地域からの報告 2021年都議選を振り返って

寄稿 

自公政権の打倒こそ最優先今こそ野党共闘を進めよう
森本孝子(改憲NO!荒川市民アクション共同代表「平和憲法を守る荒川の会」代表)

 長年にわたり精力的に地域の市民運動を担ってこられた森本孝子さんに、今回の都議選を振り返る文章を寄せていただいた。(編集部)

継続的な共闘
関係のなかで


 今年の秋には必ず総選挙が行なわれる。その直前の東京都議会議員選挙は、その総選挙のバロメーターにもなる重要性を持っていた。
 私の住む荒川区では、都知事選で宇都宮健児さんを応援する、市民と野党の共闘を結成して活動した。そしてその次の荒川区長選にもその流れを続けようと、共闘側で候補を立て、現職の区長と一騎打ちの闘いを行った。残念ながら敗北だったが、それでも前回より現職は票数を減らし、共闘の勢いは都議選にも繋がっていった。
 全都で共産党と立憲民主党の候補者調整が行なわれ、荒川では共産党の候補を応援することになった。ところが、荒川区に転居して1年もたたないうえ、荒川区内のいろいろな護憲、反差別、反貧困などの運動に全くかかわることなく「女性代表」を名乗り立候補した人物に、かなりかく乱された。私は応援演説の際、「女性だからいいというわけではない」、「小池百合子現東京都知事含めて、女性候補者というだけで、正当性があるとは言えない」という苦しいアピールもしなければならなかった。
 
激戦区ゆえメ
ディアも注目


 さて、荒川は2人の当選者に対して6人が立候補するという激戦区だ。そのせいかNHKの取材が2回入り、編集されたものが2回にわたって放映された。それを見て、安倍晋三が自民党候補の応援に来たことを初めて知った。下馬評では、区議会議員31人中11人の応援を受ける元職の自民党候補が一歩抜きんでているということだった。しかも安倍だけでなく、下村博文や西村経済再生大臣まで応援に来るという物々しさだ。公明党は、今回は「毎回全員当選」の記録が危ういと言われ、荒川にも山口党首が応援に来ていたようだった。
 私は、体調が良いときには荒川区内の街宣に参加し、マイクをもってアピールした。今回私たちが支持する候補者の公約のポイントは以下の3点。 ①コロナ感染拡大の中で東京五輪を開催すべきではない。五輪は中止すべきで、五輪に費やす税金をコロナ対策に費やすべきだということ。 ②医療が危機的状況にあるにもかかわらず、都立病院や公社病院が独立法人化(民営化)されることに反対するということ。③学校給食の無償化 などを焦点にアピールを行なった。
 
保守牙城で自
民候補が落選


 結果、トップは予想に反して公明党候補。2位は都民ファースト候補で、自民党元職は落選した。私たちが応援した候補は4位だったが、自民候補の落選は胸のすく思いだった。
 今回の都議選の結果は、「自公で過半数楽勝」と思っていた人たちにはかなり厳しい結果であり、驚いたようだったが、それでも自民党を第一党として復活させた。小池知事の直接の応援が無理だった都民ファ―ストは、かなりの落選者を出すのではないかと思われていたが、自民に次ぐ第2党を維持した。
 小池知事の動きは実に微妙だった。選挙直前には過労を理由に入院し、9日間動かなかった。選挙直前の日には都ファの候補者を激励し、その結果もあっての「第2党維持」だったと思う。また早い段階で「五輪は無観客で」と主張したことも、好感が持たれたかもしれない。
 そもそも小池知事は、知事に立候補した時の「7つのゼロ政策」は何も成果を上げていないにもかかわらず、今ではなかったことのように知らんふりだ。また、「自民党が支配する都政はブラックボックスだ」と言って改革を訴えたことで都民の支持を得たにもかかわらず、今や補正予算さえ議会にかけず、近親者との相談のみで専決事項化させて決定してしまうという、まさにブラックボックス都政運営を続けているのだ。それでもその支持率の高さから、自民党も「小池を敵に回しては損をする」と考えて和解してきた。
 
小池知事は何
をしてきたか


 さてさて、小池知事の政治力の評価はどうなのだろうか。
 そもそも「都民ファースト」の立ち上げは、橋下徹元大阪府知事の「大阪維新の会」のような地域政党をイメージし、さらにそれを国政につなげるために「希望の党」を結成したが、自分の「排除発言」によってとん挫。五輪開催の責任は、招致した都知事が最も重いのに、就任当初はあちこちの会場変更を意図して税金を使いながら、結局それを元に戻す。
 さらに築地市場移転にあたっては、豊洲か築地かで築地のおかみさんたちを怒り心頭にさせるような扱いで終わらせた。コロナ対策も自粛要請を主として、パチンコ屋から夜の街新宿、そして今や飲食店攻撃など、常に敵を作ってそこに都民の関心を向けるというやり方だ。
 具体的な政策は、埼玉や千葉の県知事の政策を踏襲。大阪の通天閣のカラー化による感染度合いのアピールを盛り込み、レインボーブリッジのカラー化をした。つまり誰かの物マネでしかない対応に終始しているのだ。
 
疑惑の数々を
どう考えるか


 小池知事の「カイロ大学首席卒業」という経歴詐称の疑いは、未だ消えていない。常に権力を持つ男性のそばに近づき、その意向で政治家として出世してきた。これまでの経歴を、100人以上の関係者の聞き取りやカイロ現地での同居者への取材など、徹底的な調査で「嘘つき小池」の実像をあぶりだした本「女帝」(石井妙子著)は、今年第52回の大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。ぜひ読んでほしい。
 女性初の都知事と言う触れ込みは確実に支持者を増やし、第2回目の彼女の得票は史上最高値を出してきたが、その政策や振舞いをしっかり見ていくことが大事だと思う。勢いに乗って結成された地域政党「都民ファーストの会」には、元民主党からも多くの人が鞍替えして参加していった。荒川の同党の当選者もその一人だ。
 
活動家に潜む
「反日共」意識


 都全体を見てみると、今回初めて共産党と立憲民主党の候補者調整が効果的だったことがわかる。連合は立民に対して共産党との共闘を歓迎せず、国民民主を主として支援してきたが、国民民主の候補者は全員落選。その結果を受け、立民と共産の連携に理解を表明し始めた。全都での調整は一定成功したと思うし、衆議院選挙での野党共闘をさらに大きく前進させなければならないと思う。
 その時の問題は、連合の動きだけではない。主として現場主義、街頭主義の活動を担ってきた活動家の中に、依然として「反日共」の意識があることだ。これまでの共産党の振舞いを考えると、私も現場で嫌な思いをしてきたし、各小選挙区で独自候補を立てて、結局野党の票を割ってしまう結果になってしまった例が少なくない。
 
独裁政権打倒
こそ最優先で


 それを考えると、「反日共」と言いたい気持ちも理解はできるが、今共産党は、信じられないくらい野党共闘のために尽力している。広島・長野の補選・再選でも表にあまり出なかったが、確実に野党共闘のために尽力していたし、選挙の時の底力の強さ、献身的活動には頭が下がる思いだ。
 「反日共」が最優先されてはならない。今必要なことは、堕落と腐敗を繰り返し、民衆の生活や健康、命まで脅かす独裁自民党政権を打倒することこそが、最優先されなければならないと思う。
 リベラル派の力が弱い東京東部・下町の荒川から、衆議院選挙までに、これまで以上に市民と野党の共闘関係を作り、必ずや自民党政権に大きな打撃を与えることができるように、私は尽力していきたい。

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