7.9リニア中央新幹線工事差し止めを静岡地裁で第3回口頭弁論

南アルプスの生態系守ろう

 【静岡】7月9日、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の県内区間(107㎞)の工事差し止めを求めた訴訟の第3回口頭弁論が静岡地裁であった。
 この日、意見陳述を行った原告の林克さんは、JR東海が準備書面において「原告らの主張は誤ったものか根拠のないもので権利侵害を構成しない」「環境権については差し止め請求の根拠とならない」と主張していることに対して、職場の先輩に誘われて始めた登山を契機に南アルプスの豊かな自然環境に魅せられた立場から陳述を行った。

「生物多様性」
を破壊するな


 「自然公園法」第1条の「優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進をはかることにより、国民の保健、休養及び休暇に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与することを目的とする」を引用し自然環境を享受、保護すること、優れて今日的テーマである「生物多様性の確保」は人々の「権利」であると主張した。
 JR東海はトンネル工事によって最高350mの地下水位の低下が引き起こされるとするデータを提出、このデータを地図に印せば、西から塩見岳への入山拠点である三伏峠~塩見岳~荒川三山と赤石岳~千枚小屋下の駒鳥池など南アルプス南部の核心部であり国立公園の範囲に重なる。林さんはパワーポイントの図に撮りためた写真を配して陳述を行った。
 地下水位が低下すると何故自然環境が壊されるのかJR東海が静岡県の専門部会に提出した資料をもとに作成した資料で説明した。
 山体の水分は断層などの帯水層と表層部の自由地下水であり、地下水位の低下は、主に帯水層の水位の低下であり、帯水層の代表的なものは破砕帯である。JR東海は山梨県境に800mの破砕帯があると言い、大井川最奥部の東俣直下、西俣と幾つもの破砕帯を確認している。トンネル工事でそこに含まれている被圧地下水が抜けてしまえば、緑の山脈、南アルプス一帯が乾燥していくのではないかと危惧を述べた。
 林さんは地下水位の低下との関連でトンネル工事に伴う大井川西俣の各沢の最大7割の水量の減とそのことによるヤマトイワナを取りまく生態系破壊、トンネル残土の問題などにも触れた陳述を行った。最後に「南アルプスを守り、次の世代に残すことは私たちの権利であり責務であると思います。」と述べて陳述を終えた。
 口頭弁論終了後、弁護士会館において報告会が行われ、原告の林さんから意見陳述の概要が、西ヶ谷弁護士からはJR東海準備書面に対する原告の準備書面1の骨子が報告された。

根拠を欠いた
主張に反論!


 原告の準備書面1は口頭弁論に先立つ7月2日付で提出されたものでJR東海が提出した準備書面で「原告らの主張は誤りか根拠がない」としていることに河川流量の問題にとどまらず、水質汚濁や地下水脈のかく乱など多岐にわたるとし、「必要な調査を行っていないにもかかわらず、大井川の水への影響はないとの被告の主張こそが根拠を欠く」と反論、リニア工事によって発生土の処理問題、水質汚濁、山体崩壊など様々な懸念が生じると指摘。「リニア事業がもたらす弊害は多大で、それを上回る公益性はない」とした。
 次回口頭弁論は10月8日(金) (S)

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