平時』の中に『戦時』が入っていく時代だが、国民はなんのために主権者になったのか。それは戦争を起こさせないという自覚からだ。平時の中に有事が入る時代、われわれは何のために主権者になったかを問うべきだ。無関心を克服するということは自らあきらめないということだ」。
 小金井市議の片山かおるさんは市議会で法案反対を可決し、憲法と国際自由権規約に反するという意見書を採択したことを紹介した。その他、幾つかの自治体でも「自治体が国の下請けの役割を強制されること」を批判する意見書が採択されている、という。
 日本共産党の松戸市議は、市議会44人のうち14人が立憲民主党と共産党であることを紹介し、今後とも地方自治体で追及していくと語った。今回は米軍基地の問題だったが、原発立地自治体との関係でどのように適用されるのか、という意見もあった。
 最後に立憲民主党の石川大我参院議員が、これからの現場での闘いにこの問題がどう影響するのか、共に考えたいとあいさつした。市民運動―自治体議会―国会を貫いて、新しい挑戦が始まっている。   (K)
 

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