7.18「日の丸・君が代」問題交流集会

学術会議会員任命拒否から見えてきた権力の姿

 第11回「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会が、7月18日に日比谷図書文化館コンベンションホールで開かれ、オンライン参加を含め約100人が参加した。集会終了後には、「五輪やめろ」「日の丸君が代強制反対」を訴えながら、右翼の妨害をはねのけて、東京駅近くまでデモ行進がおこなわれた。

任命拒否された
6人のうちの1人


 集会は前後半に分かれて開催され、10時30分からの前半では、開会あいさつのあと、早稲田大学の岡田正則さん(大学院法務研究科教授)が「『日の丸・君が代』とこれからの日本の政治文化~学術会議会員任命拒否を含めて~」と題して記念講演をおこなった。岡田さんは、学術会議で任命拒否された6人のうちの1人で、「日の丸・君が代」裁判ではいくつもの意見書を執筆している。
 岡田さんは、「日の丸・君が代」強制と学術会議会員任命拒否で共通しているものとして、「グローバル化した社会の中で、国民国家が『国家があっての国民』だとして存在意義を示そうとしていること」と「将来を見据えて教育・学術を国家の支配下に置こうとしていること」の二つを挙げ、後者は日本特有の面であると指摘した。岡田さんが意見書を書いた「再雇用訴訟では、地裁・高裁の判断はある程度私の意見を取り入れてもらい、きわめて常識的なものだった。ところが、逆転敗訴した最高裁判決は判例の引用がなく、理由・基準を示せない、説得力のない判決だった」として、ここまで政治を忖度する司法の背景には日本社会の政治文化があると述べた。
 「日本は、かつて唐の律令を取り入れて国家を形成したことで、外から来る知識をありがたがる『輸入型』の政治文化が作られた。漢字が本当の文化であって、仮名はそれを補助するものという考え方で、『公共空間』では外来語である漢字とカタカナ(音読み)で表した。これはトップダウン型の近代化にも適合した政治文化で、中国から欧米に切り替えたときにも、翻訳に際して漢字とカタカナで表現した。戦前の法律は、すべて漢字とカタカナで表記され、公共空間と生活世界とが切り離され、本音と建前の分離が生まれた」。
 「大日本帝国憲法は、天皇制権力による『公共空間』支配と(私的所有権の絶対化での)私的権力による『生活空間』支配を規定した。裁判所は憲法を取り扱わず、行政権をチェックしないで、司法権が行政権に従属していた。日本国憲法の制定によって、『生活世界』のことばによって『公共空間』を支配する形になったが、公的権力・私的権力は、憲法を外来のもので、建前であって、生活世界を支配するものではないとして否定してきた。やってはいけないものとして憲法や法律が制定されたのに、それを無視している」。

軍事目的研究の
反対と任命拒否


 さらに、岡田さんは自らの学術会議任命拒否について触れ、「戦前の滝川事件(政府による大学への人事介入、自由主義的思想の抑圧)、天皇機関説事件(軍部の活動を制約しそうな学説=天皇機関説を「統帥権干犯」だとして弾圧)、津田左右吉事件(古代天皇について書かれた論文への弾圧)に対して、学界も反対できず、むしろ煽ったり、取り入ったりした。このことの教訓として、学術を自由にやり取りできる空間を保障するものとして学術会議がつくられた」と学術会議設置の意義を説明した。
 その上で、岡田さんは、「だからこそ戦争加担への反省に立って軍事目的の研究に反対する3回の声明が出された」として、「学術会議の会員選任方法が、選挙制から学協会推薦制へ(1983年)、さらに自己選考(2004年)へと変わっていく中で、便宜的に総理大臣による任命を入れたが、『任命しない』ことは想定されていなかった」と、首相による学術会議会員任命拒否の違憲性・違法性を指摘した。最後に、岡田さんは、これからの日本の政治文化は「モノの再生産」優先(経済優先)から転換し、将来世代を組み込んだ、世界に開かれた議論が必要であると述べて、講演を締めくくった。

充実した全国の
闘い報告と交流


 昼食休憩のあと、ジョニーHさんのミニ・ライブがおこなわれ、後半がスタートした。後半では、東京・大阪・全国・各団体からの報告がおこなわれた。
 東京からの報告では、根津公子さんが「高裁で逆転勝訴した2009年の停職6カ月処分取り消しが最高裁第二小法廷で確定された。こんな日が来るとは思わなかった。とても嬉しい」と長期にわたる裁判闘争を振り返り、大きな拍手を浴びた。河原井純子さんも「思想・良心の自由」「教育の自由」「裁量権の濫用」を軸にして闘った18年に及ぶ裁判闘争の中で、全国で人の輪が広がったと発言した。さらに「君が代」不起立処分撤回第5次訴訟の原告2人が裁判に臨む決意と裁判への結集を呼びかけた。また、国際自由権規約委員会へのレポート提出についても報告された。
 大阪からは、自由権規約委員会への大阪レポート、今年の卒入学式の状況についての報告のあとに、オンライン発言も含めて被処分者4人から発言があった。その中では、松井市長による「オンライン授業」強制がもたらした大混乱に対して、大阪市立学校の校長らからの反撃が始まったことや「表現の不自由展」が大きな注目を集めながら開催を貫徹したことが報告された。
 全国からは、宮城・千葉・神奈川・愛知・広島・福岡から発言があった。さらに、市民運動やさまざまな団体からの発言として、都教委によるオリパラの学校連携観戦、教科書採択に対するとりくみ、指導力不足分限免職に対する裁判闘争、「五輪読本」裁判、オリパラ反対のとりくみ、天皇代替わり反対運動、「日の丸・君が代」と天皇制、川崎の教科書問題と情報公開請求訴訟などの報告や問題提起・呼びかけが続いた。最後に集会宣言を採択し、翌日の文部科学省交渉の呼びかけがおこなわれ、集会を終了してデモ行進に移った。
          (O)

「日の丸・君が代」強制化と処分やめろ!と集会(7.18東京)
「日の丸・君が代」強制化と処分やめろ!とデモ(7.18東京)

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